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目的と手段の関係性に関するメモ

ものすごくお世話になっている製造部長がいます。私より4つくらい上で、30代前半に、部長職になられていて、最速&最年少で結果を出された方です。その会社は技術力を強みにしていて、その根幹にある技術力を作り上げた立役者のひとりが、その製造部長です。

その方から本当にたくさんのことを学ばせていただいています。その方は、SNSでつながっていませんし、プライベートもわかりません。いつも現場や会議室で打合せをするだけです。しかし、すごく深く人生観や仕事のこだわりについて、話をする機会があります。

最近、その方と一緒に仕事をする中で、思考の違いに気づき始めました。最速で結果を出す人の思考法を目の当たりにしている感じです。

1.目的設定が秀逸。その方は目的設定が上手です。経営やプロジェクト、もしくはものをつくり上げていくうえで、何が大切なのかを見失いません。ゴール設定が適切で、途中で揺り戻しがありません。やっぱりやめたということもないですし、やり切った先に必ず成果が表れます。これは付いていくメンバーも安心だと思います。この人についていけば、絶対に成果が出る。そして、振り回されることもない。そんな安心感を持っています。本来自分でできることを細分化して渡しているので、最悪のケースは全て自分で巻き取れる感覚を持っているそうです。

じゃあ、自分でやったらいいじゃないかと思いますが、その方は、自分だけでは気づかなかった視点をメンバーからもらうことで、成長をしているといっていました。最終的に決めるのはその方ですが、アイディアは吸収する。否定することはしません。

2.手段が目的化しない。新しい技術を取り入れるときに、その方はまず理想から描き始めます。その目的を達成する美しい方法を描きます。まるでひとつのストーリーのようです。仮説をもって情報収集をするので、情報が取得されるまでのスピードが早いです。その方のプロジェクトで印象的なことは、○○用と言われているものを、用途を気にせずに使うことです。提供者側が意図した使い方にはなりませんが、目的から照らし合わせて、その基準を満たすものであれば、提供者の意図は関係なく利用するという感じです。これは本質的だと思いました。(これによって、コストを抑えた施策が実現されています。)抽象化した技術(手段)を転用するのは、こういった発想で生まれるのだなと、目の当たりにしました。

また、営業を受けてぶれないこともポイントです。既に自分がやりたいことが明確なので、営業パーソンの言ったことで、やっぱりこっちもやってみようと安易にぶれません。私は営業する側でもあったので、どうやって課題設定し、効果を感じていただくかということを大切にしていました。しかし、この方にそういった営業は通じません。やりたいことがあるから、方法を選ぶ。提案が目的に合致していれば、受けますが、提案内容が目的をぶらしたり、そこからずれている場合は、受け流します。

これはとても大切なポイントです。ロボットやシステムを導入して効率化したいとしても、手段が先行して失敗することはよくあります。しかし、こういった目的と手段が対応している状態でプロジェクトを進めることで、ミスがなくなります。


この製造部長とお話しをしていて、「自分とタイプが逆ですね」と言われました。私はこの製造部長が適切な目的を設定し、完遂する力をものすごく強みだと感じています。私が比較的苦労し、意識しなければ発揮できない能力です。しかし、製造部長からみると、枠組みに囚われず新しい動きができる。飛び出した先で(計画を立てず)何かしらの成果をあげることが自分にはできないと仰っていました。嬉しいなと思いましたが、自分をメタに分析して、得手不得手を理解し、仕事を進めている姿もさすがだと思いました。

そういったことから、その方との仕事を通じて、目的設定と手段を目的化しないことの重要性を学びました。これは仕事において、当たり前かもしれません。会社を創業して、まずは動いてみることをしました。これからは、目的設定と手段の選択ができる範囲を広げたいと思います。わからないといって、何も考えずにいるのではなく、正解はない前提で、仮説を持ってやってみる範囲を広げることで、自分も熟達していきたいと思いました。また、技術を活かすという感覚を学びました。目的に対して、最短の道で進むための方法としての技術。目的を最短で実現するために、既に社会にあふれている技術を探す。これは、ハードでもソフトでも通じる話だと思います。


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