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言いづらい内容のフィードバックを行う時のフレームワーク

「フィードバックは贈り物だ」と言う人が増えてきました。私も全く同感です。フィードバックなくしては人としての成長はないと思います。さもなければ、単なる思い上がりか勘違いといえるでしょう。マッキンゼーでも、異常と思えるほどの時間をフィードバックに費やし、ひとりひとりの成長を促します。ここで様々な人から贈られるフィードバックは、その後の人生にとっての大きな宝となります。

フィードバックがなぜ難しいのか

しかし、フィードバックする相手の良かったところを伝えるのは簡単ですが、改善を求めたい時のフィードバックはなかなか難儀です。皆が皆、素直に聞き受け入れてくれるわけではないですし、時に感情的な対立になりかねません。誰しも好き好んで自分の至らなかった点を耳にするのは嬉しくはないですよね。

フィードバックの仕方だけでなく、セッティングも大事です。

全社員の前であからさまに非難罵倒されてしまったら、精神的ダメージは甚大ですし、単なるリンチ、ハラスメント、鬱憤晴らし以外の何物でもありません。そんな目にあった社員は、その会社で頑張ろうなんて思わないでしょう。

フィードバックのフォーマットで気をつけるべき点は、「経費精算をなくす」で有名で、私も非常に尊敬するコンカー代表取締役社長の三村さんが投稿しているのでぜひ見てください

どのようにフィードバックをしてはいけないのか

フィードバックの方法論は様々あります。ここではマッキンゼーでも教えている一つのフレームワークを紹介します(結構昔の話だったので、単語は間違っているかもしれません)。このフレームワークのいいところは、できるだけ感情的な対立にならないよう、事実と客観性をベースにフィードバックできるところです

では、フィードバックのステップを見てみましょう。始める前に、アイスブレイクはしておいたほうが良いでしょう。最近どう?とか、あの仕事大変だったね?とか、2〜3分くらい話してからのほうがお互いリラックスして望めます

逆に、最低なのは、ミーティングが始まるやいなや、「君、あのプロジェクトでクライアントに言った言い方、あれ最低だったね。だいたい君はコミュニケーションのセンスに欠ける。もっと真剣に色々考え直したほうがいいよ!」と、一方的に好き勝手な事を言われる事。これでは言われた方もカチンときますし、反撃するなというほうが難しいです

ではどういったアプローチがよいのでしょう

おすすめなフィードバックの4ステップ

1)「事実の確認 (Observation)」: まずは、フィードバックしたい内容に関して、あてはまる事実、実例を挙げます。例えば、

「あのプロジェクトの中間報告会で、クライアントに、XY事業部のパフォーマンスが低いので、組織変革が必要だ、と言ったよね?」

という具合です。大事なのは、本人が振り返られる、客観的な事実を挙げることです。そしてここではフィードバックしませんし、意見も言いません

2)「他者への影響の指摘 (Impact)」:(1)で挙げられた言動によって、他者や物事にどのような影響を与えたか、を指摘します。例えば、

「あなたが、組織改革が必要だと指摘したことによって、その場にいたXY事業部の部長は、他の事業部長らに対して非常に肩身の狭い思いをさせられたはず。実際その部長の表情は非常に強張っていたように見えた」

本人が気づいているかもしれないですし、気づいてないかもしれません。フィードバックをするにあたっては、本人が気づいていないような「他者への影響」を与えた場面を振り返ると良いと思います

3)「認識合わせ (Engage)」: (1)、(2)の点が、本人の認識があるかどうか、理解があるかどうかを確認します。

「自分はそのように見えたけれど、あなたはそう思う?」

もしかしたら、フィードバックする側も見えていなかった側面があるかもしれません。その時どういう状況だったか、何を思っていたか、お互いの認識をあわせるようにしてください。必ずしもすべて同意・納得している必要はありません。しっかり相手の言う事を受け止めてあげてください。(でも必ずしも同意する必要はありません)

4)「提言 (Suggestion)」: (3)までのステップで、相手側がフィードバックを受けられる共通認識・土台が出来上がったら、相手がどのようにしたらより良かったか、をアドバイスします。あくまでも前向きに建設的な内容であることが大事です。間違っても「これがあなたの欠点で、だからいつまでたってもダメなんだ」というような批判やダメ出しをしてはいけません。

「指摘した問題点が事実とはいえ、言い方によってはクライアント、その関係者、我々も仕事がしづらくなって皆がアンハッピーになることもある。もっと皆が前向きに捉えられる様な言い方もあったんじゃないかな?たとえば、

「XY事業部に見られた点は、全社に共通している課題かもしれません。まずXY事業部において改善のパイロットテストを実施し、効果が出れば全社展開することによって、会社全体の活性化につながるはずです」

というような具合です。どうでしょう。言われていることの「腹落ち」感がだいぶ違いませんか? 客観的な事実や第三者としての見え方から伝えることによって、建設的な話になりやすいのがメリットです

フィードバックをさらに有用にするために

私の場合、相手にフィードバックを行う場合は、最後に自分に対するフィードバックを求めるようにしています。

上司部下の関係ですと、なかなか上に向かってフィードバックすることは難しいです。ですが上司とて完璧ではありません。フィードバックほど成長に役立つものはありません。上司みずからフィードバックを求める事により、部下も安心してフィードバックできますし、心理的安全性も高まります。

自身の成長にもつながりますし、さらにいうと、フィードバックを受けた部下や相手も、次の部下や相手に対して良いフィードバックを行い、組織文化として広まっていくことが期待できます

なかなか1回で上手なフィードバックは難しいかもしれませんが、まずはやってみることが大事です。更に言うと、「こういうふうにフィードバックする練習をするから、感じたことを教えてね」と、宣言するのも良いです。ちゃんとフィードバックできたか、フィードバックしてもらうことで、今後のフィードバックがやりやすくなるでしょう

ぜひ試してみてください

私が外資戦略コンサルファームや国内EC・デジタルプラットフォーム、外資系FMCGで学んで実践しているビジネスデザイン、DX、キャリア育成、問題解決などのテーマをTwitterでつぶやいています。よかったらフォローいただけると嬉しいですし、ご意見・ご感想もお待ちしています!

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