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僕の選んだ「2020年の年間ベスト映画/ライブ/アルバム」

2007年にアメブロで始めてから個人的に続けている年間ベスト作品選び。備忘録としてあとあと仕事にも役立つことがあるので、これも自分のためと思って今もやめずにおいている。

こういうものはその年の終わりに発表するメディアや個人が多いわけだが、自分はいつも年が明けてから振り返ってまとめることにしている。というのも12月に「良作!」と思えるものがリリースされたり公開されたりすることが多いから。12月作品を次の年の年間ベストにまわすとなると、極端に昔のものに思えてしまって、なんだか違和感があるのだ。ただ最近は多くのひとが年末年始に自分なりの年間ベストを発表するようになって、特に去年はnoteが普及したこともあり、本当にたくさんのひとがあげていて(しかもnoteに書かれているみなさん、どの方も広く作品を観たり聴いたりされていて、そのうえ文章が上手くて感心する)。その波がひとしきり去ったあとの発表なので、なんとなく後出しジャンケンみたいになってしまっている感も否めない。なので、次やるときはやはりもう少し時期を早めたほうがいいんだろなと思っているところも(今更ながら)あったりはするのだけど。

尚、「僕の選んだ~」というタイトルもアメブロ時代からのもので、ずっとそれで続けてきたから今回も使っているが、ちょびっと恥ずかしくなってきた感もあるっちゃある。なので次回はシンプルに「〇〇年・年間ベスト」とするかも。まあ、読者にとってはどうでもいいことですね。

で、例年は「映画」「ライブ」「アルバム」と分けて発表してたんだが、このタイミングで小出しにするのもアレなので、今回はまとめて出すことにした。2020年、自分はどんなアルバムや実演や映画に心動かされていたのか。

2020年はコロナ禍で新作映画の公開本数が極端に減り、ライブもできない時期が続いたため、劇場やコンサートホールやライブハウスに足を運ぶ回数が例年に比べて激減した。みんなそうだろう。その分、家にこもってサブスクを利用しながらたくさんの音楽作品を聴き、たくさんの映画やドラマを見たというひとが多いようだが、自分はというとその時間も少なかった。そういう落ち着いた時間が取りづらかった。理由のひとつは叔母の病状の悪化で、ステイホームと言われていた時期にもその対処で動かざるを得なかったから。気持ち的にも家でゆっくりテレビ見たり音楽聴いたりというふうにはあまりなれなかったのだ。

また音楽に関していうと、自分の場合、ライブ経由で作品に触れることが今までかなり多かったことに気づいた。複数のアーティストが出演するイベントやフェスでライブを観て、いいなと思って作品も聴きたくなる。で、聴く。ライブを観ることと作品を聴くことが分かち難く結びついていたのだ。しかし2020年は観たライブ数が極端に少なかったし、野外フェスにいたっては、わずか1本のみ。そうなると作品を聴くということの動機自体が薄れると、そういうわけだ。

そんなわけで2020年は、自分にとって外でも家でもカルチャー摂取量の低い年となった。ライブが観れなかったのはしょうがないが、家でじっくりアルバムを通して聴く時間も例年と比べてずいぶん少なかったし、テレビで映画やドラマを見る時間も少なかった(ニュースを見る時間だけがかなり増えた)。

そんななかでの年間ベストだが、本数は少なかったものの……というか少なかっただけに尚更、深い余韻を残したライブや作品、忘れ難いライブや作品がハッキリとある。こういう世の状況、こういう自分自身の状況だからこそ、強く心に響いた作品(または実演)、救いになった作品(または実演)。そういうものを自然に選んでの結果になっている気がする。

選んだもののひとつひとつの解説・感想はここでは改めて書かない。映画とライブの感想はそれを観た直後にnoteに書いたものを貼っておきます。

では。

2020年私的年間映画ベスト10。

10位:『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』

9位:『パブリック 図書館の奇跡』

8位: 『スウィング・キッズ』

7位: 『レ・ミゼラブル』

6位: 『mid90s』

5位: 『はちどり』

*感想note書き逃し。静謐、でありながらも鮮烈。脚本の素晴らしさは『パラサイト 半地下の家族』を上回り、韓国の映画賞「青龍賞」にて最優秀脚本賞を獲得したことにも納得。

4位: 『WAVES/ウェイブス』

3位: 『パラサイト 半地下の家族』

2位: 『ジョジョ・ラビット』

1位: 『佐々木、イン、マイマイン』

なんたって『佐々木、イン、マイマイン』だ。ダントツ1位。自分にとっては5年にひとつの傑作かつ重要作。たまらなく愛しい。2020年は『佐々木、イン、マイマイン』と出会えた年として記憶したいほど。ほかに『悪人伝』、『SKIN/スキン』(短編のほうがより衝撃度が高かったが、長編もガツンときた)、『リチャード・ジュエル』、『メイキング・オブ・モータウン』などもよかった。連続ドラマで楽しんで全話見たのは『梨泰院クラス』。それと年末に日本映画専門チャンネルで一挙放送された深田晃司監督の『本気のしるし』が凄かった(劇場版は観てないのだが、再上映されているようなので観にいかねば)。一方、世で大当たりした『愛の不時着』は1話目で、アニメの『鬼滅の刃』は5話目あたりでノレずに脱落した。

2020年私的年間ライブベスト10

10位: Anly@渋谷duo MUSIC EXCHANGE

9位: ヴィンテージ・トラブル@ビルボードライブ東京

8位: 鬼束ちひろ@オーチャードホール

7位: ホセ・ジェイムズ@ビルボードライブ東京

6位: タンク・アンド・ザ・バンガス@ブルーノート東京

5位: starRo@清里テラス(ハイライフ八ヶ岳2020)

4位: 亜無亜危異@神田明神ホール

3位: 神聖かまってちゃん@ゼップダイバーシティ

2位: 梅津和時・プチ大仕事2020「梅津和時、七尾旅人」@新宿ピットイン

1位: Jagatara2020@渋谷クラブクアトロ

2019年に観たライブの本数は、(複数のアーティストが出演するイベントやフェスを1本と数えるとして)136本。グリーンルームやFFKTやフジやサマソニといったフェスでは数十組ずつ観てるので、計200数組の実演を観た。自分にとっては例年通りだ。それに対して2020年に観た本数は、(複数のアーティストが出演するイベントやフェスを1本と数えるとして)30本。野外フェスは「ハイライフ八ヶ岳2020」1本だけで、屋内フェスとして開催された「Slow LIVE '20 in Forum」2日間の全組を合わせても50組程度。ということは、2019年から本数にして約100本の減少。アクト数は4分の1程度となった。これほどライブを観なかった(観ることができなかった)のは一体何年ぶりだろうか。ライブを観に行くことをずっと日常としてきた自分にとっては、恐らく数十年ぶり(たぶん学生の頃以来)のことになる。しかも3/8の梅津和時・プチ大仕事2020@新宿ピットインから8/8のorange pekoe@ビルボードライブ東京までの5ヶ月間は、0本! コロナによって、ライブを観るのが日常だった自分の暮らし方は大きく変わることとなった。

コロナ前に観たライブはもう遠い昔のことのようだ。(最初の)緊急事態宣言発出の前とあとでは「ライブを観る」ことの意味、あるいは重みが違っている。今は再び有観客でのライブの開催が難しくなってしまった。故に尚更、8月以降に何度か観ることができた有観客のライブの幸福感が大事なものに思える。

3月から5ヶ月間、1本もライブを観に行けなかっただけに、久しぶりに観に行けたときの「これだよこれ!」「やっぱナマじゃなきゃ!」といった感覚はひとしおのものだった。そのことについて書いたのが下の記事だ。

1月に観たJagataraの復活ライブで改めて感じ入った江戸アケミさんの歌詞の内容、それとその2日後にインタビューした際のOtoさんの話(「ここからの10年で日本はすごい崩壊が起きると思っている」といったこと)は、ある意味でパンデミック後の現世界を言い当てており、強く記憶に残っている。あのJagatara祭りがコロナでこうなる直前に行なわれたことには大きな意味があったのだ。

アラバキにもグリーンルームにもFFKTにもフジにも朝霧にも行けなかった年だったが、それだけに唯一行くことのできた(開催してくれた)「ハイライフ八ヶ岳2020」の2日間も自分には大きかった。とりわけ2日目の朝、濃霧のなかで体感したstarRoのDJは神秘的で、あの光景が忘れられない。自分のなかで2020年に見た最も美しい光景であり時間であった。

2020年私的年間ベストアルバム。

これに関しては、ベスト10ではなく順不同で。昨今は邦楽洋楽を混ぜて選ぶのが一般的になったが、自分のなかでは未だに混ぜることに違和感がある。今でも洋楽は洋楽耳で、邦楽は邦楽耳で聴いている感覚がどうしてもあるのだ。なので、今回も洋楽編と邦楽編に分けて選んでみた。

邦楽10作品。

●藤井風『HELP EVER HURT NEVER』

●ellie『NEO BITCHIZM』

https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kV01s5vxuTemoU3_J4aI1r8qvys4QJI7Q

●鬼束ちひろ『HYSTERIA』

●Glider『Spectrumation』

●黒田卓也『フライ・ムーン・ダイ・スーン』

●Kan Sano『Susanna』

●杏沙子『ノーメイク、ストーリー』

●GOOD BYE APRIL『Xanadu』

●mei ehara『Ampersands』

●The Familytone『背徳の夜間飛行』

藤井風しかりellieしかりThe Familytoneの室さんしかり、ありがちな文体じゃなく自分なりの言い回し(言語センス)をもって歌えてるひとがやっぱり強いし、それを音とメロにスムースに乗せられるひとが最強なんじゃないかと改めて感じた。ほかによく聴いたのは、Rei『HONEY』、T字路s『BRAND NEW CARAVAN』、広沢タダシ『NIGHT SONGS』、夜のストレンジャーズ『フリーバード』など。

洋楽10作品。

●ビーバドゥービー『Fake It Flowers』

●ノラ・ジョーンズ『ピック・ミー・アップ・オフ・ザ・フロア』

●マーカス・キング『エル・ドラド』

●ローラ・マーリング『Song For Our Daughter』

●ヌバイア・ガルシア『ソース』

●リアン・ラ・ハヴァス『LIANNE LA HAVAS』

●メロディ・ガルドー『サンセット・イン・ザ・ブルー』

●フィービー・ブリジャーズ『Punisher』

●ルーファス・ウェインライト『Unfollow The Rules』

●メイヤー・ホーソーン『Rare Changes』

ほかに、エイドリアン・レンカー『songs and instrumentals』、カイリー・ミノーグ『DISCO/ディスコ』(「Magic」をクルマのなかで聴いたときには号泣した。2020年を代表する大名曲だと思う)、ルーマー『ナッシュヴィル・ティアーズ』、フィオナ・アップル『Fetch the Bolt Cutters』、ブルーノ・メジャー『To Let A Good Thing Die』、UKジャズものコンピの『ブルーノート・リイマジンド』など。

ローラ・マーリング、ルーファス・ウェインライト、フィオナ・アップル、メロディ・ガルドー、ノラ・ジョーンズ、カイリー・ミノーグ、邦楽では鬼束ちひろと、ある程度のキャリアを持つソロアーティストが、そのひとのなかでもポップ性があって比較的リスナーフレンドリー……端的に言うなら親しみやすく、しかも有する個性の核となるところを躊躇なく出したアルバムを多く聴くことができた年だったように思う。今は横道に逸れてる場合じゃないし、変化球を投げてる場合でもないというような。そういうタイミングなんだろな。

因みにMVPを選ぶなら、ノラ・ジョーンズ。パンデミック以降、いかに活動スタイルや表現方法を変化/更新させて続けていくかという命題にまったく向き合わずにいた表現者は少ないはずだが、ノラはとにかく自宅から頻繁に自身の曲や新曲やカバーを弾き語りで届けるということをし続けた(今も続けている)。それはシンプルな行為だが、あれだけの頻度でそれをやり続けているミュージシャンは(メジャー・マイナー問わず)そうそういないし、どれだけそれに救われたり癒されたりしたことか。という意味で。

尚、先にアルバムを通して何度も聴いた作品は例年に比べて少なかったと書いたけど、曲単位で好きになって繰り返し聴いてたものはけっこうあって。それをまとめたのが下のプレイリストです。

my best of 2020 list 邦楽編、65曲。

my best of 2020 list 洋楽編、70曲。


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