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【後編】 現分析官に聞いた、アーセナルのプレーモデル大公開。優先すべきスペースの理解 【2023最新】

※当記事は以下記事【前編】の続きとなります。まだご覧になられていない方は初めにご覧ください。

前編記事に続き、アーセナル現アナリストから話を伺った内容の共有をしていきますが、今回の後編ではより彼らがクラブ内で提唱する具体的なコンセプトの中身から最後にはそれらをどのようにして日々のトレーニング現場で発信するよう意識しているか?までも含めて見ていきます。

特に最後に共有するTRへの転換方法に関しては非常に興味深い内容ですので是非最後までご覧ください!

【この記事を書いてる人】

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基礎的シチュエーションを共有する重要性とは?

初めに「基礎的シチュエーション」の定義から見ていきます。

基礎的シチュエーションとは自チームのプレーモデルやゲームプラン、対戦相手に依存をせず、どの背景の中でもコンスタントに起こるシチュエーションを指す。これらの状況下では常に同じ方法でプレーする。

皆さんも1週間のトレーニングプランを設計する際、チームのプレーモデルを照らし合わせたり、週末のリーグ戦/カップ戦の対戦相手のスカウティングができているのであれば、その情報を元にトレーニングするコンセプトの決定を行うと思います。

対戦相手や現状チームの抱える課題によってはTRしたい内容も変動し、試合の中で起こり得る現象にも違いが発生しますが、基礎的シチュエーションとは定義にもある通り、どのような背景の中でも必ずコンスタントに起こるシチュエーションを指します。

どのようなタイプの試合でもGKからスタートするビルドアップは発生するし、フィニッシュゾーンでの動き出しは必要だし、エリア内での守備はオンスタントに起こりますよね。

アーセナルが掲げる基礎的シチュエーション

これらの”マップ”を1つチーム内で持つことで、TR/試合分析時に「どこのシチュエーションの改善がより必要か?」「今日の試合ではこのシチュエーションは上手く現象として出たな」などのフィードバックの簡潔化が可能となります。

❶-1 4つのレーン
→ここ最近は片方SBと3枚でビルドアップをすることが多いので、CBが埋めていない方のレーンにGK配置。(基本的には左レーン)
❶-2 相手がプレスに出てくる
→相手がGKにプレスに出てきた際の3人目の動きの活用方法は?フリーマンは?の決定
❶-3 相手がプレスに出てこない
→出てこない時のオプションは?SBがベースゾーンに入ってくるのか?外に開いていたWGが中に顔を出すのか?などの決定

❷ フィニッシュゾーン
→相手のセンターバックがエリア内にいる状態か、いない状態かで識別することが多い。エリア内から出てる状態と出ていない状態で9番がどこのスペースを攻撃するべきかが変動。

-参考動画-

❸背後を狙う動き 
→いつのタイミングで裏を狙う動き出しを行うのか?決定する。

(守備)
❶組織的守備ブロック
→ポジショナルブロックの中でもさらに具体的に、相手ボール保持者がプレスを受けているのか?受けていないのか?バックパスがあった時は?これら全てのDFラインの機能の定義をする必要がある。

❷フィニッシュゾーンでの守備
→誰が誰につくのか?マークの際の腕の使い方、ぶつかり方は?、後退する方向性は?最後のDFはどういった対応をすべきか?

❸1st ラインを越えられた時
→遅らせるのか?越えられた人の行動は?どっちに方向付けるのか?の決定

これらの基礎的シチュエーションは何度も言いますが、それがvs1-4-4-2だろうが、vs1-4-3-3だろうが変わらずコンスタントに発生する原則としてチーム内で共有をする必要があります。

どのスペースを優先するのか?

次にピッチ上において彼らがどのようなスペースの定義を行い、その中でもどのスペースでのプレーや活用を優先しているのか?を見ていきます。

いろいろ書いてますが、特にアーセナルが重要としているスペースについて見ていきます。

❶3つの幅の定義
→近い幅/中央幅/深い幅
❷前進ベース(軸)
→常にプレーヤーが埋める必要がある
❸両サイドスタンド(両脇)
→サイドスタンドと近い幅は全く違うスペースとの認識をする
❹3つの四角形(システムによって数は変動)
→3つの中でも特にフィニッシュゾーンへの前進を試みるために両サイドの四角形の占拠を優先する

4つの高さ(ライン)+9が最終ライン(2CB)固定

TRへの転換方法。特異性なメニューとは?

最後に前編の内容も含め見てきた、彼らが掲げるコンセプトやモデルをどのようにしてTRの中で落とし込むことを意識しているのか?を見ていきます。

ミゲルのお話の中でも特にリピートしていた言葉が「特異性のあるメニュー作成を意識すること」です。ここでの特異性のあるメニューとは以下を指します。

自チームのプレーアイデアと週末のゲームプランのリアリティが明確に見えるメニューのこと

ここがまずは土台にあると言います。ここを中心に派生して合計4つの原則を定義しています。

❶システムリピート
ここでの”システムリピート”は自動化トレーニングのようなコンスタントにシステムを再生し続けるようなものではない。2人組の関係性、グループ戦術を反復するものでもなくあくまでも“行動を構築するために、背景をリピートする”ことを指す。ただここで誤ってはいけないのが、シーズンのモーメントごとには自動化トレーニング導入も不可欠。もしくは選手の脳がそれを必要とする瞬間がくる。
❷交互性
1週間というミクロな期間の中で、よりインテンシティがある日もあれば抑えめの日もあれば、特定の要素をTRする日もあれば…もしくは局面で考えても同様で特定なモーメントだけ1週間の中で行うのではなくてそこに交互性が存在することを意識する。
❸❹バリエーション/プログレッション(前進)※以下動画参照

他にも、要素リンクとは全体論的アイデアを指し1つのメニューの中にも複数の要素(戦術/テクニック/メンタル/フィジカル)もしくは複数のモーメントを導入しながら行うことや、全てのいかなるメニューにも競争要素を導入することを意識します(W-upで行うロンド1つから、最後に行うゲーム形式まで)

ここまで前編/後編とアーセナルトップチームをピックアップして見てきましたが、いつも言いますがトップの世界から育成の世界へと転換できること、できないことの見分けを行う必要があると考えます。これらの記事内容も1つのヒントとなればなという気持ちで共有させてもらいます。


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