使えないお金

「あ、これ」

ハンバーグが旨いと評判の店で
特大を平らげたムスコが
白い封筒を差し出す

「ん?何コレ?」
 覗き込む。

「言ってたじゃん。
 "働くようになったら、
  何年かかってもいいから
  月1,000円ずつでもいいから
  学費の半分は返してね"
  って。だからコレ、はい。」

 「え?…でも足りてるの?
   家賃ちゃんと払えてる?
  ご飯ちゃんと食べてる?」

 ふふん!
 ヤツが鼻で笑う

 「あげるって言ってるうちに
   もらっといたら。
   ない時に言っても
   無い袖は振れないからね」

 ふふん!
 次はワタシが笑う
 「その言葉をアンタから返されるとは
   思わなかったわ」

   もう一度覗き込んで
   カバンにしまった。

 でもさ、コレ、使えないよ
 きっと
 ずっと ずぅ〜っっと。
 

 




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