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息子のこころの風景

4月に入り息子は中学2年生になりました。
息子は、幼稚園のころから変な先生や学年主任のようなやけに厳しい先生に当たらない「先生運」に恵まれていて、今年度もまだ20代前半だけど考えのしっかりした国語の先生に当たりました。歌が好きで合唱に打ち込んでいたという先生、保護者会でしっかり母音を響かせて話していて好感を持てました。
小柄で明るい性格の息子は新しいクラスで愛されキャラになっているようで問題なく新生活を送れているようです。
去年はクラスメイトにズボンをずり下げられたり、部活で仲間外れになり悩みましたが、今はそんな悩みもない様子、明るく毎日を過ごして今のポジションを獲得した息子に頼もしさを感じます。

お金の価値をわかっていないなあと思うことが最近あったので、お小遣い制を導入してやりくりさせるなど考えましたが、1回家事を手伝えば20円獲得できることにし、稼いだお金で欲しいものを買うようにさせることにしました。好きなマンガを買いたい息子は毎日自分から洗濯物をたたんだりお風呂を洗ったりするようになりました。買いたいものがなくなったらやめてしまうのかもしれないけれど、束の間でも家事を少しでも担いその質を上げるなど学びになることはたくさんあるでしょう。

おとといの土曜日、夫が不在、息子と二人で夕飯を食べに行くことにしました。歩きながら息子が何か握りしめています。
「これ史上最強に硬いよ」
開いた掌には銀色のかたまりが乗っていました。
部活に持たせたおにぎりを包んだアルミホイルを丸めたものでした。
そういえば小さなころから息子はこれが好きで、アルミホイルをせがまれ少し切ってあげるとボールを作って遊んでいました。今やその趣味健在なのか。

「今日お弁当の時間、十分あったの?」
午前は体育館練習、午後は練習試合でよその中学に行ったはずです。
「うん、十分すぎるほどあった」
「食べ終わったら何してたの?」
「お弁当はみんなと食べた。そのあとみんなは何かやってたけどおれはアリの観察とアルミホイルのボールで遊んでた」

公園に行くと地面にはいつくばってアリを追いかけていたのはまだ変わらない。行為が幼い気がしなくもないけれど、電子機器がなくても本がなくても仲間とでなくても時を楽しめる息子に一種の安心を感じました。

パン食べ放題のお店で何度もパンを取りに行きたらふく食べた後、モールの同じフロアにある本屋さんに寄りました。
欲しいマンガを買ってと言わず、「あと○日で買える」とつぶやき、虫などの専門書が置いてあるコーナーに床に立膝になり立ち読みならぬ立膝読みをしていました。これも昔から変わらず、本屋さんの床に正座したりその辺の台に座って読みふける習性。

帰ったら「すずめの戸締まり」を観たいとねだられました。期間限定で無料で観られるそうです。去年一緒に観に行ったその映画、学校から小説版も借りてきて読み、誕生日プレゼントにリクエストされわたしの妹が買ってあげ、何度も読んでいるようでした。
夜遅くまで映画を見て、昨日もその話をするので、わたしの好きなYoutubeチャンネルToland Vlogがすずめの戸締まりを考察している動画があるのでそれを教えて見せてあげました。古事記の登場人物になぞらえて配役がされていること、地震について映画で語られていることに歴史上でも裏付けがあることを知り息子はとても面白かったようです。彼の中の扉が一つ空いたような気がしました。

昔から変わらないところ、これから開いていくこと。
穏やかで人にどう思われるか気にしない、安定した心を持っている。
そんな息子の心の中はどんなだろうな。

アルミホイルのボールが家の前の排水溝に転がり入りそうになった時「きゃあ!」と叫んだ息子の声を何度でも思い出し楽しんでいます。

よかった、ありがとう。




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