エネルギーを巡る旅

自分はエネルギー業界に身をおいていることもあり、原子力なり新エネルギーに関する情報は世間一般の人よりは触れる機会も多く、多少知識もあるかと思います。

amazonのお勧めに導かれて手に取ってみた本書。タイトルからするに、再生可能エネルギーや電力・石油業界のことを概観したいような内容なのかと思っていたらとんでもない。

エネルギーとはなんぞや?というところからスタートし、著者の豊富な知識から、歴史、科学、物理の分野を横断して、エネルギーのありとあらゆる面が述べられている、という盛り沢山な内容でした。

にしても、会社勤めをしながらこれだけ多岐にわたる内容を調べ、まとめあげる事は並大抵の苦労じゃなかろうに・・・と思わざるを得ない濃さになっています。


著者は、歴史がスタートしてから5度の”エネルギー革命”があったと主張していて、その最初「火」を人類が使うようになってから、この旅はスタートします。

歴史の教科書で見ると、

人類は紀元前●●年頃に火を使うようになった

というシンプルな記述をなされていて、その重要性がいまいち腑に落ちませんでしたが、本書読み、この重大さがよくわかりました。


人間の脳みそが非常にたくさんのエネルギーを消費すること、また、人間が他の生物に比べておおきな脳を持って居ることは周知のことです。一方で、この脳を支える他の部分(体)にも着目する必要があります。

火を使い始める前までは基本植物を生で食べるしかカロリー摂取の手段がなく、これでは到底脳を発達させる程のエネルギー供給ができません。

しかし、火を使うことにより高カロリーな肉食が可能になったり、消化を楽にして簡単に高いカロリーを摂取が可能になるわけです。さらに、短時間での食事で済む。

すると、エネルギーも時間も豊富に与えられた脳は、十分に発達できる素地ができるわけです。ちなみに、牛は一日のうち6時間も食事に割いているのだそう。

という風に、きちんと知識を整理して組み立てていくと、一つの事柄からドミノ倒しのようにいろんなことが見えてきて、ページを捲る手を止められませんでした。

上のような事例は序章の序章に過ぎず、さまざまな事柄が縦横無尽に語られております。

エネルギーに興味がない人にも(ちょっと分厚いですが)楽しめる内容かと思います。ぜひ、手に取ってみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?