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ライブ配信エンジニアがwebを活用して顧客獲得する為に(1)

 本noteでは配信エンジニア歴12年の自分が企業系ライブ配信中心に業務を行なってきたことで感じた重要ポイントを列挙します。一つの意見として捉えていただけたら幸いです。

ABOUT-これまでやってきた企業系ライブ配信

 私は2009年頃から趣味でニコニコ動画の個人チャンネルでライブ配信を、そして翌年から製薬系を中心とした企業様や、イベント出展企業・株主総会等の配信にフリーランスの立場で携わってきました。

 ちょっと時代を感じる部分ですと、ISDNという回線を使って配信をしたことでしょうか。一本あたり128kbの速度ですが、これを複数本束ねて数百kbの帯域を確保してどうにか講演会系の配信を行うという、今では考えられないほどハードな環境構築でした。
 
 今やビジネス系からエンタメ、教育まで様々なライブ配信のジャンルが確立されています。しかしそれを「ライブ配信」と一括りにするにはなんとなく業務内容に違和感を感じるところです。
 
 そこで今回、各ライブ配信現場で大事にされることを挙げてゆくことで、今後の自身のライブ配信エンジニアとしての振る舞い方をブラッシュアップしてゆきたいと思っています。

エンタメ系ライブ配信の特徴

 ゲーム、音楽、アニメ、サブカルチャ諸々。そんな現場がこれらに属するでしょうか。いかに視聴者を引き込み、楽しませ、出演者も視聴者も一体となってその時間を楽しむことができるか。双方向であることを強みに、各ユーザーが発するコメントなどにも重きを置いて、先の見えない番組の行き先を目指してゆきます。いわゆるマルチエンディングな番組。
 
 同時接続数などの数字を気にし、露出の多さが今後のブランドの左右する。

 ファン(視聴者)とのエンゲージメント・結束力が何より
 現場のディレクション能力は求められる
 回線の安定は二の次
 多チャンネル配信(twitter,facebook,YouTubeなど同時配信)
 ビジュアルで魅せる(音楽ライブとか)ならカメラ性能(ボケとか)
 1080/60p
 企画構成能力 ▶︎ これはpの仕事かな
 屋外でも配信できる(無線知識への精通)
 ワンオペでも出来る ▶︎ 低価格対応にも💦
 チケット制などの有料配信に多少精通
 twitterなどからコメント拾いが出来る
 画作りができる ▶︎ OBSに精通すれば行けるか
 先進技術(VR、4k etc..)の採用
 急な対応を求められる

 ざっくりあげてこんな感じだけど、他にもたくさんありそう。
自分としては技術があるということよりも、現場の空気感を大事にして進行できて、何かトラブルがあってもちゃんと走り抜けられれば大きな問題には発展しなさそうな気がします。

 当然ノートラブルの方がいいに決まってます。ただ、「そんな時もあるよね!」と済まされてしまうことがあったり、逆にそれを一つの演出として面白いことを考え、実行に移せる対応力の方が求められそうな気がします。だたそれは、配信者の仕事ではないんですが笑

エンタメは視聴者をひきこんでナンボの世界

 だというのは一貫して思うところ。だから愚直な「配信技術いかがっすかー」みたいな売り込みでは、今は良くても淘汰されるのは必然だと思う。「あんた、そんなこともできちゃうんか!」っていう面白い提案が出来てるのは、エンタメ特化型配信エンジニアの目指すところかもしれない。

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企業系ライブ配信の特徴

 企業といっても様々ですが、私が取り組んできたのは講演会や株主総会・発表会・アワード等です。メッセやビックサイトで行ったものもありますが、それはどちらかというとエンタメ寄りかもしれません。

 企業系の現場はほとんどがホテルや会議室で、落ち着いた場所で行うことが多いです。数ヶ月前など事前に予定を押さえられることがほとんどです。スーツ着用などのドレスコードが求められることもしばしばで、いわゆる硬めの現場と思われます。

 絶対に途切れない ▶︎ 機器の冗長化
 視聴者のケア
 高画質にはこだわらない ▶︎ 情報が正しく受け取れる
 出演者の満足度の向上
 ホテルや企業内エンジニアとのやりとりが可能 
 ▶︎ 回線、音響等の打ち合わせができる

 見積もりが正しく作れる
 信頼できる、確かな機器のセレクト
 価格よりも確実性を求められる
 ミスは企業イメージの損失
 打合せ通りの進行
 有事の際の即時対応 ▶︎ エンタメよりもシビア
 映像・音響・配信の仕事分けが出来ている
 ▶︎ ワンオペである必要はない

 配信サーバーをレンタルするなどのクローズド配信もある

 正直言えば、何しようが最後までノーミスで走れば良いという現場。
そのために入念な打ち合わせや確認作業、トラブルシューティング能力が求められます。機器操作に関する知識は、エンタメ系とは別方向です。

例えば回線ひとつを挙げても・・・

ホテルで配信を行うとします。

 この場合ネットワークの一つはホテル既設回線。事前に本番と同じ時間体で回線チェックを行います。スピードチェックと帯域の安定性の確認。それとホテル内回線のリース期間の確認などなど。

 しかしそれは、バックアップ回線として使用します。メイン回線は一ヶ月以上前にホテルの方と打ち合わせをしてNTTの臨時回線を手配し、ONUを設置してもらいます。

 メイン回線用にプロバイダを用意します。もし、ホテル既設回線がAというプロバイダを利用していたら、それとは違うBプロバイダを用意します。プロバイダも落ちる可能性があるからです。

 そして最後にWifiを準備します。ただそれは冗長化に冗長化を重ねた最後の手段であって、ほとんど使うことはありませんが何かあったときの最後の手段です。

 というように、企業系の配信は回線一つでも神経を使います。それは前述の通り、配信のトラブル・停止は企業イメージの損失になるからです。株主総会になれば、そこで動く金額は計り知れないものになります。だからこそですが、企業系の案件は高報酬になり、責任も多くなります。

絶対なんてあり得ないけど-企業配信

 ミスが絶対に起こらない配信なんてあり得ません。ただ、これらを未然に防ぐための知識は、ケーブル一本とってもそのノウハウがあります。これらを知っているか否かがライブ配信エンジニアのスキルに委ねられます。そしてこれらは座学ではなかなか身につかなく、経験でしか身に付かなかったりもします。
 
 もし、視聴者の通信環境が細かったらライブ配信が見られないのか?それは発信者側の責任になるのではないか?そんな疑問を投げかけられたことがあります。誰もがそれは視聴者側の責任であり、発信者側に落ち度はないと思うでしょう。ただ、こうした事態を避ける手段はあります。
 
 企業、講演会系の配信はパワーポイントのスライドを用いることが多く、人物等の映像の明瞭さや動きの滑らかさは求められません。ライブ配信において静止した映像は時間とともに明瞭になってゆきます。(キーフレーム設定)
 
 なので企業、講演会系配信は 500kbps /15fps /key 5sec /720p etc…といった、エンタメ系ではあまり使わない設定をチョイスすることで、視聴者側のWi-Fi環境が脆弱であっても全く見られないという事態は避けられます。これもまた、エンジニア側の知見に関わってきます。

 お伝えしたいことはたくさんあるけれど、あまりに触れすぎるとご迷惑をおかけする部分もあるのでこれぐらいで。次のnoteではテレビの生放送とライブ配信の違いについて掘り下げてゆきます。

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