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オリジンという発想に辿り着くまで

さて、先日は、難聴の人に合う仕事は?という内容で、そのヒントは、オリジンにあるのではないか。と書いた。

あくまでも自分自身の感覚だが、人それぞれ性格も違えば、特性も違う、できることも違う。だから、自分ができることを各々が探す必要がある。

では、それをどう探すのか。それがオリジンになる。前回は、自分の経験から書いたが、今回は、全体的にこのオリジンという発想に辿り着くまでを書いていきたいと思う。

難聴の方が仕事をする、ということの課題

難聴の場合、今現在、補聴器をつけても耳を治すことができない。だから、必ず、どこかしらで聞きにくさが出てしまい、コミュニケーションがしづらい場面やできなくてミスをする事などが出てくる。

このような場合、大きく分けると、2つの課題が出てくる。一つは、単純にそのように仕事がしづらい状況で、どのように仕事をしやすくするのか、あるいは、自分にとって仕事しやすいものを見つけるか。

もう一つは、仮に採用される側になると、聞こえにくさがあるということは、それだけ採用や面接などで不利になることが考えられる。

仮に同じような能力がある人がいて、一人は、健康、もう一人は、難聴や障害がある。と仮定したら、恐らく、多くの企業は、健康な人の方を採用するだろう。

障害者を差別することは禁止されているが、企業とて、慈善事業をしているわけではないので、仮にこのような状況になったら、健康な人をとっても正直、私は文句を言えないと思う。

企業だって今は生き残るのに必死だ。そんな状況で、本業や本質といったところ以外にかまけている余裕はない。

こう考えていくと、障害があったり、聞こえにくい状態というのは、残念ながら治せないので、そのような状況で、どのように生きていくのか、そして、どう仕事について考えていくのか。を各々が考える必要が出てくることがわかる。

では、これらの部分に関して、どのように考えたら良いのだろうか。それが、私の中の疑問だった。

どのようにしたらいいかの試行錯誤

ここからは私の試行錯誤の連続だった。幸い、私は本を読むのが好きで、なんとなくの問題意識を持ちつつ、色々と本を読んでいた。

そこで出会ったのが、7つの習慣という本だった。この本の本質的な部分を言うと、どのように自分自身を良くし、そして、周りの人に影響力を与え、社会や周囲の人に貢献していくか、について書かれた本だ。

私がこの本の中で、影響を受けたのは、Wi-Winという概念だった。

Win-Winとは、両者にとって良い状態のこと。自分にとっても相手にとっても良い状態。これが、Win-Winだ。そして、Win-Winの本質は、この形以外に人との関係は、長く続かない。ということだ。

Win-Win以外には、Win-Lose(自分が勝って、相手が負ける)、Lose-Win(自分が負けて、相手が勝つ)、Lose-Lose(自分も相手も負ける)の3つがある。

Win-Loseは、自分が勝って、相手が負ける。自分にとっては良いけれども、相手にとっては悪い。交渉や条件、友達、家族に関して、自分はよく感じているけれども、相手にとっては苦痛だったり、そのような条件ではとても続けられない。という状況だ。

このような状況になれば、自ずと相手は、自分に対し恨みを持つだろうし、相手に反感を感じさせたり、遺恨を残し、良くて相手が逃げる、最悪の場合、相手に殺されることだって考えられる。

人の歴史を見返してみると、そもそも人類の歴史は、常にこのようなことの繰り返しである。

Lose-winは、自分が負けて、相手が勝つ。このような状況であれば、相手はいいかもしれないが、今度は、自分に負担が大きい。我慢したり、その状態を耐え忍ぶのは、美徳のように言われることもあるが、大抵は長続きはしない。

ブラック企業に勤めてしまった場合や結婚生活に関して、我慢する側。このような場合が分かりやすいだろうか。相手にとってはいいかもしれないが、自分にとっては負担が大きかったり、ダメージがでかいものは、自分そのものが持たない。そのような状況を長く続けることは困難だろう。

そして、Lose-Lose、自分も相手も負ける。このような状態に誰が目指すんだと思うが、Win-LoseとLose-Winの成れの果てがここになる。

つまり、Win-LoseとLose-winは、そのような関係である以上、絶対に長く続かない。自分が優位か、相手が優位かで決まるため、そのような競争関係にある場合は、必ず優位側が勝つ。そして、誰かが勝つということは誰かが負けるということでもある。

このことに気づいた時、なるほど、そんな考え方があるんだ。と自分の中で、一つの閃きを感じた。

Win-Winを意識した働き方

ここから私は、どのようにしたらWin-Winを意識した働き方ができるのか。を考えるようになった。

障害があるので、こんな風にしてください。こうしてください。というお願いは、確かに必要なことはある。ただ、そのようなお願いを一方的にすることは、良いことなのか。

さらにそもそも自分自身が仕事に関してできることは何だろうか。ここも気になった。生まれつきの難聴者である自分には何ができるのか。そして、どんなことなら貢献できるのか。

高校生の時、何も考えずにアルバイトをして、うまく働けなかった経験から、一層この部分は、意識するようになった。

そこで考えたのは、自分が貢献できること、自分の長所を利用する。という考えだった。

長所やできることを軸にして仕事をするから、Win-を提供しやすくなる。その結果、会社やお客さんに対して、Win-Winを築きやすくなる。というロジックだ。

上記の部分での問題は、お客さんや会社にとってのWinがないことだ。障害の体で、できないことがある。それは、仕方がない。私もできないことはある。

ただ、できることだってあるはずだ。そして、そのできることを軸にできれば、こちら側のお願いだって通りやすくなるし、このような配慮があると嬉しいです。といえば、その人の能力を活かすことが会社のため、会社の利益につながるのであれば、その提案は受け入れやすくなるだろう。

Win-Winを意識した働き方を考える。ここが仮に障害を抱えたとしても仕事についてしやすくする、あるいは、お互いにとって良い関係を続けやすくする要点になるのではないか。と考えるに至った。

どのようにWinを作るか

で、ここからが問題になる。それは、どのようにWin-を作るか。ここだ。

自分の長所なり、できることなり、他者に貢献できることをどう見つけるか。

これらの部分があるから、会社やお客さんにとって、Win-を提供できる。その結果、Win-Win、自分にとっても相手にとっても良い関係を続けることができる。という流れを構築するために、ここが肝心にして、重要な部分になってくる。

その場合に大事になるのは、とにかく自分自身の長所はどこか、どのようなことなら、貢献でき、逆にどのような環境、状況になると全くダメなのか。

ここを知ることになる。では、このような部分は、どのようにして知ればいいのだろうか。それが今度の課題だった。そこで出てきたのが、オリジンという発想だった。

これは、何気なくネットで調べごとをしていたら、見つかったある記事に書かれていたことだった。

こちらは、伝説の漫画編集者 鳥嶋和彦氏のインタビュー記事だ。鳥嶋和彦といえば、あの週刊少年ジャンプの伝説の編集者として知られている人物で、ジャンプの黄金時代を作った人物でもあった。

私もど真ん中の世代(私は1986年生まれ)なので、週刊少年ジャンプはよく読んでいた。確かに週刊少年ジャンプは、すごい。ドラゴンボールやワンピース、NARUTOをはじめ、最近だと呪術廻戦やスパイファミリーなどの作品も多い。

では、どのようにして、そのような優秀な作品。もっというととんでもないヒットを飛ばすような作品を作ることができるのか。鳥嶋氏は、まさにそのジャンプの黄金時代を作ったとされる人物で、その編集長でもあった。

ここで出てきたのが、オリジンという単語だった。鳥嶋氏によると、漫画家が書きたい内容と書ける内容は、違う。書きたい内容はつまらなく、書ける内容がヒットを生むコツだという。

では、そのようなヒットを生むマンガを描くにはどうしたら良いか。それは、多くの作品を書き、自分には、何が書けるのか。そこを見つける作業が作家自身に必要だと説く。

そして、その多くは、その人のオリジン、その人の原体験やアイデンティティ、その人独自の視点からくるものが多いようだ。

上記の内容で出てくるのは、銀の匙というマンガで、北海道の農業高校を舞台に酪農を中心に描かれたマンガだ。これは、作者がそもそも実家が酪農を営んでいたことから、酪農が作者にとって最も身近な存在だったから書けたことだという。

ここで、私の中でオリジンという考えが出てきた。果たして、自分のオリジンは、何なのか。ここを考えることになる。

あくまでもここは、想像だが、本当の長所とは、こういったオリジンに隠されているのではないかと思うことがある。

なお、先ほど出た内容は、すごく良い内容の記事だ。もし、仕事に関して悩んでいる人がいたら、読んでみると良いと思う。

鳥嶋氏は、今でこそ伝説のジャンプの編集長として知られているが、そもそも彼はマンガは嫌い。と宣言している。これは、注目を得るためにやっているとか、ブランディングとかそういった意味ではない。本当に好きじゃないのだ。

彼も仕事について悩んでいた。就職する際のことも書かれているし、その際は、自分は、他人と比べて優秀なことは何か、で、人よりたくさん本を読んでいること、と挙げている。だから、その強みが活きる業界(出版社)に入った。と書かれている。

では、そこで順風万端だったかというと、いきなりやったことがない、経験の全くないマンガの部署に飛ばされ、現代に至る。

そのストーリーも面白いし、マンガの世界を知れるというのも面白い。私自身としては、オリジンという概念を知れたのが大きかった。

なるほど、次の課題は、自分のオリジンだ。ということに気づいたのである。

全ての基本をWin-Winに

7つの習慣という本を読んで、そこから影響されたものは計り知れない。私にWin-Winという概念を教えてくれたし、それ以外の部分でも学べることも多かった。

私たちは、人と生きていく。その基本となる考えは、Win-Winだ。恋人同士の関係も夫婦の関係も家族の関係もWin-Winでないと続かないし、仕事に関してもそうだ。お客さんとお店、会社の関係も、会社と社員の関係も会社と取引先の関係もWin-Winでなければ続かない。

会社というものを捉えると、いかに勝つか。いかに競合に勝ち、この資本主義の世界で勝利を得るかが大事なように思われるが、そもそも会社の中にいるのは、人だし、人と人とがやり取りするのが仕事である。

誰かが勝つということは誰かが負けるということでもある。勝つことが大事というよりも、そもそも負ける人を作ることはやめた方がいい。そんな考えが、Win-Winの中に隠されているように感じる。それは、歴史を見るとより明らかになるからだろう。

全ては、Win-Winから始まる。相手にWinがあり、自分にもWinがあるから、続くのである。

ここに気づくと、仮に障害を抱えたり、聞こえにくさがあったとしてもうまくやっていく方法がわかるように思う。

確かに障害があったり、聞こえにくいことでできないこと、苦手なことはある。しかし、その中でもできることもあるはずだ。そして、そのできることで他者に貢献したり、会社なり、お客さんなりにできるようになると、それは、Win-を作ることに繋がる。

自分が提供できるWinがあり、そして、相手が自分に提供できるWinがある。だから、人との関係は続く。

それが私の場合、難聴の方に合う仕事とは?の部分で非常に勉強になった。あとは、自分のオリジンなり、長所をどのように見つけるか。ここだ。

ここは私も正直よくわからない。だから、自分も今現在、探している最中である。

お互いにWin-Winという良い関係を作っていけるために。

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