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コトノハサエ
2022年4月17日 07:15
(あらすじ)いつのことだったろうサエがこの街にあらわれたのは言葉は想いを伝える便利なツ−ルしかし時に人を傷つける言葉は万能ではないどうしたらわかりあえるのか結局、人って分かりあえるものなのか (あらすじおわり)サエと会った時のこと。「ホントは サエって名前にしようかなとも 思ったのよ。」ママからそんな話を聞いていたからサエと会ったとき家族と会
2024年7月7日 22:33
廻「リンが来たわよ〜」フリルのかたまりが飛びついてくるリンはそのかたまりをぎゅうっと抱きしめた「リンちゃん、入って!」フリルのかたまりが手をひっぱるタッタタッタタッタタ……音がだんだん大きくなるティーポットにお湯を注ぎながらサエが振り向いた「いらっしゃい」トン、タタタタカッタタタタタッタタッタタ「あいかわらずね あの二人座ることってあるの?」「そ
2022年4月18日 07:21
サエのこと「どこから来たの? パパは?ママはどこにいるの?」話しかけようとしたら「おにいちゃんがダメだって。」サエが突然話し始めたそして、うつむいた「そんなんじゃ生きていけない、って。」石をポン、と蹴飛ばした「おにいちゃんは、一生懸命だったの」さっき蹴飛ばした石を 追っかけて蹴とばしてまた追っかけてそんなサエをずっと見てたサエはすっと首をのばした遠く
2022年4月20日 08:13
あしおとタン!サエは、うつむいたままだタンタン!2回足踏みしたタンタンタン!今度は3回何やってるんだろう…タンタンタン!真似して足踏みしたサエは目をまるくしてこっちを見てるタンタンタンタン!タンタンタンタン!タタタンタンタン!タタタンタンタン!タンタタタタタン!タンタタタタタン!タンタタタタカッ!タンタタタタカッ!ふたつの影は街が夕暮れに
2022年4月22日 08:55
サエがいなくなった日。①一生懸命だったんだ聞かなくちゃ、言わなくちゃ、励まさなくちゃなだめなくちゃ、教えなくちゃ、叱らなきゃ守ってやらなくちゃ! ***サエと会ったのは今日みたいな日だった空が抜けるようでそのまま飛んでいけそうな広がってく麦の穂の波を眺めてながらさっき店で耳にした曲を口ずさんでた「見える!」え?何が?振り返った「声が…見え
2022年4月23日 21:37
サエがいなくなった日。②オレが歌うとサエはいつも空に手を伸ばした「見えるのに!さわれないの…」だから声は掴めないって見えるワケもないしもう慣れてちまったがひとつ言えるのは背伸びしてオレの声に手を伸ばしてるサエのそばのオレはいつも等身大だったってこと ***ダブルブッキングレッスンとステージを同じ時間に入れてしまったどちらも断りたくないサエ
2022年5月8日 17:21
ワタシのこと、シンのこと。シンはずっとそばにいたたぶん生まれた時からシンはいつも楽しそうに私の話を聞いた空を飛んでてシンを見つけて大声で呼んだのにちっとも気がついてくれなかったことや丸太の橋から落っこちてそのままあおむけで川を流れていったときいつも見ている空や森や私の家までもゼンゼン違うものみたいだったってことや帰り道切り株の陰に妖精を見つけて追っかけたけど
2022年5月9日 10:43
みんないっしょ。タンタンタンタン!タタンタタンタン!サエとワタシのまわりには少しずつこどもが増えていった「ねぇ、ボクもいっしょにやっていい?」カズが身をのり出した「うん!やろうやろう!」サエは飛び上がって靴を鳴らすタン!タタン!タタン!「どうやってやればいいの?」「胸の中にあることを思い浮かべながら足踏みすればいいの」「ふぅ~ん…こう?」タタンタタンタンタタタ
2022年5月9日 10:59
ユウのステップタタッタタ、タッタタ、タッタタ、タタッタ…みんな、嬉しそうに飛び跳ねてるふぅ…ユウはずっと石垣に腰かけたままみんなを見ていた後ろに手をついて空をながめた流れる雲あの雲はどこまで行くんだろう…父さんのとこまで行くだろうか… ***「お前たちはここにいちゃいけない。危険だ。」「父さんはどうするの?」「父さんはここに残る。 この家を、この国
2022年5月15日 10:07
ヨウの記憶①ドンドンドンドン!またマルが部屋で暴れているもう、まったく!いくら言っても聞かないんだから!アイロンの手を止めたよいこらしょ!やらなくちゃいけないことが山ほどあるのに仕事を増やさないで!二階へ上がるとドアを開けっぱなしのままマルが足をドタドタやっている「何やってんの!ホコリがたつじゃない!」「ママ!すごいと思わない!足音だけで気持ちがわかるんだ
2022年5月15日 10:18
ヨウの記憶②「ヨウ、あの辺りには行っちゃだめよ 特に夕暮れ時は 酔っぱらいが多いんだから…」それでも学校が終わるとリョウの家に行ったリョウは酒場の2階に住んでいたリョウのおかあさんは仕事の疲れを癒しにお酒を呑みにくる人たちの話し相手をしていたリョウのおとうさんは見たことがない昔いた旅芸人一座のあのダンサーに違いないとパパは言っていた「たいていの旅芸人は
2022年5月15日 10:21
ヨウの記憶③「ママ!こっちこっち!」マルが手を引っぱる「そんなに引っぱらないで」マルはぴょんぴょん飛びはねながら力をゆるめない「ねぇ!ねぇ!ママを連れてきたよ! ママもいっしょにやりたいって!」こどもたちがいっせいに目を向ける石垣に腰かけていたユウも首をかしげてヨウを見た「ママさ、子どものとき、 こんなふうに踊ったことあるんだって!」マルは足をドタドタやった「へ
2022年5月18日 12:12
ユウの靴。ヨウの音。トントンタッ!トタッタタンタン!右側からカズが左側からサエがヨウの足元をじっと見ているマルは相変わらず私たちの前でぴょんぴょん跳びはねてるトントンタッ!トタッタタンタン!かずとサエとヨウと他の子どもたちも何度も何度も繰り返しステップを踏んだ ***夢中で足元を見ていたら傷だらけの靴が現れた顔を上げるとユウが立っていたヨウの
2022年6月1日 03:23
白いダンスシューズ①いたた・・・どこもかしこも痛い嫌だねぇ、歳をとるのは・・・二の腕をさすりながら庭先に出たあらまたあの子たち広場にあつまってるいいわね子どもは疲れたりしないんだろうねアタシもあんな頃あったんだけどね――風でレースのカーテンがふわりとふくらんだ ***「どう?」ひらりと彼の前に立った「すてきだね とても似合ってる」今度はくる