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"主演女優賞"編:第94回 米アカデミー賞 大予想!!

今月末3月28日(日本時間)に行われる米アカデミー賞。
それに先立ち、2月8日(日本時間)に各部門のノミネーションが発表されました。

アメリカはもちろん世界中が注目する最高峰の映画の祭典。
その開催まであと約2週間。
今回はオスカー主要6部門の中の一つ、主演女優賞の予想をしたいと思います!

本命:ニコール・キッドマン (『愛すべき夫妻の秘密』)

※日本語字幕のないトレーラーです。

今回の主演女優賞は、ノミネートされてる作品がすべて作品賞にノミネートされておらず、また主要な前哨戦の一つである英国アカデミー賞の同カテゴリーには誰もノミネートされていない、という異例の事態。

そのため本命なきオスカー争いと称されるほど、今回のアカデミー賞において最も予想が困難なカテゴリーとなっています。

そんななかで私が最も推したいのは、『愛すべき夫妻の秘密』から選出のニコール・キッドマン

1950年代に絶大な人気を誇った伝説のシットコム番組『アイ・ラブ・ルーシー』で主役を務めていたルシル・ボール。そんな彼女の知られざる一面を、圧倒的なスターのオーラを纏ったニコール・キッドマンが見事に描き出しました。

この作品の監督は、『モリーズ・ゲーム』(2017)や『シカゴ7裁判』(2020)で知られるアーロン・ソーキン。とにかく展開が早く、そのため役者にも早口でしゃべるように演出することが特徴的な彼の下で、激流のようなセリフの応酬を繰り広げる姿は、圧巻でした。

今作で2度目となるゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)を受賞したキッドマン。アカデミー賞も同カテゴリー4度目のノミネートであり、『めぐりあう時間たち』(2002) 以来の2度目の受賞に期待大です。

対抗:オリヴィア・コールマン (『ロスト・ドーター』)

※日本語字幕の無いトレーラーです。

ニコール・キッドマンが、終始しゃべりっぱなしの「動」の演技で魅せた一方で、対照的な「静」の演技で圧巻だったのが、『ロスト・ドーター』のオリヴィア・コールマン

ギリシャの海辺の町で一人気楽にバカンスを楽しむ、レダという女性を描いた今作。

そのレダとはいったい何者なのか、ということは終始謎に包まれており、その真相はレダを演じるオリヴィア・コールマンの視線や表情にすべて凝縮されていました。

4年前に主演女優賞を受賞した『女王陛下のお気に入り』(2018)で顕著なように、コールマンは顔で演じる俳優。今作もセリフは決して多くはないですが、そんなノンバーバルな演技に完全に引き込まれました。

初ノミネーション初受賞から早4年で、3度目のオスカーノミネーション。

受賞スピーチが面白いことでも有名で、前回オスカーの壇上に立った時は、旦那さんに「こんなことは、もう2度と起きないからねっ!」と語り掛けていましたが、今回はそんな本人の予想を裏切り、その2度目が起きるかも…。

単穴:ジェシカ・チャステイン (『タミー・フェイの瞳』)

Disney+にて独占配信されている『タミー・フェイの瞳』より、ジェシカ・チャステインがノミネート。

1970年代から1980年代にかけて、絶大な人気を博した『PTLクラブ』。

そのホストであった(本作でアンドリュー・ガーフィールドが演じている)テレビ伝道師ジム・ベイカーと、同じく番組に出演していた、ジェシカ・チャステイン演じる妻のタミー・フェイを描いた作品。

恥ずかしながら私はDisney+に加盟できていませんので、今作自体は未試聴。

ただ、予告での特殊メイクをしてタミー・フェイに似せられたジェシカ・チャステインの変貌ぶりには、目を疑いました。さらに、劇中では歌も披露しており、これまでのアカデミー賞の傾向からして、これはかなり受賞にプラスに働くでしょう。

実際に、全米映画俳優組合賞の同カテゴリーを受賞しています。

ただ、作品自体の評価はイマイチであることや、役柄がニコール・キッドマンと若干被っている部分が気になるところ。

これまで賞レースを席巻し続けた彼女が、通算3度目のオスカーノミネーションで念願の受賞となるでしょうか…?

穴:クリステン・スチュワート (『スペンサー ダイアナの決意』)

『スペンサー ダイアナの決意』より、ダイアナ元妃を演じたクリステン・スチュワートがオスカー初ノミネート。

今作は、ダイアナ妃がチャールズ皇太子との離婚を決意した数日間に焦点を当てた物語。

日本公開は今秋ということで、私も未試聴ではありますが、ビジュアル画像や予告を見る限り、ダイアナ妃そっくり!

今作で主演を務めるにあたって、スチュワートはダイアナ妃を徹底研究し、見た目だけでなく、話し方や細かい仕草などをマスターしたとのことです。

英国王室の映画といえば、ヘレン・ミレンがエリザベス女王を演じて主演女優賞を受賞した『クイーン』(2006)の印象が強いですが、今作は同時期の王室を別視点でとらえた作品として、非常に興味深いですね。

はやく観たい!

大穴:ペネロペ・クルス (『パラレル・マザーズ 』)

こちらも日本未公開であり、スペイン映画の『パラレル・マザーズ 』より、 ペネロペ・クルスがノミネート。

『ペイン・アンド・グローリー』(2019)などで知られるスペイン映画界の名匠ペドロ・アルモドバルが描きだす、シングルマザーとして生きていく二人の女性の物語。

今作でペネロペ・クルスは、ヴェネツィア国際映画祭 女優賞を受賞しました。

ウディ・アレン監督作『それでも恋するバルセロナ』(2008)にてアカデミー助演女優賞を受賞したクルスも、今回で4度目のオスカー。ただ、非英語圏製作の映画からの受賞は例年難しく、今回も受賞までは厳しいかもしれませんね。

ちなみに、夫のハビエル・バルデムも『愛すべき夫妻の秘密』よりノミネート。夫婦揃っての主演俳優部門同時ノミネートという快挙となっています。

前哨戦の結果

ゴールデングローブ賞:
⇒ドラマ部門
ニコール・キッドマン (『愛すべき夫妻の秘密』)
⇒ミュージカル・コメディ部門
レイチェル・ゼグラー(『ウエスト・サイド・ストーリー』)

全米映画俳優組合賞(SAG Awards):
ジェシカ・チャステイン (『タミー・フェイの瞳』)

英国アカデミー賞(BAFTA):
ジョアンナ・スキャンラン (『アフター・ラヴ』)

ここに挙げたものを含め前哨戦の受賞結果は全体的にまばらで、冒頭で触れた通り「本命なきオスカー争い」の様相。

個人的には、ニコール・キッドマンかオリヴィア・コールマンという、「『動』の演技」と「『静』の演技」の戦いで、派手さを求めてニコール・キッドマンになるかな、と思います。

しかし全米映画俳優組合賞では、その二人を押さえてジェシカ・チャステインが受賞していて、正直全く読めないです。

ちなみに、英国アカデミー賞には、前述した通り今回のオスカーノミニーはノミネートされていないという異例の事態。

そんななかで受賞となったのは、小規模製作映画『アフター・ラヴ』よりジョアンナ・スキャンラン。これもまた、米アカデミー賞には全く引っかからなかった映画なだけに、興味深い結果となりました。


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