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大反響動画 「グアルディオラとの90分間」 8つのポイント抜粋 -私が指導者として怠らないコト

約2年前にスペインのTVにて、”90 MINUTOS CON PEP GUARDIOLA”(ペップ・グアルディオラとの90分間)が放送されました。

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Youtube上にもfull動画がUPされていますが、複数のジャーナリストや現役監督がさまざまな視点から興味深い質問を繰り返し、グアルディオラが回答していきます。

当時、スペインでも反響のあったこの放送ですが、とにかく質問側のレベルが高くいくつもの興味深いテーマについて話がされていたので今回の記事では、僕が個人的に「面白いな」と感じた部分を抜粋し皆さんに共有できればなと思います。

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Q.1 「他スポーツから学べることはある?」

ご存知の方も多いかもしれませんが、グアルディオラとyoutube上で検索をすると、多方面の職種の方との対談動画がいくつも表示されます。

実際に、多くの異なったスポーツの指導者や、全く違った職種の方々と話をしたり、実際に出向いて話を自ら聞きに行ったりもするそうですが、それには以下の理由があるようです。

”例えばハンドボールからは守備のトライアングルの話を聞く中で、「いつ閉めていつ開くのか?」を学んだ。ゴルフからはメンタルの側面。ボギーを出した後のメンタルの立て直し方などね。ただ、どちらにせよ、土台としてあるのは全てのスポーツが単純に好きというのもある。それに、プロレベルの世界だと特にどのスポーツに限らずチームマネジメントに関しては多くを学べる。主力選手がメンバーを外された時の監督の対処法。交代時もそうだ。”

写真(下)は、映画ディレクター Fernando Truebaとの対談の様子

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Q.2 「あなたを嫌う存在について」

彼が表現するフットボールのスタイルや、やり方について批判や誹謗中傷する人に対してどのような感情を抱いているのか。職業に関係なく、通じる部分は多くありますよね。

”私のモチベーションを維持するためにも、私のことが大嫌いな人を必要とする。我々(チーム)の成功を望まない人たちを糧に燃えたりもする。これは指導者に限らずに、どんな役職の人でもこの刺激は必要だ。また新たな挑戦をするために必要な材料となる。

Q.3 「異国の地での挑戦について」

これまで、スペインでバルセロナの監督を務めた後にドイツ・イギリスとキャリアを進めてきた彼ですが、その地によって難しさや感じるものは違ったと話しています。

”プレミアリーグでは、スペインリーグでは感じられなかった難しさがあった。それは主に”セカンドプレー・セットプレー”だ。これらのコンセプトに費やす練習時間やミーティングは圧倒的に増えた。”

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”ドイツではバルセロナでプレーをしていたといには存在していた、pase de seguridad(安全/保険なパス)はドイツでは存在していなかった。守備の意識がはるかに違ったからね。それにより、攻撃時にはよりリスクマネジメントのコンセプトが重要になった”

”また、人は1年目から結果を求めるが、私にだって選手の特徴を知るための時間が必要だ。バイエルン時代は、バルセロナ時代のメッシやイニエスタのように中でconducción(運ぶドリブル)をして外にスペースを作るプレーヤーはいなかった。リベリーやロッベン、レバンドフスキやマンジュキッチなどサイドやFWに強みがあったから戦い方も当然に変わる。これらの新しい環境に私自身が順応する必要がある。それらの環境に、バルセロナで選手としても監督としても学んだアイデアを加えていくイメージだ。”

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Q.3 「現代フットボールのトレンドを感じている?」

これまでは、いわゆる”ポゼッション型フットボール”を展開するチームに対抗するチームは、試合の70分ごろになると疲労が蓄積し、そこから勝ち筋が見えてくるのではないかといった意見も多くありました。

しかし、近年ではどのチームもフィジカル面での改善が著しくなり、実際に今シーズン(2019シーズン)のスペインリーグでは試合に勝ったチームの方がポゼッション率が高かったパーセンテージが高かったというデータも出ました。

このような背景をもとに、現代フットボールのトレンドについて質問をしたところ、以下のような回答が返ってきました。

”ポゼッション型のチームの方が、4-4-2のカウンター型チームよりもトレーニングの期間がより求められ、難しい部分が多い。特にポゼッション型のチームにおいては、チームの誰か1人がポジションを間違えれば全てが狂うからね。”

”また、それらのデータはあくまでも数字。重要なのは、どのようにボールを保持したか?や、どこで保持したか?。それらのポゼッションを通していくつのチャンスを生み出せたかも大事です。私たちもチャンピオンズでのポゼッション率のレコードを持っていますがその80%のパスがCB間だった。それでは意味がない。ボールポゼッションとは、ボールを保持しながら相手を相手陣地に追いやることを意味する。”

Q.4 「もっと個人の育成が必要?」

質問のタイトルからしてかなり興味深い内容ですが、近年、以前に比べいわゆる個に特化された選手か減少しているのではないか?と言った議論もされる中でグアルディオラ自身は以下のような見解を述べています。

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”フットボールは全てを必要とする。人々は、これは違うだとかこれが正解とか言ったり、決定したりするけど、フットボールにおいてはフィジカルも必要であれば、ボールなしでの動きの理解もいるし、個人の能力もいれば、40mの距離を守備できる選手も必要だし….私にとって良いプレーをするとは、相手の機能によって決断ができること。例えば私がCBとして、相手のSHが出てきました。じゃあ空いたSBにパスを出す。そこに「なぜ?」は存在しない。もしFWがプレスに来たら、片方のCBにパスするのです。こうやって相手プレスの機能によってプレーする場所を決定していくんだ。”

Q.5 「当たり前のような細かいことへのこだわり」

個人的な意見ですが、昔に比べ現代のフットボールでは戦術面での発展からなのか、「当たり前のことだけで重要なこと」へのこだわりや発言が減っているようにも思います。

僕がここ数シーズンでスペイン人指導者から学んだことの1つに「当たり前な部分を当たり前のように強調し伝え続けること」があります。一見誰で言えそうなことなんですが、そこへのこだわりや強調し続けるし姿勢には素晴らしいものがあります。

同テーマに関して、ジャーナリストからの質問にグアルディオラはこう答えています。

細かい内容への強調はとても重要だ。別に私は5人抜きをしろとは頼んでいない。ただ試合を振り返った時に、十分にseparar(離れる)しなかったとか、適切な体の向きだとか、コントロールする足など etc... パススピード1つにしてもそうです。これらのことは軽視されがちだが、とても重要なのです。”

Q.6 「指導者として決して怠らないこと」

皆さんも指導者として、「これだけは絶対欠かさない」といったルーティンのようなものは必ずあるかと思います。

グアルディオラ自身というよりかは、チームスタッフとしてにはなりますが以下のように答えています。

”私たちが、1つ決して怠らないことは自分たちの試合を見ること。グローバルな目線でも個人目線でもたくさんの発見がある。このレベルになると中3日で試合がある中で、十分にTRをする時間はない。だから、優先を持ってやるべきこと決めていくことが大事で、試合のイメージを確認し続けるんだ。だからこそ、プレシーズンはとても重要になる。フィジカル面のトレーニングは少なく、戦術面を多く行うんだ。”

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”スポーツというのは試合に勝った後にどのように次の準備をするかだ。”

また、スペインでは、育成年代でも同様にプレシーズンの期間がしっかりと設けられます。そこでいつも議論になるのが、「何を優先して行うべきか?」ですが、決まって彼らに聞くと「全部だ」と答えが返ってきますが、少しマクロな視点で見ると戦術面という括りの中でも、自チームのモデルに沿ったものを優先する過程は、トップの世界でも育成の世界でもそこまで違いはないのかもしれません。

Q.7 「あなたの能力の1つ”試合を読む力”はどうやって培われた?」


”選手時代にMFでプレーをしていたことは助けになったよ。予測が必要だったからね。”

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またこの話の流れでこのような興味深い話に発展します。

”攻撃のTRは一番魅力的なものだ。ピッチ上には2,3つ守備が不可能なゾーンがある。もし我々のサイドハーフがいっぱいに開いていたらね。フットボールもバスケットボールと同じで中を攻めるから外があいてトリプルが決まるんだ。”

この”守備が不可能なゾーン”に関しては、動画内では話されませんでしたが後日別記事で解説しますね。

Q.8 「我々指導者の務めは?」

最後に、こちらのテーマ。たくさんあることは承知の上、動画内においてこのような発言をしていました。

"我々は、プレーヤーのタレント性にリミットをかけるのではなく、その選手のゾーンにボールがある際はその選手のポテンシャルを発揮させること、ボールが遠いゾーンにある時は「あなたの動きによって味方にスペースを与えることができるんだよ」と伝えること、これらが我々の役目だ。”

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”また、少ない知識を通して彼らを説得することも我々の役目だ。そして、何か彼らがわからないことがあればサポートをする。”

できるだけシンプルに具体的に伝える。簡単そうで非常に難しいこと。ただ世界一の戦術家がこう語っているということは、戦術の幅やアイデアを増やす以上にもっと大切なことがあるんだなと感じさせてくれますね。

それではまた次回、お楽しみに!



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