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サービスエリアでのグルメ!

今から30年以上前の話・・・

私がまだ小学生の頃の話をします。

要は悪ガキだった頃の未知との遭遇の話・・・

4人兄弟の次男で負けん気の強かった私は兄弟の中でも1番を目指していた。

スポーツだけでなく食い気も例外では無かった。



我が家はお盆休みに家族旅行を兼ねて墓参りに行くのが習わしだった。

子供には苦痛で長時間車の中で退屈なのと何より車酔いがひどい・・・

今なら車酔いはしないが当時のオトンの運転は荒く勇しく戦国時代の武将が馬に乗って戦に出るかのようだった。

ウインカーなんて出した事ないんじゃないかな・・・(オトンの名誉の為に言っておくが今はゴールド免許!無事故!動体視力の衰え無し!)・・・奇跡だ!

でもそんな荒い運転に耐えてでも価値があるのはサービスエリアでの休憩!この時の昼ごはんが幸せ!

いつも決まって我が家はカレーライス6人分!即決!6人家族だとバラバラに注文をすると料理が揃って出てこない。なんなら最初に出てきた人が食べ終わったぐらいに揃ったりするのでお盆は特にみんな同じメニュー!

平和だ。

カレーライスが来るまでみんなお冷やにスプーンを浸して待つのが我が家の流儀!お盆のサービスエリアで食べる年一回のカレーライスへの敬意だ!

とうとうカレーライスの登場!!!

待ってましたの勢いでガッツク兄弟!!!!

『ヴっ!!!』

兄弟のスプーンが一斉に止まった!

微笑ましく見ていてくれているオカン

ショートホープをふかすオトン

両親のカレーライスも登場

遅れて両親もパクリと一口

止まった!

スプーンが止まった!!!

頬張る両親・・・ フリーズした兄弟・・・

『食べるのやめなさい!』鬼の形相のオカンが僕たち兄弟に警告

すでに兄弟はアイドルの引退コンサートのような表情とマイク代わりにスプーンを置いていた。

そして少しの沈黙の後

『酸っぱい!』

そう!カレーライスが酸っぱいのである!一大事である!

我が家の常識

いや世界の常識

いやいやカレーライス界の常識で酸っぱいものは腐っている!

酢の物以外モノが腐っている時は酸っぱいのは不動の事実!

オトンがキレ気味で店員さんを呼び止め『これ腐っとるがな!お前食ってみろや!』

まぁまぁキツいクレーマーである・・・

『申し訳ございません。すぐにお取り替えいたします』お盆の幽霊にでもなったかの顔色に変化した店員さん

気の毒である。

全ての皿を下げられ作り直してもらっている間イライラmaxのオトンの機嫌をとる術を兄弟・オカンには無かった。

ショートホープがこんなに短いかってぐらいに勢いよく短くなりまた次のショートホープへと移り変わっていく。兄弟はただ黙って眺めていた・・・

すると店員さんが急ぎ足で駆け寄ってきて『申し訳ございません。先ほどお出ししたカレーライスなんですが手違いでハヤシライスをお出ししたようなんです。』

ハ・ヤ・シ・ライス???

なんじゃそれ?

そぁ家族全員ハヤシライスを知らないのである。

『あ〜あのハヤシライスね』すまし顔のオカン

『ハヤシライスならええやん!』もはや意味不明のオトン

『オカン ハヤシライスって何?』

『そんなん決まってるやん!ハヤシライスは林さんが作ったんやで』

当たっている!またまた奇跡だ!

大体◯◯さんが作ったと言っておけば当たるとこの時知った!

サンドイッチもそうだ!

こうして未知との遭遇を家族全員で果たしたのである。

家族旅行から返ってきたその日はまさかのハヤシライスだった・・・まさかすぎる。

しばらくハヤシライスが続くと家族全員確信したのです・・・


2日目にハヤシライスは姿を変えていた

上にチーズが掛かっていてオーブンで焼いた代物に変化していたのだ

オカン曰く『ハヤシライススペシャル』

なんでネーミングセンスなんだろう・・・負けん気も強すぎる!

『林さんの作ったハヤシライスは普通やん?アレンジしてやった!』

もはや言葉を失う


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そんなオカンは近所の喫茶店に行くのが好きだ。

それについて行くのが僕は好きだった。なぜならオレンジジュースを飲めるからだ。

ある日、喫茶店でランチをすることにした。

するとランチメニューにハヤシライススペシャルがあった!

『オカンなんでハヤシライススペシャルあんの?』

そぉおオカンは自慢のハヤシライススペシャルのレシピを喫茶店のママに教えてメニューにさせていたのだ・・・

喫茶店のママからしたらオカンの存在は未知との遭遇だったろう

近所に喫茶店は他にもありなぜか全ての店でハヤシライススペシャルがメニューになっている。なぜだろう・・・理由は察しがつくと思う・・・


30年以上経った今でもハヤシライススペシャルはあるのだろうか・・・

また食べたいがきっと食べるとオカンを思い出して涙が流れるのだろう・・・

おいしかったよオカン!

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