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会社の中心にコミュニティ(顧客/ファン)を置く
※本投稿は、コミュニティマーケティングAdvent Calendar 2023 の12月9日のエントリーです。
自己紹介・会社紹介
皆さん、こんにちは!
(株)ヤッホーブルーイングの佐藤潤(ニックネーム:ジュンジュン)です。
本日はこれまでのヤッホーブルーイングの歴史を「コミュニティ」という視点で振り返り・整理してみたいと思いますので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。
(株)ヤッホーブルーイングは「よなよなエール」「インドの青鬼」「水曜日のネコ」「正気のサタン」などのクラフトビールを製造・販売しています。
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創業は1997年。本社は長野県の軽井沢町。フラッグシップビールは「よなよなエール」。誕生日は1997年7月7日。今年で27年目の製品です。
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会社のミッションは「ビールに味を!人生に幸せを!」
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世界では「ビールの多様性(バラエティ)」が広がっていて、その日の気分や食事、相手に合わせて飲むビールを変えたり選んだりする日常があります。
私たちのミッションには、そんな素敵で楽しいビール文化を日本の市場にも根付かせたいという想いが込められています。
もちろんヤッホーブルーイングの全メンバーは本気でこのミッションの実現を目指していますし、メンバー各々が考える企画や行動の大切な道標になっています。
コミュニティの原点
原点は2004年に通販(よなよなの里)を開始したこと。
当時はビールメーカーがD2C(Direct to Consumer)で直接お客さまと繋がるだなんて珍しい時代でした。
でも私たちは通販をしなければならない理由がありました。それは通販が会社を存続させるための「最後の販路」だったからです。
創業当初は流通(スーパー・コンビニ)での取り扱いが主で業績は右肩上がり。しかし1999年をピークに業績は右肩下がり。地ビールブームの興隆と終焉です。ブーム終焉とともに流通店頭からよなよなエールがどんどん取り下げられていき、最後に残された販路が通販でした。
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そこから全国にいらっしゃる数少ないお客さまと直接繋がることができ、
「よなよなエールが通販でまた買えるようになって嬉しいよ!」
「これからも美味しいよなよなエールを造り続けてね!」
「応援してるよ!」
と励ましの言葉をかけてもらえたことが再起への原動力になりました。
通販サイトでのコミュニケーション
(昔も今も)私たちは「よなよなエール」に経営資源を集中しています。「クラフトビールといえば?」「よなよなエール!」とお客さまに思い出してもらえるようになるためです。第一想起。一点集中しています。
ですので、当時の通販サイトやメルマガのコンテンツは「よなよなエール」がメインでした。「よなよなエールへの愛情やこだわり」「ミッションへの熱い想い」など。
愛情・こだわり・ミッションといった熱量高めの情報だけなく、”クスッ”としてもらえるようなセット商品を販売したり、フォトコンテストでお客さまと双方向のコミュニケーションを意識したり、楽天shop of the year授賞式ではユニークな衣装を着て出席し、その様子をイベントレポートにしてお客さまに御礼と報告をしたり。
「ビール造りへの情熱と遊び心」に触れてもらうことで、よなよなエールを飲まない日でもよなよなエールのことを思い続けてもらえるよう、あの手この手のコミュニケーションを企画していました。
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販売数は0セット!でも反響は良かったです
旦那様らしきお客様から醸造所へお電話があり
「あともうちょっとで妻を説得できそうなので、あと1日、販売期間を延長して欲しい」
と、おっしゃっていたとか…
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「私を旅行に連れてって」というテーマで募集
ユニークな写真がたくさん醸造所まで届きました
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(左:てんちょ 右:ジュンジュン)
この受賞式の様子をイベントレポートにして通販サイトへ掲載
お客さまへ楽天Shop of the yearに推薦していただいた御礼と授賞式を盛り上げてきました報告をお伝えしました
ファンイベントでお客さまとの距離がグッと近くなる
通販(オンライン)でのコミュニケーションに加えて、2010年からはファンイベント(オフライン)も開始しました。それによりお客さまと私たちの距離はさらに近くなりました。
「ファンイベント=お客さまと直接お会いすること」は良いことがたくさん!
お客さまから「美味しいビールをありがとう!」「楽しい企画をありがとう!」と言っていただける(本来御礼を伝えるのは私たちの方なのに😭)
お客さまから製品やサービスに関する感想や意見が直接聞ける
お客さまへ製品愛やミッションへの熱い想いを直接お伝えできる
お客さまへ私たちの目指している方向や方針をしっかりお伝えできる
お客さまの製品・企業への共感度と愛情度がアップする
友人/知人の方々をイベントに連れてきてくれる
友人/知人の方々によなよなエールをおススメしてくれる
ヤッホーブルーイングメンバーの仕事へのモチベーションが上がる
お客さまからのフィードバックが製品やサービスの改良/開発に繋がる
イベントを通して製品やミッションに共感してくださったお客さまが、次のイベントはで友人/知人/家族の方々を連れてリピート参加。友人/知人の方々もその次のイベントではさらに友人/知人/ご家族の方々を連れてリピート参加。「なんかよなよなエールのイベント面白いらしいよ!」と噂を耳にしたお客さまが新規参加。
そんな好循環が生まれファンイベントは初回40名から最終5,000名の規模までに大きくなっていきました。
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コミュニティ視点での振り返りと整理
通販を開始した2004年からファンイベント/業績が急成長し始めた2014年までの10年間を「コミュニティ」の視点で振り返ってみました。
明確なミッションがあった
メンバー全員ミッションの実現を本気で目指していた
メンバー全員自社製品が大好き
お客さまへ熱量高く製品愛やミッションをお伝えしていた
通販(オンライン)×ファンイベント(オフライン)を通してお客さまとのコミュニケーション量と質が上がり心理的安全性の高まっていった
製品愛・ミッションに共感してくださるお客さまと仲間/家族のような関係になっていった
いつも具体的にお客さまの顔を思い浮かべながら企画やサービスを考えられていた
お客さまとヤッホーブルーイングとの共感の輪が大きくなっていった
この一連の活動が「コミュニティ(共通の目的や趣味によって結びついた人々の集まり)」だったのではないかと思っています。
コミュニティ成長の基本原則「3つのファースト」にも当てはまっている気がします。
コンテキストファースト
何に共感して集まっているのか、どうしたいと思って集まっているのか。最初からストライクゾーン(関心軸)をきちんと提示しておくこと。トラストファースト
熱量を伝えて方向づけするための、心理的安全性の高い場をしっかりと築くこと。アウトプットファースト
コミュニティメンバーによる、外の人たちへの熱量の伝播。
*コミュニティマーケティングとは | #CMC_Meetup コミュニティマーケティングのコミュニティ (cmcmeetup.com)
会社の中心にコミュニティ(顧客/ファン)を置く
現在のヤッホーブルーイングメンバー数は200名を超えて活動領域もどんどん広がっていっていますが、中心にはいつもコミュニティ(顧客/ファン)があり「顧客起点の活動エンジン」と捉えています。
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コミュニティを中心に置きながら、お客さまの気持ちや行動に顧客志向のアンテナを高く張ることで、製品やサービスの改善・開発をスピーディに行えるようになる。
結果、お客さまに一層に喜んでもらえることでよなよなエールを永く愛飲していただけるようになる。
さらにお客さまとヤッホーブルーイングとの関係性(絆)に新しいお客さまが入ってきてくれる。
最後に
ただただシンプルに「お客さまに喜んでもらいたい!御礼を伝えたい!」を何よりも大事にして走り続けているヤッホーブルーイング。
今回これまでの活動を「コミュニティ」という視点で振り返り・整理してみて多くの気づきや学びがありました。
なんだか「再現性」がありそうじゃないですか!?
会社の規模が大きくなっていくと、お客さまの顔が見えなくなっていったり、顧客志向のアンテナが弱くなっていくかも知れません。
外部環境や市場が目まぐるしく変化していく中で、タイムリーにお客さまの動向を捉えるために、今後この中心に置くコミュニティは「オンラインコミュニティ」が大切になってきそうな気もしています。
手段は変われど、これからも会社の中心にコミュニティを置きながら、私たちの「強み・らしさ」を忘れずお客さまと一緒になって楽しいビール市場をつくっていく活動を続けていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
(ビールに味を!人生に幸せを! ジュンジュン)