フットボールにおける6つのサポート
今回は「フットボールにおける6つのサポート」について解説していきます。
当記事の内容を動画での視聴をご希望の方は以下からご覧ください↓
いきなりですが、皆さんはいくつのタイプに分けて「サポートの動き」を定義されていますか?
練習や試合中に選手たちに向かって「サポートの動き!」や「サポートが足りない!」などの指導者が発する声は頻繁に聞きますが、実際に我々指導者がサポートの種類を各プレー状況に応じて、またそのサポートを行う意図も含めて理解できていなければ、そもそもで選手たちの理解にも繋がるわけがありません。
というわけで今回は、ボール保持時においてとても重要な役割を果たす6つのサポートを紹介していきますのでぜひ最後までご購読ください。
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①サポートの定義
まず初めに、そもそもでフットボールにおけるサポートとは何なのか?それぞれ異なる考え方はできると思いますが、一般的な定義としては以下です:
ここで1つはっきりさせておきたいことは、あくまでもサポートというアクションは”敵なし”の状況で行われるということ。
敵にマークにつかれている中で、ボール保持者に対して近づいたり離れたりするアクションはデスマルケ(マークを外す動き)と定義分けができます。
ただどちらにせよ、両アクションともに攻撃のモーメントにおける”個人戦術アクション”であることに変わりはありません。
今回の記事では、この位置付けにあるサポートの動きをさらに分解し6つの種類に分けて紹介していくというわけです。
②サポートを行う上で理解すべき重要なポイント
次に、サポートアクションを行う上で重要となるいくつかのポイントです。ポイントは以下の3つ:
①プレーモデルによって優先するサポート、もしくはボール保持者が選択するサポートの種類は変わる
これから、6つのタイプのサポートを見ていきますがあなたのチームが所有するプレーモデルによってチームとして優先すべきパス、すなわちそのパスを可能にするために実行するサポートも変わってきます。
ですので、前提として「このサポートが正しい!」「このサポートは間違っている」と分断思考に話すことはできません。
ボール保持型のチームと縦に早い堅守速攻型のチームでは、チームとして求められるサポートの種類が変わります。
②ボール保持者の状況によって優先されるべきサポートの種類が変わる
今、ボール保持者はどのような状態にいるのか? 前方にスペースがあるのか?相手のプレッシャーとの距離が短いのか?後ろ向きなのか?前向きなのか?
当たり前ですが、これによっても周りのプレーヤーが行うべきサポートの種類は整理されます。
また、同じ種類のサポートの中でもボール保持者の状態によっては、サポートとの距離感や高さを調整する必要性が発生します。
ですので、サポートを行う際のキーファクターとしてボール保持者の状態を認知することは欠かせないこととなります。
③ボール保持者から遠くにいても近くにいてもプレーに関与していることを理解する
定義にもある通り、ボール保持者に近くにいようと、遠くにいようとサポートは成立します。
「ボールから遠くにいるから関係ないや」ではなく、我々指導者はピッチのどこにいようと各選手がプレーに関与していることを伝える必要があります。
つまりボール保持者がボールを失った際に、その選手だけに責任を押し付けることは不可能であり、大抵は受け手側の配置に原因があることが多いのです。
少し前に行われた、東京オリンピックでもスペイン代表のCBパウ・トーレスのビルドアップにおける運ぶドリブルのスキルが高いと話題になっていました。
もちろん、彼自身のテクニックアクションレベルが高いことも間違いないですが、なぜあの運ぶドリブルが可能になっているのか?なぜあの斜めの縦パスがズバッと通るのか?要因は、周りの選手のサポートにあるわけです。
こちらの動画内で、「フットボールにおける3つのタイプのプレーヤー」を紹介していますので合わせてどうぞ。
③「幅」と「深さ」
もう1つ理解しておくべき重要なポイントがあります。定義にもありましたが、サポートはボールから離れるか近づくか。
このムーブメントをする際に、関連するのが「幅」と「深さ」です。
「幅」と「深さ」を用いてサポートを行う際のそれぞれの主な目的は以下:
これら二つのコンセプトの関連性とそれぞれの目的を踏まえた上でサポートのタイプを見ていきます。
④6つのサポートタイプ紹介
ここから、実際に6つのサポートを順番に紹介していきます。
結論から言うとこちらの6つです:
サポート名に関しては、さまざまな表現が存在します。
例えば、先日Youtube動画でも公開しました坂本圭氏著書「ダイヤモンド・オフェンス」では、パスの種類を斜めや縦と方向性を切り取り名前にされていました。
ここではパスといった異なったアクションですがサポートの動きでも同様に、サポートを行う位置の方向から「斜めのサポート」や「背後のサポート」というのはよく聞きますよね。
ただ今回の記事で紹介するサポートは、図からもわかる通り「そのサポートは何のためにするのか?」の意図をそのまま名前に用いています。
なぜなら、現場でプレーヤーたちに伝える際にこの方が一番大事なWHYの部分まで同時に伝えることが可能になるからです。
ですので、この6つ以上にも目的から逆算をすればたくさんの種類を挙げることは可能ですが今回はその中でもより重要だと思う6つについて説明していきます。
それでは順番に見ていきましょう。
❶安全サポート
緊急時のサポートとも呼ばれることの多いこちらのサポートですが、名前の通り「ボール保持者に対して安全を提供するサポート」となります。
ボール保持者が、相手のプレスのよって前進ができないもしくは、ボールを失う可能性がある状況においてパスコースを提供します。
相手のプレスにより、前進ができない場合に並行のサポートではなく1列後方の選手がこのサポートを行うことでサイドチェンジを試みることも多々見られます。
このサポートを個人戦術アクション「深さ」の中の「後方の深さ」と定義することもできます。
❷継続サポート
ここでの1番の目的は、前進ではなくあくまでもプレーに継続性を与えること。
先ほどの安全サポートとの違いはボール保持者の状態にあり、相手のプレスを受けていない状態となります。プレーに継続性を与える、すなわちボールを保持し続けるサポートになるわけですが、ここで理解しておきたいポイントは、「ボールを動かしながらも常に前進することを探る」です。
結局はこのサポートを行う目的は、ボールを動かすことで相手を動かしながら、今は無い前進するためのスペースを作り出していくことにあります。
ですのでできる限り、 ことがポイントとなります。
❸❹前進サポート/超えるサポート
この2つのサポートに関しては、「どう違うの?」と思われる方も多いかもしれません。
これはあくまでも僕の中の定義分けですが、前進サポートはマークをしている相手選手と同ライン上でのサポートも含まれますが、超えるサポートは事前のポジショニングの時点ですでに相手のラインを超えているというイメージです。
よく聞く言葉として、「ライン間」「ライン上」のサポートがあります。
先ほどの説明からするとライン上が前進サポート、ライン間が越えるサポートに当てはまるわけですが、以下のようなメリット・デメリットも発生します。
ここではあくまでも1つのプレーシュチュエーションを挙げましたが、どちらのサポートも目的は同じですので表現の仕方は人それぞれで定義をするものだとも思います。
ただ、「前進したい」と言う目的を果たすためにボール保持者に近づいて相手プレーヤーをも近づけさせる状況は避けたいです。また、前進するためのスペースが自分の前方にあるのか?を認識することも重要なポイントとなります。
❺固定サポート
スペイン語でもすでにお馴染みのFijar (フィハール)。日本語に直訳すると「固定する」と言う意味合いになるのですが、このFijarを体現するアクションとしてよく例に挙げられるアクションがConducción (コンドゥクシオン/運ドリブル)かと思います。
しかし、このフィハールするという目的はそれがボール非保持時にても達成することは可能となります。
この目的がうまく達成できれば、自チームの攻撃にとって多大な優位性をもたらすことにも繋がりますので非常に重要なサポートとなります。
図には、2つのアクションを用いた2つの固定サポートの例を表しています。
この2選手の固定サポートによってできた、相手CBとSB間にOMFの選手が走り込みそのスペースを活用するといったプレー状況です。
つまり、固定サポートを行う際その選手の第一目的は「自分の動きによって味方がスペースを活用する」となりますが、これも全て相手DFの対応の仕方に依存します。
例えばこの状況において、相手SBがウイングにマークに出ずに元のポジションに留まる選択をした場合、本来は相手を固定するはずだった目的が自分がボールを受けて前進するにチェンジします。
❻背後を取るサポート
ここでの「背後をとる」は冒頭の定義でも話したように、デスマルケを用いた動きとは異なります。マークに密着されていない状態からフリーランニングで相手の背後に走り込むサポートのことを指します。
単純に、相手の背後にスペースを見つけ出しそこに向かってボールを送る目的もありますが、この動きによって相手を引きつけ味方に対してスペースを与えるといった目的も発生します。
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