「・・・」
「ワタシ、恋人作ろっかなぁ~」
横目でムスコをチラと見る。
マンガに目をやったまま。
「ね、どちらが先に恋人作れるか、競争しない?」
顔を覗き込む。
眉ひとつ動かない。
***
「ムスコさんさ、これまで付き合ったことある?」
「ない」
「ん~。恋人ができると違うんだろうけどなぁ…」
***
「こないだ、渡月橋で初めて手漕ぎボート乗った。」
「次の日、腕、筋肉痛がひどくて。」
「———ひとりで乗ったの?」
「ふたり」
「ふぅ~ん・・・」
ふふん。
背中でほくそ笑む。
これでワタシも解禁だ。
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