12:シャント手術
シャント手術
2022年11月25日
水頭症と診断されてから、とてつもなく長く感じた2ヶ月を過ごしましたが、ついに待ちに待ったシャント手術の日がやってきました。私と義母は、慣れ親しんだデイルームで手術の終わるのを待ちました。
シャント手術は、脳外科の中でも比較的簡単な手術だと聞いていたので、これまでの手術と比べると少し気持ちは楽でしたが、それでも手術を待つ時間は苦痛です。1分1秒がとても長く感じました。
手術は無事に終了。
次の日から退院までの2週間、LINEでやり取りしていましたが、夫は日に日に会話ができるようになったいきました。
水頭症の時はテレビを見ることもままならなかったのに、サッカーの試合をみたり、差し入れの本も読むことができるようになり、いつもの夫が戻ってきたことが本当に嬉しかった。
退院して家に帰ってきたら、一緒に散歩したり買い物したり、テレビを見たり、夫とくだらない話しで笑いあったりすることができるんだ!
私は、当たり前の日常が戻ってくることにワクワクしながら、夫の退院日を待ちました。
退院
2023年12月8日
ついに退院です。
嬉しいはずの退院なのに、夫はなんだか冴えない顔をしていました。
あんなに早く退院したいと毎日のように言っていたのに…。
「うれしくないの?」と尋ねると、どうやら手術の傷口が痛いようでした。それもそのはずです。私が想像していた以上に大きな傷が頭に残っているし、異物が頭蓋骨と皮膚の間に入っているんですもの。
さらに、起き上がっていると頭痛、首の痛み、耳鳴り、難聴、などの症状がでているとのことでした。
私は夫に無理をさせないよう、浮かれた気持ちを抑えつつ、退院から1週間は2人でソファに寝転びながらドラマや映画を楽しみました。
それだけでも充分感動です。
「このドラマおもしろいね」や「これ美味しいね」という質問に答えてくれるだけで、本当に嬉しかった。
夫の気持ち
私は、時折夫が暗い表情をしてるがやはり気になっていました。
退院から2週間後くらいたったころ、ついに夫に聞いてみることにしました。すると、
「シャント手術後、日に日に頭がクリアになってくるにつれて、会社のことや生活のことを考えると、どんどん怖くなってきた。そして、こんな状況になってJuneに申し訳ないと思っている…。」
と謝罪されました。
夫の気持ちを聞いて、ビックリしました。
そうか、私からすれば夫が「くも膜下出血」で倒れてからもう数ヶ月経っているけど、水頭症だった夫にとってはまだつい最近のことなんだ。
私に申し訳ないと思う気持ちが不思議に思いましたが、自分が病気になった時のことを想像してみると、きっと私も夫に謝るのかもしれない。
「家族なんだから当たり前だし謝る必要ないよ。生きて帰ってきてくれただけで奇跡なんだから。生活やお金のことなんかどうにかなるから心配しなくていい。いざとなったら家や車を売って実家にお世話になろう」
と、時間をかけて伝えました。
夫はようやく安心してくれたようです。
年末に近づくにつれ、少しずつ頭痛や首の痛みが改善されてきましたが、耳鳴りと難聴は一向に改善されません。
もともと音響の仕事をしていて、音に対して敏感なのかなとも考えましたが、夕方になると症状が悪化し、辛そうな様子が顔に表れていました。
耳鼻科からもらった薬を試してみたり、温めたり、水分を多く摂取したり、考えられる方法は全て試しましたが、耳鳴りと難聴だけは改善されませんでした。
年明けに「集音器」を購入してみると、効果があることが分かりました。耳鳴りが完全に解消されるわけではありませんが、だいぶ気にならなくなるそうです。
もともと3月ごろから会社復帰を予定していましたので色々と準備を整えていました。
会社の代表にも挨拶をして、ようやく日常生活に戻ってきたと思った矢先、再び私たち夫婦に試練が襲いかかります。
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