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有明海の干潟《41》外出自粛でも旅の気分

熊本を車で出るとカーナビには従わずにJR三角線の走る宇土半島北岸ルートをとった。それは半島先端の明治の港湾遺構を残す三角西港を見るのに便利なことと、有明海を隔てて島原半島を眺めたかったからだ。これが意外な展開となる。

国道57号線を走るとすぐに道路は三角線と並走し、やがて右手は海景で一杯となった。そしてそこには息を呑むような光景が広がっていた。もちろん、海である。が、いままで各地で見た海岸と全然違って、砂のような泥のような浜が遠くまで続いている。干潟だ。減速して停める場所を目で探すと、好都合にも駐車場がある。ドライブ中に車を止めるのは難しい。運転しながらだから、よそ見ができないので「ここで見物!」と決めても空振りもある。が、ここは大当たり。見たことも想像したこともない景色がそこにはあった。

干潟は沖に向かってすうっと、いやドロドロと広がっている。昔々学校の社会か理科で、有明海には干潟というのがあってムツゴロウがいると教わった気がする。広い干潟の中に、細いコンクリートの道が何故かを沖に向かって伸びている。道の両側はもちろん干潟。先の方は海の中のようにも見え、小さな漁船がたくさん見える。先端は海でプツリと終わっているようにしか見えない。果たして道なのだろうか。片側にはポツポツと電柱が立っていて、それで道の遠い先端が判明する感じである。あっ、軽トラックがこの一本道を走っている。やはり道ではあるのだ。

この干潟は黒に近い灰色で所により波紋のような模様を呈し、その先に海、そして遠く島原半島・雲仙が望める。海中には海苔の養殖なのだろうか、無数の細い棒が立っている場所もある。美しいというより、不思議な不思議な景色であった。

あとで調べると、この海に一直線に向かう道は長部田海床路(ながべたかいしょうろ)というのだそうだ。漁業用で、沖の船との連絡用でもあるらしい。遠浅ではあるが、潮が満ちてくると道のかなりの部分は水没するという。

#いま自分にできること #長部田海床路 #有明海 #干潟 #外出自粛

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