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小笠原千秋
2021年8月23日 17:10
前作(『日本・現代・美術』)を含め、大きなテーマは「悪い場所」である。戦後日本に(のみならず、近代からずっと)続いてきた「反復と忘却」は、日本の美術史という枠組みを成立不可能にしてきた。そして、災害が繰り返される日本列島という成り立ちもまた、日本美術史の成立を阻んでいる。というか、その「繰り返される災害」という視点でこそ、初めて日本の美術というものをくくれるのではないか。ヨーロッパ史から地