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「しろたえの女の子」

会社へ。
おなかの調子はまだ悪く、なになら食べられそうかな、と思ったときに浮かんだのがしろたえのチーズケーキ。
むかし、代理店の人が「喫茶室がいいいんだよ」と教えてくれた。
よく考えたら赤坂で働きだしてもう10年くらい経つのに、一度も行ったことがなかった。
しろたえのチーズケーキやシュークリームは、会社に来るえらいひとがたくさん買ってきたものをそっとお礼を言って席でPCの画面と向き合いながら食べる、ずっとそんな存在だった。

こんな時期だけど、ランチタイムだからかお店の前にはおつかいもののひとたちで行列が。
カフェ利用のおじさんがお店のひとに声をかけてくれたのに便乗して、はじめて2階の喫茶室へ。

先客は1名のみ。
思っていたよりもこじんまりとしていて、深い木の色が印象的な落ち着く空間だった。気持ちの良い風が入ってきたので開いた窓に目を向けると、看板の女の子と目があった。
ずっと、見上げてばかりだったんだな、すてきなあなたを。ようやくはじめまして。
チーズケーキ、と、いきおい余ってシュークリームも注文して、お茶はミルクティ。
いっしょに入ったおじさんがモンブランがなくて残念そうにしているのが聞こえてきて、
「わたしも次はぜひ」と思う。
次はぜひ、今読んでいるあの本もいっしょに。

お店であたたかいお茶といただくきりっと冷えたチーズケーキは、会社の席で食べたものよりも何倍もおいしかった。
きちんと作られたものを大切に食べること、その意味を覚えておこう、と思った。


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すてきなしろたえの女の子のイラストは、シェフの妹さんがフランスをイメージして描かれたそうで、それもまたすてきなお話。

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