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[戦術ボードアプリ] TACTICAListaを公開しました!

TACTICAListaという名前のサッカー戦術ボード作成Webアプリを本日一般公開しました。

たいした内容はありませんが、このアプリケーションに纏わることを書いてみたいと思います。
TACTICAListaに興味を持たれた方に読んで頂けると嬉しいです。

なぜ作ろうと思ったのか

私は普段はフリーランスとして主にweb制作の仕事に携わっている、いちフットボールファンです。
この職業の常というか多くの人がそうだと思うのですが、自分のサービスやアプリケーションを作って人に使ってもらいたいという事を以前から考えていました。
小手先の技術は多少あるので、色々と思いついては手をつけてみるものの、なかなか形にはならないという事を繰り返していました。

戦術ボードアプリはすでに国内外に良いものがあり、日本で主に使われているのはfootball tacticsというウェブアプリケーションです。
サッカーのフォーメーション図を作ろうと思った方の多くは触れたことがあるのではないでしょうか。

football tacticsは優れたアプリケーションなのですが、2020年末に各ブラウザの対応が終了してしまうFlashという技術で作られているため、今後使用し続ける事が出来なくなってしまいます。
そのことを受けてfootball tacticsを使用して戦術分析をされている方々が困っている様子をSNSで目にしていました。

サービスが使えなくなってしまって困る人たちとサービスを作りたい自分。
サッカー観戦が趣味で、ここ数年は戦術的に見るということに面白さを覚えていた私には丁度よく条件が当てはまるシチュエーションとなりました。
実際にいろいろな方の分析記事を読んで楽しんでいたので、その人たちが困ると自分が読む楽しみも減ってしまう。ならば作ってみようかと思い立ったのが始まりでした。

完成まで

そう思って少し作ってみるものの、個人開発のあるあるだと思うのですが締め切りも責任もないプロジェクトは簡単に止まってしまいます。
少しやってみては日常業務に追われて、頭の片隅には作りたいという気持ちはあるのだけれど、まあ進まなかったです。
結局また成し遂げないパターンになってしまいそうだな、でも作りたいなと思っていた頃に、サッカー戦術論者界隈で「パスソナー」という試合中に選手がパスを出した方向を記録しビジュアライズするという手法が持ち上がってきたのです。

まず見た目が良く、試合全体の流れが浮かび上がるように見える感じが自分の好みでした。
とても面白いのですが、手作業でカウントしてその数を元に作図するという出力するまでの過程がなかなかに困難です。
作業効率を上げて作りやすくする方法はないだろうかと考えて、短い期間でそれに特化したアプリケーションを作りきれそうな方法が思いついたので一気に作ってみました(工数も少なく、すんなりと制作に入れたのでやりきれました)

勢いで作り上げて公開してTwitterに投稿はしたものの、その頃の私のTwitterフォロワー数はたしか100人ちょい、その中にサッカーの戦術に興味がある人はいてもおそらく数人。作ったものはニッチもニッチ。
あまり反響に期待することはなく、ひとつ作りきったことで満足感を得ていました。
その日は応援しているチームの試合があったので観戦に行き、その試合の結果がとても良いものでしたので意気揚々として帰っている間に、思いがけずTwitterにたくさんの通知が来ていました。
上述の記事などでパスソナーを広めていたマリオさんや、データに軸を置いた戦術分析をされていたpolestarさんを始めとした様々な方がこの小さな投稿を拾い上げて拡散してくれていたのでした。

その日のうちに使ってみてくれる方や、引用リツイートでのお褒めの言葉。Twitterは見知った友人との交流ツールでしかなかった自分にはちょっとしたカルチャーショックでした。とても嬉しかったです。
この体験は本当にインパクトが強く、味をしめた私は戦術ボードも作るぞ!と停滞感をリセット出来たのでした。

もうひとつ、このアプリケーションにとってとても重要な出来事があります。
よし、作るぞ!となっていた頃にファジアーノ岡山のサポーターで戦術分析を長くされているゼロファジさんがLINEのオープンチャットに戦術ブロガーが集う部屋を立ち上げられたのでした。
私もチャットに参加して、実際に図を作って分析をされている方々から直接要望を聞けたのはとても貴重でした。
TACTICAListaで「使いやすい」と言ってもらえている機能のほとんどはこの時に伺った要望によるものです。

人の力によって勢いと知恵を得た私は、なんとか2019年内にベータ版公開へと漕ぎ着けることができました。
今思うとベータ版ではなくアルファ版だと思うのですが、とにかく漕ぎ着けました。

ベータ版を公開すると、私の想定とは違ったところから反響をいただくことが出来ました。
それまで、私の焦点はいわゆる戦術ブロガーにしか向けられていなかったのですが、公開をしてみるとサッカーの指導をされている方からの反響がとても多かったのです。
現在ドイツで指導者として活動されているTOSHIさんや、国内で育成年代の指導をされているシオンさんをはじめ多くの指導の現場に携わられている方から積極的にリアクションやフィードバックをいただき、自分が気づいていなかったこのアプリケーションの可能性を感じることができました。

ここにお名前を上げきれないのが恐縮ですが、ベータ版の公開後にすぐに使ってみてリアクションやフィードバックをいただいた皆さんにもとても感謝しています。感度の高い人たちだな!と感動しまくっていました。

個人開発ではあるのですが、人に支えてもらった面がとても大きいです。
こうして、インターネット上でいろいろな方と関わることがなかったら決して本公開に至ることはなかっと思います。
とても感謝しています。

と、感情を込めた自分語りはこの辺りまでで、以降はアプリについて

特徴

TACTICAListaはサッカーの戦術ボード作成アプリケーションです。
ウェブブラウザ上で動作しますので、PC・タブレット・スマートフォンで使用することができます。
作成したファイルはクラウド上に保存し、どのデバイスからも同じデータへアクセスすることが出来ます。

はじめの方に書いたとおり、こういったアプリケーションは他にもたくさんあります。
制作にあたって、それらを参考に戦術ボードアプリケーションで必要なことは何かを考えた結果、TACTICAListaではまずは多くの機能を付けることよりも「軽快に手早く図が仕上がる」ということに重点を置きました。
このアプリケーションを使う人は図を作り上げることが目的ではなく、その図を使ってやりたいことがあるので、作図工程をなるべく省くことがあるべき姿だと考えています。

フォーメーション配置
リストに名前・背番号を入力して、フォーメーションシステムを選んで一括で11人を並べることができます。
また、リストへの入力はエクセルやスプレッドシートのCSV形式のペーストに対応しています。

複数のシーン
こういったアプリケーションの多くは1プロジェクトに1つのフィールドであることが多いのですが、それではデータの行き来が多く発生してしまうのでひとつのプロジェクト内で複数のシーンを作成できるようにしました。

外観の変更の容易さ
もともとターゲットとしていたユーザーが戦術ブログを書く人たちで、その多くはどこかのチームのサポーターなので、チームカラーの反映を容易くするためにフィールドやプレイヤーの色の変更を手軽に行えるようにしました。

連続配置
こういった作図ツールではオブジェクトを配置するツールを選んで配置をした後、ツールの設定が選択ツールに戻る/そのまま同じツールの状態が続くのどちらかになるのですが、ユーザーによってどちらにするかを切り替えることが出来るようにしました。
連続で同じものを配置したい場合は連続配置モードをONに、配置したら位置の調整等をすぐに行いたい場合は連続配置モードをOFFにして使用できます。

オブジェクトのロック
Illustratorを始めとする高機能描画ツールには必ずついている複雑になった図の誤操作を防止するためのオブジェクトロック機能は、このような戦術ボードアプリではあまりなかった(あっても種類別だったりする)のですが、軽快な作図のために備えました。

これらが軽快に作図できるためには?ということを考えて実装した主だった機能です。
文章にすると地味なのですが、作図をされたことがある方にとっては痒いところに手が届く仕様にできたと思っています。
この他にも様々な使い勝手を向上させるための工夫をしていますので、興味を持っていただけましたら一度使ってみていただけると嬉しいです。

使える条件は?

使用するためには登録の際にGoogleアカウントが必要となります。

料金は無料で使用できるFreeプランと月額課金制のBasicプランを用意しました。
Basicプランは月額$1.99(約200円)です。
Stripeという決済サービスと連携していて、お支払いにはクレジットカードまたはデビットカードが必要となります。

本音では登録時にユーザーの属性を収集してサービス向上につなげたいところなのですが、自分がユーザーだった場合を考えると個人開発サービスに色々な情報を預けることには抵抗があるので、必要とする情報は最小限に抑えています。

今後、サービス向上のための匿名でのアンケートを行うことがあると思いますので、その際にはご協力をいただけるとありがたいです。

なぜ月額制なのか

TACTICAListaを制作していて多くの方から「こういうものを待っていた」という期待の言葉をたくさん頂いたのですが、そこで思ったのは持続可能性が大切だということでした。
待っていたと思う人がいるということは、それが欠けていたということです。
上述のfootball tacticsも、もちろん製作者の方の様々な事情があるとは思うのですが、持続可能な仕組みを備えていれば、使用技術をFlashから別のものに変えてサービスをアップデートしながら継続が出来たのではないかと考えています。

ウェブの技術というのは本当に進歩が速く、1年2年前の技術は「古いもの」となってしまい仕様もデバイスもどんどん新しいものが出続けています。
大きな会社であれば売り切りの製品を盛大なプロモーションと共に大量に販売し利益を上げて次のバージョンを作るという循環を生むことができますが、私はそうではありません。
この早い流れに乗りながら持続可能にするためには自分のサイズに見合った仕組みが必要です。
そこで採用したのが少額の月額課金制です。
使う側も提供する側も息切れしてしまわないバランスを検討を重ねて設定しました。

もし、TACTICAListaを気に入って今後も使ってみようと思って頂けましたら、「購入」というよりも「サポート」という感覚で登録をして頂けると嬉しいです。
サポートをして頂くことにより開発時間を増やし、より良いアプリケーションへとアップデートしながら提供し続けることができます。

サポートはユーザーからの「いいぞ、もっとやれ!」の言葉に変換して取り組み続けることが出来れば素敵だなと思っています。

今後の展開

このプロジェクトがうまく成り立てばという前提が必要なのですが、今後も機能のアップデートを行いたいと思っています。

考えているのは
・ユーザー同士でプロジェクトを送りあえる機能
・チームを管理する機能
・ネットワークを介して双方向で同じボードを操作できる機能
などがあり、その他にも可能性を検討している機能がいくつかあります。

また、何人かの方からご要望を頂いているのでフットサル用のバージョンも制作する予定です。

最後に

というわけで、昨年の12月にベータ版として立ち上げたTACTICAListaがやっと本公開を迎えることができました。
これまで関わっていただいた全ての方に改めて感謝します。
ありがとうございます。
これからもどうぞ、TACTICAListaをよろしくお願いします。

フットボールを楽しみましょう!