マガジンのカバー画像

From Munich

21
ドイツ・ミュンヘンに留学中の弁護士が、欧州での生活、旅、そしてこれまでの弁護士生活で感じたこと、これからのことを自由気ままに書き連ねています。 なお、記載している内容については…
運営しているクリエイター

記事一覧

2017年を振り返って-ドイツで迎える2回目の大晦日

2017年もあと1日で終わります。 ドイツで迎える大晦日も2回目となりました。 また弁護士登録してから9年目が終わり、10年目を迎えています。年齢も35歳から36歳になりました。 今年1年どんな年だったのか、備忘のためにも振り返ってみたいと思います。 1.2107年にやりたかったこと

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔12〕-弁護士がドイツ留学を選んだ理由

日本の法律のなかにはドイツを母法としているものが多くあります。 例えば、日本の商法は、ドイツ人であるヘルマン・ロエスレルによってドイツ語で草案が書かれたといわれています。 また、私が専門とする知的財産法も立法当時、ドイツ法から多くの影響を受けており、ドイツ法と非常に似た規定が存在しています。 とはいえ、ドイツに留学する法律家の多くは学者であり、ドイツに留学する弁護士というのはそれほど多くありません。 一般的に、弁護士の留学としては、アメリカのロースクールにあるL.L.

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔11〕-弁護士は留学すべきか

「なぜ、わざわざ弁護士になってまで海外に留学に来たんですか?」 ドイツに来てミュンヘンで出会った人からそう聞かれたことがあります。 確かに、一般の人にとって弁護士が留学する、というのは不思議に映るかもしれません。 日本で働いていればそこそこの収入もありますし、キャリアも維持できます。 それを捨てて海外に行くということはどういうことなのか、なぜ留学しようと考えたのかについて、私の経験を書いてみたいと思います。

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔10〕-司法修習開始までの期間の過ごし方

司法試験後、司法修習が始まるまでの期間はかなりの時間があります。 私のときは5月に司法試験が終わり、確か11月に司法修習が始まったので、約6か月近くはニート生活をしていたように記憶しています。 当時の私の周りをみても、万が一の事態に備え、来年の試験のための勉強を早くもスタートさせる人、旅行に行く人など、それぞれ色々な過ごし方をしていました。 ただ、私の経験を振り返ってみると、私自身は、この6か月間、非常に無駄な時間を過ごしてしまったと反省しています。 あのときの自分に

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔9〕-15年前にヨーロッパを旅して出会った欧州サッカー文化

今日からドイツではブンデスリーガが開幕します。私が住んでいるミュンヘンを本拠地とするバイエルン・ミュンヘンはレバー・クーゼンとの試合で幕を開けます。 また街中にユニフォームを着たファンが溢れかえるシーズンがやってくると思うと楽しみで仕方ありません。 ミュンヘンの街でこうした光景を見ているだけで15年前にヨーロッパを旅しながらサッカーを観て回ったときの強烈な印象を思い出します。 いまでこそ弁護士としてサッカーや野球をはじめとするスポーツの仕事をさせてもらっていますが、その

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔8〕-残りの1割に神が宿る

ミュンヘンは冬から一気に初夏になって、そこかしこと昼夜問わずにビールを飲む人々の姿が増えてきている。 日本では司法試験を終えて、受験生たちは合格発表までの期間を落ち着かない気持ちで過ごす時期となっていることだろう。 今日は、そういったトピックスとは関係ないのだが、自分が弁護士としていつも心掛けている言葉「残りの1割に神が宿る」ということについて書いてみたいと思う。

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔7〕-司法試験直前期の過ごし方

今週のミュンヘンは4月下旬だというのに毎日雪が降っているが、日本ではもうすぐゴールデンウィークがやってきて、それが過ぎれば司法試験がやってくる。 今年の試験の日程をみると5月17日から21日まで、とあるのでもう1か月切ったというところだろう。 自分が試験を受けたときとは試験科目も日程も随分と変わっているので、どの科目についてどういった勉強をしたのか、という細かいところはあまり参考にならないと思われる。 そこで、当時のことを思い出しながら「直前期の過ごし方」について書いて

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔6〕-弁護士は後輩の「育成」をしなければならないのか

夜の空いた時間に更新するように心掛けているのだが、今日はEU著作権法のシンポジウムで朝から夜までずっと英語を聞いていたので、ソフトなテーマで書いてみる。 会社や役所に勤めている方であれば、「部下」というものがいて、その指導を行うのが通例であろう。 しかし、弁護士には「部下」という概念はないと思っている。あくまで「後輩」であって「部下」ではない(と信じている)。 それは、大規模事務所だろうが何だろうが弁護士は個々人の名前で仕事をし、責任を持たなければならない存在だからでは

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔5〕-帰国子女ではない弁護士が英語、ドイツ語を学ぶ理由

札幌生まれ、札幌育ち。 初めて北海道から出たのは高校生のときの修学旅行で京都・東京に行ったとき(ちなみに、そのとき初めて飛行機にも乗った)。 本州に初めて上陸したとき、北海道にはない「瓦屋根」というのを見て感動したのをいまでも覚えている。 そんな生い立ち故に帰国子女でもないし、まして北海道からもろくに出たことがなかった。

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔4〕-ジェネラリストかスペシャリストか

「知財弁護士は食えない」 こんな言葉を何度と聞いたことだろうか。

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔3〕-「弁護士の7・5・3」との出会い

弁護士登録をしたのが2008年12月で、TMI総合法律事務所に入所したのが2009年1月。 弁護士登録は二回試験の合格発表直後で事務所への入所は年明けからというのが一般的なスケジュールだったように思うが、私が入所した年は、リーマンショック直後の年だった。 その年、いくつかの外資系法律事務所は日本から「撤退」したという話を聞いたし、ファイナンスに関する仕事は激減していた時期だったと思う。 不景気のなかでも駆け出しの弁護士1年目は仕事で(というよりも慣れない仕事に四苦八苦し

¥100

アウグスブルク大学でのシンポジウム登壇-ロクラクⅡ最高裁判例を題材に-

今回、ミュンヘン地裁の判事から声を掛けて頂き、「Die Rolle der Sondervoten in Entscheidungen des Obersten Gerichtshofs Japans」というシンポジウムに登壇する機会を頂いた。 会場はアウグスブルク大学。 ミュンヘンから電車で1時間もしないで行ける距離にあり、大学の場所も宇佐美選手が所属するFCアウグスブルクのホーム「WWKアリーナ」にほど近い。 大学に入ると大きな池とその中に謎の赤い鳥居があるのがみえ

ある弁護士のキャリア形成〔2〕-役人として働くことと弁護士として働くことは何が違うのか

2012年7月から2014年12月の2年6か月間、私は文化庁にある著作権課に出向していた。 そこで「著作権調査官」なる肩書を拝命していたのであるが、仕事は名前とは違って著作権法に関することは何でもやった。

¥100

ある弁護士のキャリア形成〔1〕-はじめに

今年の司法試験も年が明ければもう少し。徐々に勉強のペースをあげているころではないでしょうか。 司法試験という試験を突破しても、その後に裁判官になるのか、検察官になるのか、それとも弁護士になるのか、多くの方が言うように司法試験に合格して法曹となった後に何をするのか、というところがもっとも人生においては重要であり、難しいところです。 私自身も受験時代には弁護士になって、ああしたい、こうしたいと考えていましたが、弁護士になったいまでもこれから何をしていくべきか、何をすべきかにつ