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ホームステイ受入れ~ピユミさんから学んだこと

数年前、埼玉県の国際交流協会に登録し、ホームステイ受入れのボランティアをしていたことがありました。
ホームステイといっても長期間のものではなく、協会が県内の留学生に対して行うワンナイトステイのイベントです。

我が家に初めて来たのは中国の青年、それからスリランカ、香港、イタリア、オランダ、バングラディシュの子たちでした。みな埼玉大学に留学中の学生でした。初めの三人は日本語が堪能でしたが、後の三人はほとんど日本語を話せなかったので、英語でコミュニケーションをしました。

留学生を迎え入れるのにあたり、最も力が入るのは食事です。思い切り日本の味を楽しんでもらおう、事前にもらうプロフィールシートに書かれたその学生の食事の好みからメニューを考え、準備しました。初めて来た中国人の学生は朝食の鮭と大根おろしに感動してくれました。

三か月後、日本食のおもてなしに自信を持った私に早くも危機が訪れました。二人目の滞在者、スリランカ人のピユミさんが来た時です。彼女のプロフィールシートには「肉✕、魚✕」と記されていました。ベジタリアンなのかな、何を用意すればいいのだろう。出汁はこんぶかな。おかずは野菜の天ぷらかな。会ってから一緒にスーパーに寄って考えよう。
と思いつつも、自分の日本食おもてなし願望が満たされないことに複雑な気持ちがあるのを否めませんでした。

ピユミさんが来たのは2月。駅の改札に立って待っていました。一緒にスーパーに入り、食材を選びながら夕飯の献立を考えました。
「日本の料理は好きじゃないんです。出汁が嫌いで。」
「じゃあカレーライスにしようか」
「日本のご飯はもちもちしてるから苦手なんです」
「何が好きなの?」
「ポテトです。私はいつも母に叱られます。すみません。」
「オッケー・・・」
翌朝のメニューはパンがよかろうと思い、パンを買って帰りました。

家に着いて野菜の天ぷらを作り、冷凍庫に入っていたフライドポテトも揚げ、サラダを作ろうとしたら、「野菜もあまり好きじゃないからいらない」といい、天つゆはどうかと聞いたら「日本のものはちょっと」と言い、てんぷらにケチャップをつけて食べていました。野菜も嫌いなだけあって、食べたてんぷらはニンジンだけでした。

すごくよく手伝ってくれるし、息子とも遊んでくれるし、日本語もとても美しく、気遣いも日本人すら軽く超えているレベルで素晴らしい人でした。そしててんぷらもおいしいと喜んで食べてくれました。自分は好き嫌いが多いから何も食べられないことを覚悟して来たそうです。

今思うと自分が未熟だったの一言に尽きますが、当時は留学生が日本の家に泊まる、外国人にとって珍しいであろう日本を満喫してほしい、その最たるものが食事でした。そこで日本を披露できないことに残念さを感じましたが、翌日国立博物館で熱心に写真を撮ったり説明パネルを読んだり、こちらが考え込むような深い質問をくれたりするのを見て、日本に来る外国人も興味はそれぞれ、みんな違ってみんないいと心から思えたのでした。そしてゲストファーストになれてなかった自分を反省したのでありました。

ピユミさんとの交流はその後も続き、いま彼女はスリランカの大学で日本語を教えています。そして去年、授業で日本の食文化を教えるから私にも出てほしいと連絡をくれました。教師でもない専業主婦の私がスリランカの大学で日本食について質問する学生たちに答え、日本のお節料理の意味を説明する、という貴重な体験をさせてもらいました。

それから二年後、風邪騒動が始まったころに最後の訪問者、バングラディシュの男性が来ました。イスラム教徒の彼は豚肉も牛肉も食べないし、鶏肉もハラル認定されているもののみ、しょうゆもハラルのものを購入、今まで我が家で豚肉や牛肉を切っていた包丁やのせていたお皿は使えないので、別に用意したりしました。そしてすべてをクリアして出した鍋は大不評、なかなか大変でしたが、翌日はケバブで喜んでもらい胸をなでおろし、ピユミさんの教訓に感謝。

予防注射をしていない私は現在のところ留学生受け入れができませんが、違うことを考えています。
ピユミさんにカタカムナ音読のことを話し、今度打ち合わせをする予定です。

注射してない私がスリランカに来られるか、昨年結婚したご主人が空港に電話して聞いてくれたそうです。答えはOK。再会の日もそう遠くはないかもしれません。その前にカタカムナを届けます♬



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