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ドラッカーが提唱した目標管理


1.勝手目標と個人目標は違う
御社も「目標管理」を導入していると思います。
社員に目標を考えさせ、そして、目標管理シートに
目標を書いてもらい、提出させていると思います。

目標管理シートに書いてもらっているのは「個人目標」でしょう。
「個人目標」とはいえ、組織の一人として仕事をする以上、
その目標は本来、組織全体の目標に向けられたものです。
これが「個人目標」の前提です。

組織全体の目標に向けられていないものは
「個人目標」ではなく「勝手目標」です。
「勝手目標」とは、「もっとプレゼンがうまくなる」
「マーケティング力を高める」
「勉強会に積極的に参加する」といったもので、
組織全体の目標達成とは直接関係ないものです。

「勝手目標」をよしとしてしまえば、
一人ひとりの力は組織全体の目標には
向けられなくなってしまいます。
こうなると「私は私の目標があるから、
君は君でがんばってね!」ということになり、
一人ひとりの力はバラバラになってしまいます。

また、「こちらの部署はこちらの部署の目標があるから、
そちらの部署はそちらの部署でなんとかしてくださいよ」
ということになり、一つひとつの部署の力は
バラバラになってしまいます。

これでは、仕事上の協力関係は生まれず、
組織として成果をあげることはできません。
目標管理とはいったい何でしょうか?
ドラッカーはこう言っています。

自己目標管理の最大の利点は、
自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになることにある。
自己管理は強い動機づけをもたらす。適当にこなすのではなく、
最善を尽くす願望を起こさせる。
ピーター・ドラッカー


多くの企業の目標管理シートには「勝手目標」が書かれています。
組織として成果をあげられないならまだしも、
もっと恐ろしいことがあります。
それは、組織の力が低下していくことです。

御社でもそんなことが起こっているかもしれません。
組織全体の目標と直接関係のない「勝手目標」をやめ、
組織全体の目標達成に向けられた「個人目標」を
設定してもらうようにしましょう。

2.目標管理と評価制度は違う
御社は「目標管理」をどう運用しているのでしょうか。
部下が設定した目標を上司が
管理するものになっていませんか?
もしそうだとすると、それは人と組織の力をさらに
低下させる危険なやり方です。

実際、多くの会社が「部下が立てた目標を上司が管理し、
その達成度合いで上司が部下を評価すること」になっています。
「目標管理」といいながら、その実態は、単なる「評価制度」です。
部下の立場からすれば、立てた目標を上司に提示することは、
自分を評価させる武器を上司に与えていることに等しいわけです。

立てた目標に対する達成度合いで評価されてしまうわけですから、
部下は不用意に高い目標を立てられません。
高い目標を立ててその達成度合いが低ければ、
自分の評価が下がってしまうからです。
そこで働く一人ひとりは挑戦を警戒し、
これまでと同じ仕事しかしたがりません。

「目標管理」によって挑戦する風土が弱まっていくとともに、
組織はどんどん成果をあげる力を失っていきます。
目標とは言葉を換えれば「挑戦」です。
そこに間違いや失敗が許される余地がなければ、
誰も高い目標を立てて挑戦しようと思わなくなってしまいます。
「不用意に挑戦したくない」。これが多くの企業で起こっています。

3.目標による自己管理のステップ
1954年に、ピーター・ドラッカーが目標管理を提唱しました。
しかし、「目標管理」は「目標を管理すること」と誤解され、
ほとんどの組織が「目標を管理すること」として導入し、
「目標を管理すること」として運用しています。
これは、人と組織の力を低下させる最悪のものです。

目標管理は、英語で「Management by objectives」です。
その意味は、「目標による自己管理」です。
「目標による自己管理」本来の姿は、
組織全体の目標に向けられた個人目標を自分で決めて、
自分で管理していくことなのです。

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