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運営したオルタナスクール最後のイベント<市民立がっこうの運動会上映会>/⑲不登校から別居・離婚そして教育移住までの記録

突然の不登校、突然の別居でシングルマザーになった親子が辿り着いた「市民立小中一貫校」への教育移住。その4年間の記録をマガジンにまとめています。

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息子のためにはじめた市民立小中一貫校の運営。持病の悪化により2年半で閉校することになりました。

その最後に開催した「市民立がっこうの運動会上映会」の記録です。


授業なし、先生もいない 市民立がっこうで運動会??

市民立小中一貫校。瀬戸市で1人の市民によって創設され、同じシステムで運営する学校が各地で少し増えつつある、新しい形のがっこう。

授業なし、先生はいなくて、スタッフが1人いるだけ。本拠地のツクルスクールでは、在籍は70名以上。校舎で過ごすセンターデーには、40~50人程度の小中学生が通ってきます。

自己決定する経験の積み重ねが重視された環境設定、タイムスケジュールの中で、子どもたちはイキイキと楽しそう。

ツクルスクールに見学にいくと、子どもたちの子どもたちらしいエネルギー感をとても強く感じます。中学生と喋ってみると「しっかりしてる」と感心し、高等部の授業に体験参加してみると、「大人の自分よりもよっぽど、社会でしっかり生きていけるんだろうな」と思わされます。

そんな市民立小中一貫校で運動会が行われるようになったのは3年前。

中学生メンバーから「運動会やりたいから場所をとってほしい」という声が上がり開催することになったそうです。

練習なし、準備なし、競技プログラムやルールは当日その場で知る

市民立小中一貫校では、「きたい時に来る」というルールがあります。つまり、休みたい時は休む。やりたくないと感じることはやらない。

これを言うと、驚かれることがほとんど。甘ったれるんじゃないか、がんばりがきかない子になるんじゃないか。そんな声はたくさん聞いてきたし、私自身も、それでいいのか?と思ったこともありました。

でも、むしろ小中学生という年齢のうちに、本当に自分が決定する経験(決定するには自分でかなり考えなければならないということ)、その決定に対して評価されたり何か言われない経験を積み重ねることで確実に育まれるものがあります。

毎日学校に行くか行かないか、そこから自分ごととして毎日考えるなんて、私は人生この方してきたことがありません。その積み重ねとしての「きたい時に来る」。

不思議なことに、この経験を積み重ねていくことで、むしろ自立が早いのだということを、市民立がっこうを知れば知るほど実感させられます。

そんなわけで、この決まりは市民立がっこうの中で、とても大切なルールなのだけど、だからもちろん、運動会に参加するかどうかも、小1から中3まで、ひとりひとりが自分で考えて決めます。

「運動会」といえば、何度も何度も練習して、競技だけでなく、入退場の練習、応援の練習、いろいろな準備をして当日を迎える、私たちが当たり前に経験してきた運動会を思い浮かべませんか?

市民立の運動会は、当日誰が参加するかわからないし、当日参加しても競技によって参加しない子がいたりして、人数も都度変わっていきます。

もちろん事前練習どころか、プログラムもわからないし、ルールも知らない。そんな小1から中3という年齢幅のあるメンバーたち50人とかを、中学生の中心メンバー2〜3人で仕切っていく。

そんな中で運動会って、どうなるの???というハテナがいっぱいじゃありませんか?

市民立がっこうならではの運動会

市民立がっこうの運動会。子どもたちが織りなすその空間、時間は、市民立がっこうが大切にする「ゆるいつながり」や「共同体感覚」そのものです。

子どもたちひとりひとりが主体的で、尊重し合っていないと、成立しない時間。

運動すること、体を動かすことが楽しい、友達と一緒に何かをするって楽しいと感じること。

競技をする人、見ている人、応援する人、いろんな人がその場にいるのが当たり前なこと。

やりたいかやりたくないか、年齢や学年に関わらずひとりひとりの気持ちが子どもたち同士の中で大切にされている、優しい空間。

運動会の子どもたちの様子から、学ぶこと考えさせられることがたくさんあります。

そんな市民立の運動会の映像を上映して語り合うのが「市民立学校の運動会上映会」。

創設者の一尾さんと、運動会を仕切った中学生2人が上映会にきてくれて、実際に話をきくことができ、「市民立小中一貫校」という教育の形を知ってもらえる機会にもなるということで、私はこのイベントを、つらぬき楽園を地域でもっと知ってもらうために企画することにしたのでした。

企画した時には閉校は考えていなかったので、これが最初で最後の大きなイベントになるとは思ってもいませんでした。

上映会は満員御礼 浄化される私の気持ち

つらぬき楽園の閉校が決まってもなお、このイベントへの参加希望者は予想を上回り、会場も広い場所に変更。

最終的に20組を超える参加があり、不登校に悩む保護者や、新しい教育の形に興味がある方、市議会議員や現役教師、現役の小学校校長先生など、たくさんの方が参加してくれました。

運動会の映像を見て、それぞれの立場の人たちが感じたことや想いを語り合う、本当にいい時間。

つらぬき楽園のような場を絶やしたくないと、新たに自分で運営したいという保護者の方もあらわれました。

2年半がむしゃらにがんばってきたこと、でも志半ばで閉校を決めたこと。自分の中で悔しさとか情けなさとか、いろんな気持ちが処理できずにいましたが、上映会イベントをやってその気持ちは浄化されていったように思います。

別居前に暮らしていた関東地方からも、ずっと応援してくれていた大切な方が参加してくれました。スクール運営をやめるという私の決断に、いてもたってもいられず応援にいきたい!とはるばるきてくれたのです。応援してくれる人がいる。自分がやってきたことはこれでよかったし、これからもがんばろうと、本当に心から感じました。

上映会に参加してくれた方だけでなく、2年半で出会ったたくさんの方たちに、小さな種をおとしていったんだ。私ができることはやりきったんだ。そう感じることができました。

これにて、自分が市民立がっこうを運営する、ということはピリオドです。無償でがっこうを運営するという経験は、今後の自分の働き方や人とのつながり方などに生きる大切な経験でもありました。

はじめてツクルスクールに見学に行った時に移住を選ばなかったからできた経験。私にとって必要な経験だったのだと思います。

つらぬき楽園に関わってくれた全ての人に感謝の気持ちでいっぱいです。

⑳につづく

その後 いち保護者として実際に運動会をみた話

ツクルスクールへと教育移住し、今年度の運動会は保護者として現地で見学することができました。

上映会でも色々考えさせられたり感動したりしましたが、映像では感じ取れない現地の空気感がたくさんありました。

その記録はまた改めて記事に書きたいと思います。


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