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フットボールにおける”守備不可能ゾーン”とは?

当記事を動画でご視聴されたい方はこちらから。

前回の記事で紹介をした内容の中で、1つ興味深いテーマとして「守備が不可能なゾーン」というものがありました。

グアルディオラは、動画内でこのように発言をしています。

”攻撃のトレーニングをすることは、もっとも魅力的だ。2・3つほど守備が不可能なゾーンがある。とても守るのが難しいんだ。もし、ウイングの選手が最大限に開いたポジションを取っていたら、どのシステムだろうが相手からすると守備をすることがかなり難しくなるゾーンが存在する。”

動画内ではそのゾーンがどこなのか具体的な説明はされませんでしたが、今回の記事ではこの”守備不可能ゾーン”についての解説をしたいと思います。

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まず初めに、今回の内容と深く関わる2つのゾーンの話から。

既に知られている方も多いかもしれませんが、GOLDEN ZONEASSIST ZONEといった2つのゾーンが多くの指導者の中で定義化されています。(誰が初めに名詞化されたかは知りませんが、スペインではこれに代わる言葉は僕は聞いたことがありません)

名前の通り意味合いは単純で、もっともゴールが生まれやすいゾーンとアシストが生まれやすいゾーンということでこのような名前が付けられています。(以下参照)

なぜ冒頭にこれらのゾーンの話をしたかというと、結論これらのゾーンのことを彼は”守備不可能ゾーン”と提唱していると僕は考えているからです。

では果たして、「どのようにしてこれらのゾーンまでたどり着くことができるのか?」どうのようにしてより有効的にこれらのゾーンを用いてフィニッシュまでいくことができるのか?」を今回の記事では解説していきます。

※当記事に記載されている内容は、主にManchester City を参考に取り上げています。各チームのプレーモデルやシステム等は考慮していませんのであくまでも参考程度にご覧ください。

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①必要なプレーヤーの種類

まず初めに、グアルディオラが話す守備が不可能なゾーンを利用しながらフィニッシュまでいく流れの中で必要なプレーヤーたちと、なぜそのプレーヤーたちが必要なのか?を見ていきます。

❶幅を取るプレーヤー(図:青)

まず1人目は幅を確保する存在です。動画内でも発言してた通り、最大のポイントは「もしサイドに開いたウイングがいれば...」です。ウイングに特化せず、システムによってはSBの選手がこの役割を果たすこともできます。

このプレーヤーの最大の目的は、相手のSBとCBとの距離間を広げることにあります。具体的な役割は後に見ていきます。

❷相手CBをFIJAR(引きつける)プレーヤー(図:ピンク)

次に、相手の両CBを固定するプレーヤーの存在です。これは、主にFWの選手が務めることの多い役割ですが、目的としては相手のCBの守備的サポートを阻止することにあります。

❸ライン間を取るプレーヤー(図:赤)

最後にライン間にポジショニングを取るプレーヤーの存在です。

この選手の役割は、相手の中盤ラインを後方に引き寄せることと、次のアクションで”守備不可能ゾーン”へと顔を出すための準備があります。

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ウイングにボールがたどり着いた瞬間に、インテリオールの選手はdesmarque(マークを外す動き)を行い、assist zone つまり今回の記事でいうところの守備不可能ゾーンへと走り込みます。

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攻撃チームが1度このゾーンに辿り着くと、golden zoneにいる相手DFは自ゴールとボールにより気を取られやすくなり自動的にラインが後退します。また、意識がゴールとボールに向いているため、マークを見失いやすくなります。

バルセロナでのメッシとジョルディ・アルバの関係性もこれと同じです。より深い位置からのセンタリングは相手がよりゴールへの注意を払いマイナスのクロスがより有効になる傾向にあります。

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【参考動画】

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②頻繁に見られるパターン

次にグアルディオラのシティの試合を見る中で、より見られるパターンをいくつか紹介していきます。

パターン❶ インテリオール(ライン間)→ウイング(外から中へデスマルケ)

一つ目のパターンは、最終的にウイングのプレーヤーが外の開いた位置からデスマルケ・ディアゴナル(斜めのマークを外す動き)を行い相手DFの背後でボールを受けるパターンです。

少し前だとサネ、今だとスターリングあたりがよくこの動いでボールを受けています。

ここで1つ重要なアクションは、インテリオールのライン間を取る動き。図ではCBからインテリオールを経由してそれに対して出てきた、CBもしくはSBの背後のスペースにウイングのプレーヤーが飛び出していますが、インテリオールが受けずとも、このライン間のポジショニングで相手DFが引きつけられたら、CBやボランチから一発でウイングへのパスを出すシーンも多く見られます。

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パターン❷ ウイング(外)→インテリオール(中)

次に見るパターンは、最終的にインテリオールの選手が中に空いたスペースに走り込みボールを受けてセンタリングまで行くパターンです。

ファーストパスはサイドに開いたウイングの足元へ。このウイングの開いたポジショニングによって、相手のSB・CB間の距離が広がりできたスペースに向かってインテリオールのプレーヤーが走り込み利用する流れです。

ここで1つ重要になるのは、センターFWの役割です。ウイングの選手が十分な幅を取りボールを受けるのと同時に、FWが相手CB間にポジショニングを取ることでより相手のCBとSB間の距離が広がる状況を作り出します。

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【参考動画】

パターン❸ ワン・ツー

次に見るパターンは、相手陣地奥深くまで押し込んだときになかなか背後のスペースがない中での1つの打開策としてワン・ツーの二人組の関係性でフィニッシュまでいくパターンです。

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このパターンも同じくAssist Zoneを利用していますがよく見られるパターンでもあります。

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どちらにせよ、ポイントはどのように相手SBとCB間の距離感を広めるかなのですが、よくデブルイネや当時のD・シルバなどが行なっていた動きとして、”相手から離れる”動きがありました。

相手から離れることで食いついてきたら、距離感が広がります。その瞬間にスピードチェンジをしボール保持者に少し近づいてボールを受け、ワン・ツーで打開するのです。

以下の動画上の方がわかりやすいかと思いますのでぜひ重ねてご覧ください。

【参考動画】

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ということで今回の記事では、グアルディオラが語る”守備不可能ゾーン”とはどこを指すのか?の解説をしました。

これが彼の指しているゾーンか絶対の保証は彼に聞いてみないとわからないことですが、少なからずここ数シーズンのシティを見る中で得点パターンに注目するとこのスペースのことを指しているのではないかと思います。

冒頭にも言いましたが、あくまでもシティを見ての分析です。我々指導者の役目はこれらの”アイデア”を抱える選手にフィットするのか?とまずは向き合うこと。

あくまでも1つの参考として捉えてくださいね!

それではまた!

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