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#4.レッスンを受けて〜その②〜


練習はしなくていい


レッスンを受け始めてしばらくは、


”練習はしなくていい。"


そう言われていました。なぜなら、そのくらい

ハードで危険を伴うから。


なにがどうハードなのか。

なにが危険なのか。




ハードなのは、それまで使っていなかったのどの周

りの筋肉群を目覚めせるために、体全体、息、全身

のエネルギーを総動員して声を出すからです。筋ト

レと同じです。よってクールダウンが必要なのです。



のどをそんなに使って大丈夫なの?

と思われる方もいると思います。大丈夫なんです。

機能させるための必要不可欠な大事なプロセスで

す。


ハードだけれど、先生と一緒に"正しい方向で"すれ

ば、どこにも痛みを感じることもなく、疲れ果てる

なんてこともありません。心地よい疲れを感じて、

逆に元気が湧いてくるほどです。




そして、もう一つ。"正しい方向で"が重要です。


それまで習ってきたことをすべて捨ててゼロか

ら!!とは思っても、長い年月をかけて身につけて

きたことはちゃんとしっかり体に残っています。




誤った認識と感覚のままで練習したところで、一人

では上手くいくはずがありません。始めたばかりで

の一人の練習は逆効果にもなり得るということです。



先生と一緒に、先生の声を聴き、真似をして出した

声を先生に聞いてもらう。自分の声を自分で聴くこ

とはもちろん大事ですが、自分でジャッジするのは

危険です。


知らないことだらけ。わからないことだらけ。

聴いたこともない声が出るのだから。


信頼できる良い先生と二人三脚で歩んでいくことは

とても重要だと思います。




練習は毎日するもの


ピアノを習い始めてからというもの、

"練習は毎日するもの"

"一日サボると三日前に戻る"

こう思い込んでやってきました。



これまた、長年の思い込みによって身につけたもの

が邪魔をします。


"練習はしなくていい"

とわかっていても、その当時その理由をよくわか

っていなかった私は、二日に一回のペースで練習を

していました。レッスンの録音を聞きながら、レッ

スンを思い出しながら真面目に。練習しないと落ち

着かない状態でした。


先生は練習のことも、そんな私の心の状態もすべて

お見通しだったと思います。




はじめての壁



そんなある日、先生から


「しばらく音楽から離れてみたほうがいい。

 全然違うことをして過ごしてみるといい。」

と言われました。



正直、ショックでした。

"自分なりに一生懸命取り組んできていたのに、

なんで???何が良くないの?私には無理ってこ

と?"

そんな言葉が頭の中をグルグルしていました。




とにかく、言われたとおり離れてみることにしまし

た。練習に当てていた時間を子どもと遊んだり、本

を読んでみたり、散歩をしてみたりとのんびり過ご

しました。



実際に離れていた期間は2週間ほどでした。

2週間一つも声を出さぬまま、レッスンを受けまし

た。声も心の状態もリフレッシュされて、とても良

いレッスンだったのを覚えています。



できなかったことができたり、気持ちよく歌える。

"あれ?なんで?練習してないのにできた"

そんな気持ちでした。



"練習しなきゃ!上手になりたい!

早く一人前の歌手になりたい!"


これは、学生の頃に思っていたことです。




大学時代は競争でした。トップで居続けることに

躍起になっていました。そして、大学のレッスンで

は、先生が声を出したり歌うことはほぼありませ

ん。どこをどのように使うのか、テクニックをどう

曲に繋げていくのかということを教わる場ではあり

ませんでした。



自分でどうにかするしかない、なんとかそれっぽく

仕上げる、それが当たり前の学生生活でした。

大学は、自分でそれなりに仕上げる習慣を身につ

ける場でした。



その頃と同じことを、いつの間にかやってしまって

いたことに気づきました。勝手に解釈するようにも

なっていたと思います。



学生気分では本質的なことは何も学べない、その先

には進めない、限界があるということです。


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