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LIFEオススメ本:炎上CMでよみとくジェンダー論

ジェンダーに関する本が、刺さる。

読んでみると、自分がなんとなく困っていたことが言語化されていたり、色んな角度からそれが明らかになってくるからだ。

今回紹介するのは、「炎上CMでよみとくジェンダー論」。


そして今、感想を書こうと思いnoteを開いたところ、驚いた。

前回LIFEオススメ本で紹介した、「彼女は頭が悪いから」で紹介していた対談記事を読んでの自分の感想が…


「ただ、この本からの対談イベントで集まった、ジェンダー論を教える東大大学院教授の瀬地山角さんという方の発言にはがっかりした。」

この対談を読んで、私がまさに、こんな風に書いていた瀬治山角さんという方が、今回の「炎上CMでよみとくジェンダー論」の著者だったのだ。

あぁ、本当に人の発言というのは一部を切り取っただけではその人自身が分からないものだなと改めて思う。

この本の中では印象悪いもの良いものでてくるのですが、まずポジティブなほうに捉えられた西武 そごうのCMを一つ載せておきます。

2019年の元旦に公開されたもので「女の時代なんて、いらない。」という力強いせりふから始まります。

女だから、強要される。
女だから、無視される。
女だから、減点される。
女であることの生きづらさが報道され、
そのたびに「女の時代」は遠ざかる。
今年はいよいよ、時代が変わる。本当ですか。期待していいのでしょうか。
活躍だ、進出だともてはやされるだけの
「女の時代」なら、永久に来なくていいと私たちは思う。
時代の中心に、男も女もない。わたしは、私に生まれたことを讃えたい。
来るべきなのは、一人ひとりがつくる、
「私の時代」だ。
そうやって想像するだけで、ワクワクしませんか。私は私。

炎上CMでよみとくジェンダー論


読んだだけで、涙が出る。

ネガティブな見方をされている方の化粧品会社等のCMは、「はぁ…」とため息をつきたくなるような内容でした。たしかに。

今まで、CM含むメディアに対して、そういえば視聴者からクレームが来ることがかなりあるというのはよく聞いていた。
紹介されている炎上CMをみると、確かに反発するような共感が湧く。
それでも、自分がそれに対して「NO」をつけて明確に抗議するということを考えたことがなかった。

批判を伝えることで、何か大きいものが変えられる、という感覚が薄かったのだろう。
現在までに、そのような批判があってこそ段々少しずつ世の中が変わってきているということに、私たちはもう少し主体的に行動できるのだと思えた。

政治に対する一票ではないが、私たちは個々人の意見というものの大きさを甘く見ているのかもしれない。


この本を作る過程で、さまざまなCMを見てきたのですが、ファッション業界や化粧品メーカーが批判を受けない、「政治的に正しい」CMを作るのは簡単ではないというのがよくわかりました。「政治的に正しい」というのは英語のpolitically correctに対する訳語で、「差別や人権に目配りした用語法」です。

炎上CMでよみとくジェンダー論


「政治的に正しい」というのは英語のpolitically correctに対する訳語で、「差別や人権に目配りした用語法」なんて、初めて知った。
自分にかえって考えると、相手に丁寧に接するようにしてはいましたが…これからは「差別や人権に目配りした用語法」を意識してみよう。


本を読みながら、思い出したことがある。
研修医の時だからもう10年近く前、女性看護師さんに言われたこと。

「先生、前はきれいにしてたのに、髪の毛ぼさぼさだね。どうしたん?」

感じの良い方だったので、その時これはいけないと思ってその後気を付けるようにしたのだけど。
「言ってくれてありがたいな」ぐらいに思っていたのだけど。

今は、こういうことを言う時代ではないということは、明らかだろうな。

2020年代に、「女子力」なんぞを強調する議論があったとしたら、それは女性を型にはめる議論であること、そしてときには命に係わるような問題であることに意識的であってほしいと思います。

炎上CMでよみとくジェンダー論

女性である私たちも、無自覚な発言には気を付けたほうがよい。

そこでもう一言つけ加えるとすれば、これらのCMが炎上したのは、誰かの価値を一方的に下げ、「それを引き上げましょう」という形で発信していることが一因ではないかと思うのです。

炎上CMでよみとくジェンダー論

よく子どもに言っていることがある。

「自分がすごいっていうために、誰かを下にさげるような言い方はやめようね」

自尊心を満たすために、誰かを蹴落とすような言い方は、不快だということはある程度共通した世の中の認識だろう。

働く女性が増え通勤の場での女性のプレゼンスが高まったことも踏まえ、公共空間のルールや均衡点を変えていく必要があります。おじさんたちばかりの空間だったから許されたものが、「環境型セクハラ」と呼ばれれうようになるのです。

炎上CMでよみとくジェンダー論

そういう理由で、コンビニにも成人向け雑誌が大量にあっても許されている世の中なんだなと腑に落ちた。


どちらも「女性が見てどう思うか」という発想が皆無なのです。

炎上CMでよみとくジェンダー論

この一文で、一定の割合以上で男女が存在する方が望ましそうだと再確認。


本の中で紹介されていたオンライン署名サイト、Change.org。

個々の署名の力も甘く見ていた。


とはいえ、私も最後の方に書かれていたLGBTQIAに関しては無知な部分が多い。
ざっくりまとめてあった明石市のHPを載せておく。


自分ごとではないことは、世の中の大事な問題として捉えにくい。
でも、マイノリティ側の問題を緩和していくことは、世の中を生きやすくすることの一歩だ。

自分はマジョリティの側面も、マイノリティの側面も持つ。

その前提で、世の中と関わるともっと世界を生きやすく変えられる気がする。
読書って面白い。


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