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子どもと自然~斎藤惇夫氏対談

今年は週に一回は予定のない日を作ろう。
なんて決めたのに、ポコポコと予定が入り、なんだかんだオフの日がほぼない2月の前半が過ぎました。忙しいのは困るのですが、どの予定も自分にはなくてはならないと思えるほどの価値があり、あははこれはわたしのサガかなあとぎっしり詰まったスケジュール帳を眺めています。

昨日は朝7時半過ぎに家を出て音読道場の本拠地である吉祥寺のブイネットで音読とサイコロ暗算の指導をしました。自分の生徒はいなかったけど作文道場にも出て担当の大澤先生が読む宮沢賢治の「やまねことどんぐり」を聞き、子どもたちが偉いとは?すごいとは?と考え考えメモを取り、作文用紙に文章を書き入れていくのを感心しながら眺めました。子どもの視点からの「偉い」と大人の「偉い」の違いがあることが新鮮でした。

吉祥寺から地元駅の浦和を越えて北浦和まで行き、10分で軽食を取り徒歩3分のホールに行きました。ある講演会に参加するためです。

「子どもと自然~センス・オブ・ワンダーを育む~」
児童文学者の斎藤惇夫さん✕福音館書店編集者の石倉友直さん。

斎藤惇夫さんは岩波少年文庫の「冒険者たち」などの作者でさいたま市にお住まいのかたです。息子の幼稚園でも講演会があり、一度お話を聞いたことがありました。石倉友直さんは福音館書店で「ちいさなかがくのとも」など編集者として活躍してきて今もなお現役のわたしより少し若いかた。

斎藤氏は程よく辛口、若い石倉さんを程よくいじり石倉さんが素直に話し出す、そんな好感持てるやりとりから対談が始まりました。

おふたりとも自然に囲まれた新潟や愛知の出身で、虫を追い求めた少年時代を送ったそうです。
斎藤氏は外遊びの時代が終わりかけたころに岩波少年文庫の本を読む楽しみに浸るようになったとか。大人になり電気会社に就職したものの手痛い失敗をした矢先にたまたま目に入った教文館書店で子ども向けの本を見て、昔と違った質の高さを認め興味を覚え、石井桃子氏と円ができたのをきっかけに福音館書店に入社、以降編集者や作家としての経歴を歩み、現在は浦和で幼稚園の園長もしています。
石倉氏は虫捕り時代を経て、大学卒業後に大人向けの出版業に興味を持ち角川書店に入社しテレビ週刊詩を扱う部門でしばらく働いた後、ふと目に入った福音館書店の募集記事を見て転職をし、かがくのほんなどの編集に携わっています。

おふたりとも澄んだ目をしていて、少年がそのまま大人になったようなかたでした。少年時代に自然とたくさん触れて得た感覚で現在も子どもたちに質の高い絵本や本を提供しています。

「知ることは感じることの半分も大切なものではない」

石倉氏はセンスオブワンダーのレイチェル・カーソンによることばを引用しました。幼いころに十分な自然体験をして科学に結び付いていく。その入り口に「物語」として絵本があり、一体化する時間となる。カーソンのことばを借りると「土壌を耕す」こととなる。

質問形式で個別に展開していたふたりのお話が合わさり始めました。
「リアルとファンタジーの融合」、科学ってなんだろう、絵本ってなんだろう。科学を絵本で紹介していく。そこに尽力してきたおふたりの源は子ども時代の自然体験。

おふたりの話題はアフリカに。
野生動物がサバンナを生きるさまを見ていると人間の一生なんて何でもない。たくさんの子どもたちにこの大自然を感じてほしいと言われました。

現代の子どもが実体験を欠いたまま生きていることに危機感を表す斎藤氏。
日本を大改造しなくては。1か月山に入って植林しクマの餌について考えたりできるシステムを導入するのはどうだろうというアイディア、地球は人間だけのものじゃないと。

聞けば聞くほど、最近の体験も合わせていくと、自分という体の中にすべての答えが詰まっているのだと気づかされます。特に子ども時代の思い出は賞味期限がなく、一生に影響する。
わたしは十分すぎるほど外の生きものや草花とふれあって育ちましたが、息子のことが心配です。
月一回の奥多摩でのプチ合宿の重要性がますます増してきました。
もう遅い、なんてことはないと信じて残り少ない息子との日々に目を当てていこう。

素晴らしいお話を聞くことができました。
巡り合わせに感謝。

よかった、ありがとう。



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