見出し画像

(漫画)スピナーベイト

此元 和津也先生作品。
セトウツミと同じ作者だなーと思って見てたら、オッドタクシーもなのか。
幅広。
セトウツミは、高校生が淡々としょーもない(?)会話を繰り広げていくユルユル系漫画かと思いきや、最後に大どんでん返しが待っていたという作品。
本作は謎解きあり、暴力ありのちょっと毛色の異なりますが、最後までドキドキし、オチの部分でそういうことだったのか!の伏線が綺麗に回収される作品に仕上がっております。
にしても、此元先生は伏線の貼り方と回収の仕方が天才的。

ちなみに、Amazonの紹介文はこんな感じ。

さえない男子高校生・三井が所属するフィッシング部。だが部活の実態は「スピナーベイト」と名乗る恐喝まがいの自警団だった。犯罪を取り締まることによって稼いだポイントが絶対の序列となるこの組織で、未だ1ポイントも稼ぐことが出来ない三井の明日は…? 臆病者とバカの疾走! リアル青春バイオレンス第1巻!!

わかったような、わからないようなw
タイトルのスピナーベイトは釣りをする人であればお馴染みの擬似餌の名前。
紹介文の通り、恐喝まがいの自警団集団「スピナーベイト」が活動する街で、連続殺人事件が起こります。実は、スピナーベイトと連続殺人事件の犯人とは、想像もつかぬところで実は繋がりがあり、犯人Aは巧みな戦術で、「復讐」を図ろうとします。

推理小説、サスペンス的にどっぷり感情移入しながら見るのも一つでしょう。
少し引いてみると、因果応報という構造も捉えることもできるかもしれません。
少しの悪事を働いたものを、恐喝して金銭を巻き上げる。
そうした場合、悪いのはどちらなのでしょうか。
最初に悪事をした方?それとも恐喝した方?両方悪い?
日本では基本的に正当防衛以外は認められていないわけなんので、いくら対悪人であったとしても、暴力的手段に出ることはバツとなりますね。
でも、よくテレビドラマなどでも描かれる話ですが、自分の最愛の人間を失ったとして、仇を打ちたい、犯人を懲らしめて(殺して)やりたいと思うのは、理解できる部分があります。

ネタバレになるので詳細は触れませんが、本作もそんな内容が描かれています。

話はとんで。
千葉県松戸で小学生の女の子が一人で家を出、遺体で発見されるという痛ましい事件がありました。
両親のコメントには、「遺体でも見つかってよかった。戻ってきてくれてありがとう。」という主旨の記述もあり、胸が締め付けられる思いです。もう無理だろうな、とは思いつつ、生きている可能性に賭け、祈るような日々だったのでしょう。そんな状態なのに、助けてくれる周囲の人々、関係者への配慮も忘れない。すごく立派だと思います。
そんなご両親に対し、「なんで目を離したんだ」といった内容の批判もあるといいます。そりゃ、24時間監視を続けてれば防げたことかもしれませんし、両親はずっと、そんな罪の意識に苛まれるかもしれない。
でも、子供と接したことのある親なら、現実的にずっと見張ってるなんてできないこと、わかると思います。
小さい子を持つお母さん(お父さん)は、本当にゆっくり寝る間もなく、トイレさえゆっくりいけずの状態で頑張っている人、たくさんいます。お風呂にゆっくり入れるだけで幸せ、なんていう人だっているんですね。
一番ショックを受けてるのは当のご両親であることは間違いないのですから、そんな心無い言葉をかけないでほしい。そう思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?