エビデンス出してコンセンサス取れたらバッファ持たせてリスケして?

わざとか、と。

ほんのちょっと前まで、こういう会話を照れ0、超真面目な顔でしているような環境で働いていました。

最後の方は慣れちゃってましたが、最初はそれはそれは大変でした。日本語に似た別の言語をもうひとつ覚えなきゃならないような気持ちがして、苦労していました。

なにより、僕に見栄っぱりな部分があるからややこしい。特に年下の人がこういう類の会話をしていると、どうしても知ったかぶりをしてしまうんです。そのたびに「頼むから変な言葉でこっちに質問しないで」とか「さっき出た横文字の訳っぽい日本語を誰か喋って」とか、心の中で思いながら会話しなければならない生活。

そのうち、「ああ、マイルスってそういうことね、ラッパ吹く人じゃなくてね」「あ、レギュレーションってなんとなくルールって言葉を洒落臭くした感じね」って少しずつ習得していって。はじめて自分からその手の言葉を使うときはちょっとドキドキしてたりして。

こういうビジネス横文字会話をしたことがなかった僕としては、FF10のアルベド語を覚える感じとか、moonのカクンテ語を覚えるみたいな感覚だったので、実はちょっと楽しくもありました。覚えた言葉が会議やら打ち合わせやらで出てくると「はいはいコンセンサスね。それ、僕知ってるんですよ」とニヤリとしたり。

最初のうちは、一回自分の知っている言葉に置き換えて理解したり、言っていたんです。(それ余裕もったスケジュールにしてもらったほうがいいな、あ、なんかそれっぽい言葉あったな。はいはいあれだあれだ)「それ、ちょっとバッファとっといたほうがいいすね」みたいな感じで。

そして、だんだんなれてきて、無意識のうちにそういう言葉を使うようになっていました。その時はなんとも思いませんでした。だって無意識ですから。

ところがある日。

ある新卒の若手後輩さんと喋っていたときに、いつものように無意識のうちに意識高いワードを使っていた僕に対して、その人が「ああ、はい……」みたいな反応をしたのです。その時僕はハッとしました。あ、これ、知ったかぶりで乗り切ろうとしていた時の自分とおんなじ感じだ、と。

そこではじめて自分がすっかりビジネス横文字族になっていたことに気づけたのです。多分その人にとってみたら僕が喋っていたことなんて「カクンテ!ルリンパ!トットテルリ!」くらいにしか聞こえていなかったことでしょう。

あーいかんいかん、と思い、僕はもう一度日本語に訳してその人に説明しました。それで改めて思ったのです。この文化ってなんの意味もないぞ、と。

僕が思っているくらいだから、さんざん議論はされ尽くしているのでしょうが、こういういちいち横文字にするのって、それしか表現する術がないからってことならわかるけど、それ以外ってなんか理由ありますかね。ちょっとだけ単語として短くなっている、とかいう人がいましたが、それって1秒以内の問題だし、その1秒ってそんなに貴重なのかねって話だし、そもそも日本語で表現したほうが早いよねってケース多々あるし。

考えれば考えるほど、誰かを煙にまこうとしてわざと使っているとしか思えなくなってしまうのです。そうなってくると僕はもう使えません。急に恥ずかしくなってしまうのです。「リスケしますね」とか言う場面では、正直リスケって言ったほうが早くても「もっかい調整します」みたいな感じに変換して使うようになってしまいました。

このように、一回ビジネス横文字族になってしまったことで、もともと普通に使っていたような言葉たちも、変なフィルターを一回通さなくてはならなくなりました。

今日のサマリー:ルー大柴はギルティ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?