毒針ダンジョン
久しぶりにアニメイトに突入した。
購入する目的はないが、店の前を通ったので気兼ねなく尋ねたのだ。
相変わらずアニメ、マンガ、ゲーム、etc…
人の手から生まれた創作物で溢れ並ぶ。
来期のアニメのグッズまで取り寄せてる。
見る前から買う人がいるのだろうか…
ここでサブカルチャーに夢中な方々がどれだけいるのか、警備員のように巡回してみた。
そこでたじろぐほどの衝撃。
女性、女性… 女性? 女性!?
お客は数人確認できたが、全員女性。
常連さんなら当たり前なのかもしれないが、ブランクがあった者としては、唖然とする事実だ。
前に来たころは、男性だけとは言い切れないが、比率は男性が圧倒的に多かったはず。
同性を求め、奥側のレジまで蜘蛛の糸に引きずられるように吸い込まれる。
助けの綱は直ちに断ち切られた。
レジにいた店員3名もすべて女性だったのだ。
フラッと立ち寄ったのに、踏み入ると思いもよらない場違い感。
回想して脳みそに描いてるアニメイトは浮世絵なのかもしれない。
現在のアニメイトはアメコミ映画のサブタイトルみたいに言うと“ニュージェネレーション”といったところだろうか。
このままではニュージェネレーションの雰囲気に呑まれる。
この場所を出て、外の空気が吸いたい。
独特の重力に耐えながらレジを離れ、行きとは逆方向の角から出口を目指す。
悪手の選択。
その角を曲がると、BL(ボーイズラブ)のコーナー。殺戮のオーラを放つ怪人達が数体。
こちらには目をくれてないが、背中からは甲羅から無数の毒針が生えていようなプレッシャーを漂わせていた。
Uターンしたかったが、そんなことをしたらそれが最後。毒針の餌食になるかもしれない。
狭い路地裏をすり抜けるようにゆっくりと、足音を立てず、窮地を逃れた。
コソ泥のようなペースで早歩き。
自動ドアを信頼して、速度を落とさずにまっすぐ店外に出た。
難関ダンジョンを終え、その男は吸えないくせに、タバコを吸うそぶりをした。
ちょっと男気を出したくなったのだろう。
女性の社会進出はアニメイトにも波紋を広げている。
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