新しい「公用文作成の要領」パブコメに私が送った意見を公開します
文化庁が、
「新「公用文作成の要領」(仮)」(案)に関する意見募集の実施について
というタイトルで、パブリックコメント(意見募集)を実施しました(2021年12月21日〆切)。
参考:「新「公用文作成の要領」(仮)」(案)に関する意見募集の実施について(文化庁国語課)
そこで、私は以下の意見を送りました。
ここで全文、公開しちゃいます!
【1】「新「公用文作成の要領」(仮)(案)」に対する意見
(1) 「Ⅱ 用語の使い方」の「6 文書の目的、媒体に応じた言葉を用いる」(P.6)
「ウ」の部分は、以下のような印象です。
「ございます」→NG
「申します」「参ります」→原則NG
「おります」「いたします」→推奨
「申します」「参ります」については、文末が「使わない」で、「ただし」と続いているので、逆接的な内容(「使う」べき表現)が後に続くと予測しながら読み進めました。
すると、「おります」「いたします」の文末が「用いる」なので、使用を推奨しているような印象を受けた次第です。
これでは、「おります」「いたします」を連呼されるのではないかと危惧します。
一対一のやりとりであるメールや紙の通知文などであればともかく、ウェブサイトなど不特定多数に向けた文章では、「います」「します」とシンプルに言い切って、1文を1文字でも短くしたほうが効率的に理解できると考えます。
「おります」「いたします」も、「申します」「参ります」と同様に、
とするか、あるいは記載しなくてもよいかと思います。
言及するのであれば、
などとしていただきたいものです。
また、「解説・広報等における文末は」とあるので、「(付)「新「公用文作成の要領」(仮)」解説(案)」にある「情報を簡潔に伝えるときは、「である・だ」も使用する。」も記載してはどうでしょうか。
こちらのほうが、「おります」「いたします」を推奨することより、必要な記述かと思います。
(2) 「Ⅲ 伝わる公用文のために」の「2 標題・見出しの付け方に当たっては、次のような工夫をする」(P.7)
「ア」の例文は、僭越(せんえつ)ながら、すばらしいものだと感じました。
行政にありがちな、「事業年度+事業名称+について」という標題は、読む気力を失わせます。
「~についてのどんな情報なのか」がわからず、わからないまま読み進めるので、理解も妨げます。
標題や見出しは文章の「ラベル」――つまり、文章の概要を示すものではないでしょうか。
そのため、ここに書かれているように、具体的なものとすべきであると考えます。
行政内部であればともかく、組織外に発出する文書は、具体的な標題・見出しにしていただけることを期待します。
【2】「(付)「新「公用文作成の要領」(仮)」解説(案)」に対する意見
(1) 「Ⅱ 用語の使い方 Ⅱ-1 法令・公用文に特有の用語の扱い」の 「及び・並びに」(P.21)
三つ目の例は、改善の余地があると思います。
一つ目と二つ目の例には、「両者」「全て」と記載があります。
三つ目も、「全て」と明記しなければ、「どれか(どちらか)一つだけでも良い」と誤解する人も出てくるのではないでしょうか。
具体的には、以下のような改善を提案します。
(2) 「Ⅱ-6 文書の目的、媒体に応じた言葉の使い方」の「ウ 敬語など相手や場面に応じた気遣いの表現を適切に使う」(P.27)
前述(【1】(1))のとおり、改善を期待します。
(3) 「Ⅲ-2 標題、見出しの付け方」の「ア 標題(タイトル)では主題と文書の性格を示す」(P.31)
一つ目の例の「新国立体育館について → 新国立体育館建設工事の進捗状況について」を見ると、タイトルや見出しに「~について」を使うことを推奨しているような印象です。
「~について」では、「~についての何なのか」がわからないので、「お手本」とすべきものではないと思います。
行政内部での使用を禁止することはないかもしれませんが、「これが正しいルールだ」、「推奨している」と誤解されないよう、以下のように修正してはどうでしょうか。
なお、前述(【1】(2))のとおり、「新「公用文作成の要領」(仮)(案)」の「Ⅲ 伝わる公用文のために」の「2 標題・見出しの付け方に当たっては、次のような工夫をする」(P.7)の「ア」の三つの「例」はすばらしいと思います。
「公用文作成の要領」本体と、付録の解説との整合性を考慮しても、本体の例文に合わせるべきではないかと考えます。
以上です。
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