見出し画像

ゲームミュージックに目覚める


今の時代、ゲームのバックに流れているBGMは、有名な作曲家が手掛けたり、フルオーケストラで演奏されたり、映画音楽にも近い存在となっている。
ゲームに夢中になり出した当時、BGMは無く効果音がピーピー鳴るようなゲームがほとんどであった。それゆえ、凝ったBGMが流れるゲームに対して、より興味を抱くようになっていた。そんなゲームミュージックにまつわる話である。

スペースハリアー

最初に感銘を受けたゲームミュージックは、スペースハリアーというSEGAがこの世に送り出した体感ゲームと呼ばれる動く筐体のアーケードゲームである。
シンセサウンドでノリノリのリズム、シューティングゲームに相応しいテンションを上げてくれる曲であった。
基本構成は、イントロ→Aメロ→Aメロ(オクターブアップ)→Bメロ→Aメロ
となっており、それがループされるのであるが、ステージ毎に曲の開始位置がずれていく。(1面はイントロから、2面はAメロから、3面はAメロ(オクターブアップ)から…というように)
ほぼ同じ曲がずっと流れているわけであるが、ノリが良いので全く聴き飽きないから素晴らしい。

アウトラン


スペースハリアーの次にSEGAが送り込んだのがこのゲーム。Ferrariのテスタロッサをドライブするレースゲームである。
ゲーム開始時に、テスタロッサのカーラジオのチャンネルを合わせる形で3曲のBGMから選択できるシステムとなっていた。それらが、「MAGICAL SOUND SHOWER」、「SPLASH WAVE」、「PASSING BREEZE」、個人的にはぶっちぎりで「MAGICAL SOUND SHOWER」推しである。
レースゲームとしては、リアル感は無いタイプのゲームであるが、広大なアメリカの大地を想像させるようなコース設定で、気持ちよくドライブできるゲームであった。

グラディウス


SEGAの作品が続いたので、次は別路線で。
コナミが誇る横シューティングゲームの原点とも言えるゲーム。
矩形波と呼ばれる音源を駆使して奏でるサウンドは、舞台となる宇宙空間のイメージに合う。
後にSEGAサターンに移植されたバージョンではクリアした時に流れるエンディングロールで、ステージ導入のBGMがピアノアレンジで流れており、凄まじく感動を覚えた。

FM音源との出会い


これまでに挙げた三つのゲームは好きな音楽ではあったが、それ以上に自分の音楽史に影響を与えたのは別のゲームである。FM音源で奏でられたPC用のゲーム。とりわけ日本ファルコムが世に送り出したゲームの音楽は、高校時代にお茶の間で流れる流行り曲を全く聴かなくなるくらい熱中するに至った。
最初に衝撃を受けたのは「ザナドゥ」という、日本ファルコムが一躍有名になったきっかけとなったゲーム(と認識している)。当時の我が家のPC−8801ではBGMはBEEP音を巧みに操って音楽っぽく流していただけで、よくわからない感じではあったが、衝撃だったのはこのザナドゥを友人の家でプレイした時である。
友人宅にはPC−8801 markII SRというFM音源搭載のPCがあったのである。無音だったオープニング画面に効果音とBGMが流れてくる。正直鳥肌が立った。
これによりFM音源に対する感動と憧れが非常に強くなっていき、ゲーム音楽に対する興味へと繋がっていったのである。

イースIIのオープニング


ザナドゥの後に発売され、今なお人気のシリーズ「イース」。
正直、1作目の「イース」はリアルタイムにプレイするタイミングがなかった。何故ならこの頃からPC−8801非対応ソフトが多くなり、友人の持っているSR以降の機種でないと作動しなかったからである。そしてその友人が「イース2」を入手したというので、家に拝みに行ったのであるが、そのオープニングに度肝を抜かれた。「To make the end of battle」という曲名のオープニングテーマに合わせて、映画さながらのムービーが流れる。当時のPCのスペックは、ムービーを流すというのはかなりの技術が必要な難題。それをいとも簡単にやってのけている印象を受けた。「To make the end of battle」はゲーム業界では知らぬ人はいないであろう古代祐三氏が作曲を担当。FM音源を駆使して奏でられるロックなサウンドはただただテンションが上がるばかりであった。

名曲揃いのソーサリアン


そうこうしているうちに、父の物好きにより我が家のPCが更新される。
PC−9801 VMが導入された。当時のNECは88シリーズ、98シリーズが主流であり、88よりも上位スペックの98が我が家に来た。「これで今まで出来なかったゲームが出来る!」心の中でそう叫んでいた。
しかし、肝心のFM音源は非搭載。日本ファルコムが屈指の技術で鳴らしていたBEEP音のBGMでプレイするしかなかった。それでも、あのBEEP音であそこまでの音楽を鳴らせるのは奇跡だと思う。
そして、同日本ファルコムから発売されたソーサリアンと出逢うこととなる。
横スクロールのアクションRPGであるが、特徴はショートストーリーのシナリオが幾つもある点である。その後追加シナリオが幾つも発売され、長期にわたり楽しめたゲームでもあった。
キャラクターに年齢と寿命があるのも特徴であり、寿命を迎えると子孫に引き継ぐことになる。ある程度のパラメーターは継承されるものの、育て直す必要があり、結果的に裏技として認知されていた不老不死状態にするのが大前提であった。
オリジナルシナリオは15作品あり、それぞれBGMが用意されており、シナリオに見合った音楽が常に流れていて、新しいシナリオに進むたびにどんなBGMかワクワクしながらプレイしていた。そんな素晴らしい楽曲はKING RECORDよりゲームサントラとして発売された。当時はゲームのサントラを出すというのは考えられない時代であったが、迷わず購入していた。これを期に、高校終了間近までゲームのサントラしか聴かない日々が続いたのである。

おわりに


上に挙げてきたゲームはほんの一握りであり、音楽が素晴らしいゲームは他にも沢山ある。が、自分の音楽に対する感覚を築いてきたのは、これらのゲームによるものである。個人的に、この時代のゲームはゲーム音楽の創世記と認識しており、リアルタイムに触れてこれたことは凄く運が良かったと思っている。
この時代を御存知の方々は、一緒になって懐かしんで頂ければ幸いだし、御存知でない方々には、是非とも一度は触れて頂きたい。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?