特別な存在

誰しも自分は特別な存在だと信じていたり思ってたことがあると思う。特に不思議な体験をしたり他の人とは違う感覚を持ってたりすると余計にその傾向は強くなる。僕も例外なくその1人だから。

初めて車に跳ねられたのはまだ転校して日の浅い小学4年生の時だった。友達と遊んだ帰りに地域であるソフトボール大会の練習に向かう最中に空高く舞ったらしい。運転手は可哀想なことに自分の息子を交通事故で亡くしてる方で、まさかその被害者である自分が加害者になるとは夢にも思ってなかったはず。運転手のみならず通行人もみな間違いなく死んだなと感じるほど高く空を跳びサーカスのように回転しながらボンネットでもう一度跳ね上がり頭から見事な着地を決めたのだから。

外傷は何も無し。かすり傷すらなし。ただ20日間ほど寝たっきりの生活になるのだが奇跡的に今現在も元気に生きている。ただ頭のネジがこの時に緩んでしまったのかも知れないが。ここから実に10回以上の交通事故を起こすことになるのだが先にも後にもこの事故が1番大きくある感覚の扉を開ける入口になった。

全ての事故を想い返すことも出来ないほど車に愛され跳ねられ続けてきた。回数を重ねる毎に違和感を覚えていたがハッキリと確信したのは4回目の事故辺りだと思う。坂道を自転車で降ってる中で壁の向こうから車が走ってくる姿が透けて見えた。回避することも出来ないスピードだったがどうしたら最小限の怪我ですむか考える時間を貰えた。そう、世界は止まってた。自分も動くことは出来ないが思考のみ刻むことが出来るので、これから起こる事故に対処する方法をゆっくりと考え構える準備が出来た。これ以降この感覚の精度は事故を起こすたびに精度を上げていった。

この頃の僕は特別な人間だから死なないんだと本気で思ってたし世界は僕の為にあるとさえ考えていた。だが成長していくうちに僕自身は特別な存在ではないとわかりだした。それならなぜ死なないのか?後にその答えに出会う時がくるのだが、この時の僕は知る由もなかった。

#交通事故#特別#感覚#自己紹介

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