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「入れものが無い両手で受ける」

あけましておめでとうございます。青砥です。

尾崎放哉という俳人が好きです。「咳をしても一人」という句が国語の教科書に載っています。その人です。

マイフェイバリット句が

” 入れものが無い両手で受ける "

です。

晩年の放哉は、身寄りもお金もなく、小豆島の寺院の脇の庵に滞在していました。

(↑小豆島に到るまでの人生を書いた吉村昭のノンフィクション小説)

住職や島の住人から施しを受け、かろうじて栄養をとるような生活を続けていた放哉が読んだ句が「入れものが無い両手で受ける」なのでした。

器は便利です。大きな器を使えば、たくさんのものを受け取ることができます。

自分の両手は、小さいです。それは大きくなく、隙間があり、汲んだ水は少しづつこぼれ落ちてしまいます。

その代わり、手触りがあります。両手では決して、自分が受け取れる量以上のものを受け取れません。

2020年も、がんばろうと思います。使えるときには、大きな器も使って、よりたくさんの人と仕事がしたいと思っています。

ただ、いつも自分の両手で受け取れるもの、手触りのあるものを、忘れないようにと思います。

ということで、今年忘れたくない句は「入れものが無い両手で受ける」。ひとつ今年もよろしくお願いします。


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