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【#003】 祈りある

祈りある写真を撮りたい。
静かなる祈りある写真にたどり着きたい。

この想いは2001年4月13日にメモしたもの。
今もデスク横に貼りつけてある。

当時41歳、4年にも及ぶ浜田省吾ON THE ROAD2001ツアーとスピッツ純情〜隼ツアーに日々同行していた。
そして日記の半年後、2001年9月11日に同時多発テロが起こり世界は劇的に変わっていった。

1980年、20歳からプロのフォトグラファーとして活動を開始した。
日本、世界のロック音楽からほんとうにたくさんの感性を学び、受け取った。
恋愛、生きること、挫折、勇気、社会や政治、そして広い世界のこと。
私が生きているすべてに、ロック音楽が浸透し生きる指標としての答えがそこにある。

2001年の2年前、1999年7月にはハイジャックにも遭った。まさに世紀末に起きたこの事件でANA61便札幌行き機長、長島さんが犠牲になられた。私も死ぬまで1分以内だったが奇跡的に生還した。
生まれて初めて「人の命の犠牲によって自分は生かされている」と、事件後大きく自分の中に変化を感じた。

10代から長きに渡って私に染み込んできたロックの核心が辿り着く "祈り" を写真で表したい。
ロック音楽の現場ではもちろん、もっと広い視野に立って"祈り"を求めたいと日々、その心を見つめていた。
ロック音楽フォトグラファーと同時に模索が始まり、ファーストステップとして辿り着いたのがアフリカスーダンだったと思う。
生死がすぐ隣にある環境、病いや貧困や争いの中に生きる人々に、清々しい崇高で素朴な "祈り" を感じた。

ロック音楽の現場を渡り歩く旅に加え、スーダンを皮切りにカンボジア、ミャンマー、ラオスなどの国を巡る旅が始まった。

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2007年から撮影を開始したアフリカスーダン・国際医療NGOロシナンテスの活動を、2010年写真集『もうひとつのスーダン 日本人医師川原尚行の挑戦』として刊行した。
ぜひ手にって感じてください。


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