見出し画像

『ライト・マイ・ファイア』 いよいよ発売  【歴史奉行通信】第十九号

こんばんは。
伊東潤メールマガジン
「第十九回 歴史奉行通信」を
お届けいたします。

〓〓今週の歴史奉行通信目次〓〓〓〓〓〓〓

1. 『ライト・マイ・ファイア』
いよいよ六月二十日発売
2. 寺島と三橋。二人の男の人間ドラマ
3. 制作秘話とこれまでにない試み
4.伊東潤Q&Aコーナー
5.お知らせ奉行通信

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

━━━━━━━━━━━━━━━

1. 『ライト・マイ・ファイア』
いよいよ六月二十日発売

━━━━━━━━━━━━━━━

六月になりました。
蒸し暑い上に雨が多くて、
じめじめした嫌な季節が始まりますね。

しかし六月は、
読書にとって最適な季節でもあります。
雨の休日は、しゃれた喫茶店で
読書三昧の一日を過ごすのにいいかもしれません。

梅雨真っ盛りの六月二十日、
最新作『ライト・マイ・ファイア』
(『アンフィニッシュト』改題)が発売されます。
この作品は『横浜1963』に続く私の現代小説の第二弾です。

この物語の主たる舞台は1969~1970年で、
全く別の話のように現代パートが展開していくという二重構造になっています。

この作品は、読者の皆様をあの「熱い時代」にお連れしたいという一念で書きました。

その時代を生きた方も、
その時代を知らない方も、
この作品によって、学生運動華やかなりし頃、
すなわち若者たちが情熱を糧に生きていた時代にタイムスリップしてもらいたいのです。

というのも体験型アトラクションや
バーチャルリアリティを駆使したゲームなどの登場により、
映像、スポーツ、音楽、小説といった
エンターテインメントも変容を遂げていかねばなりません。

つまり、これまでのようにスクリーンやテレビを通して映像作品やスポーツを見る、
またステレオで音楽を聴く、小説を読むといった行為をより以上、
体験型に近づけていく必要があります。

こうした傾向は、音楽CDは売れなくても、
アーティストのライヴは常に満員、
また視聴率は取れなくても、野球場はチケットが取れないほど満席といった現象にも表れています。

こうした「体験を提供する」という動きに、
小説も対応していかねばなりません。
その一つの回答がリアリティなのです。

見る、聞く、嗅ぐ、感じる(痛みなど)といった五感を刺激する表現を畳み掛けることで、
読者を「その場」に連れていくことが、
これからの小説には必要なのです。

私の場合、これまでも長篠の戦場や熊野灘に、
はたまた19世紀のパリに
読者の皆様をお連れしましたが、
今回は1970年頃の日本と北朝鮮にお連れします。

そこで何が見え、
何が聞こえ、何を感じるかを、
この作品では徹底的に追求しました。

もちろん、そうしたものだけで物語は成り立ちません。
濃密な人間ドラマの中に読者を放り込み、
主人公と一緒に喜び、恐れ、悲しみ、何かを成し遂げることこそが、
エンタメ小説の真髄です。

そうした基本方針の下に、『ライト・マイ・ファイア』の執筆は始まりました。

━━━━━━━━━━━━━━━

2. 寺島と三橋。二人の男の人間ドラマ

━━━━━━━━━━━━━━━

実際に川崎であった簡宿放火事件の現場から、
この長い物語は始まります。

現代パートの主人公の寺島は二十八歳。
都内の私立大学を出て警察官になったものの、
希望する公安には配属されず、
川崎署で軽犯罪の取り締まりなどを行っています。

警察は東大や京大出以外はノンキャリアとされる世界で、
彼は二十代にして壁に突き当たります。

元々、ある理由があって警察官になり、
公安への配属を希望した寺島でしたが、
それにこだわったがゆえに、
自分の人生を無駄にしてしまうのではないかという危惧を抱いています。

友人たちが大企業やベンチャー企業で華々しく活躍するのを知ることで、
その思いはいっそう募っていきます。

そんな寺島ですが、元来が真面目なので仕事には熱心に取り組みます。
警察署のすぐ近くで起きた
火災事案を担当することになり、
寺島は焼死体の人物特定を担当します。
努力のかいあり、被害者十人中九人までを特定しますが、
残る一人がどうしても分かりません。

そんな時、焼け跡からコインロッカーのキーが見つかり、
寺島はコインロッカー会社の収容物の中から謎のノートを見つけます。

しかしロッカーのキーは溶けており、
最後の一人とそのノートとの接点はありません。
それでも寺島は、そこに書かれていた「1970」という西暦らしきもの、
「H・J」というイニシャルらしきもの、
さらに延々と続く数字の羅列が気になります。

*************

一方、学生運動華やかなりし1969年、
一人の若者が雄志院大学(架空の大学)のキャンパスに第一歩をしるします。

誰もが、これから始まる四年間の学生生活に胸を弾ませる中、
その若者だけは冷めた視線で学生たちを見ていました。

彼の本名は三橋琢磨。
しかし大学では中野健作です。

彼が二つの名前を持っているのは潜入捜査官だからです。
この頃、様々な運動の挫折から、
学生運動家たちは武力闘争へと舵を切り始めており、危険な集団に化しつつありました。

琢磨は白崎壮一郎率いる統学連に潜入し、
その情報を公安に伝える役割を課されていました。

そんな彼の前に現れたのが、
清楚な美人・桜井紹子です
(沢尻エリカあたりで脳内再生して下さい)。

桜井は琢磨を統学連に誘います。
紆余曲折を経た後、琢磨は白崎の信用を得ることにも成功し、
まんまと学生運動の闘士になりおおせます。

そうした中、白崎は武闘派のセクトと連合して赤軍派を結成します。

ところが大菩薩峠で軍事訓練を行おうとしていた矢先、
警察に踏み込まれ、主要メンバーが逮捕されてしまうのです。
こうして追い込まれた白崎らは、世界を股に掛けた壮大な作戦に着手します。

その実行メンバーに、琢磨も入っていました。

━━━━━━━━━━━━━━━

3.制作秘話とこれまでにない試み

━━━━━━━━━━━━━━━

さて、いかがですか。
ここから物語は急展開を見せます。

まさに『24』などのアメリカ製テレビドラマを見るような感覚になると思われます。

この作品は現代パートの
「刑事マルティン・ベック・シリーズ」的地道な捜査パートと、
過去パートの『24』的ジェットコースター展開をサンドイッチ構造にし、
ダッシュとクールダウンを繰り返すことにより、
読者に体験型アトラクションのような快感を得ていただくことを主眼としています。

もちろん伊東潤の強みである歴史小説的展開も健在です。

綿密な取材と調査によって、
架空のものを除いたすべての事件の場所や日時は、
現実の事件と合致させているので、
読者はあたかも、主人公の体験を現実のもののように感じることができます。

ちなみに読者の皆様が追体験しやすいように、
次回のメルマガでは、
作中で引用した楽曲について私的体験も含めて書いていますのでお楽しみに。

****************

かくして『ライト・マイ・ファイア』は、
伊東潤がリサーチした最近の読者の嗜好と、
これまで培ってきた小説執筆ノウハウを叩き込んだ集大成的作品となりました。

またこの作品では、私に警察や公安についての知識がないため、
版元の毎日新聞社のご厚意により、
退官したばかりの元刑事の方に監修に当たっていただきました。

その方からは、警察組織から警察官の考え方まで徹底的にご指導いただきました。
これによりリアリティは、いっそう増したと思われます。

作中にたびたび出てくる「目つき」については、この方からご指導いただきました。

ちなみにこの方は、電車の中で万引きや痴漢防止のために「張っている」私服を、百発百中で見抜けるそうです。

さらにこの作品には、これまでにない試みがなされています。

私の読書会参加者にこの作品のPDF版
(「サンデー毎日」連載版『アンフィニッシュト』)を配布し、
参加者のアドバイスや意見をお聞きし、
それを今回発売の単行本版『ライト・マイ・ファイア』に反映させたのです。

すなわち作品執筆工程に読者も参画いただき、作品に関与してもらったわけです。

とくに登場人物のキャラクター造形などには、多くのご意見を賜りました。
その結果、主人公たちが、いっそうリアリティのある人物として浮かび上がってきました。

言うなればこの作品は、
これからの「ファンベースの時代」を先取りした初めての「読者参加型」の小説作品なのです。

かくして超大作『ライト・マイ・ファイア』を上梓する運びとなりました。

この作品がどう評価されるかは分かりません。
しかしこの作品が、私の執筆歴の画期となることだけは間違いありません。

****************

時代の変化と共に
エンターテインメントは多様化し、
その中の末席に追いやられた感のある小説も、
変容せねばならなくなりました。

そうした中、『ライト・マイ・ファイア』は
体験型と読者参加型を強く打ち出した作品です。

これまでの小説に飽き足らない方に、
ぜひお読みいただきたいと思っています。
そして感想をSNSやネットのレビュー欄に
「#ライト・マイ・ファイア」とハッシュタグをつけて上げて下さい。
皆さまの一言が私の活動を支えています。

小説の未来を一緒に作っていきましょう。

*****************

いつも伊東潤メルマガ「歴史奉行通信」を
お読みいただき有難うございます。

当メルマガの感想等は是非ツイッター等のSNSでツイートください。
ハッシュタグを
「#伊東潤メルマガ」「#歴史奉行通信」
と付けていただければ幸いです。
いつも目を通しております。
有難うございます。

それでは次回のメルマガをお楽しみに!

━━━━━━━━━━━━━━━

4.伊東潤Q&Aコーナー

━━━━━━━━━━━━━━━

それでは好評のQ&Aコーナーです。
今回はブチョー様からです。

Q :
アテクシ、文章を書く(打つ)のがすごく苦手です。
仕事柄、報告書を書くことが多いのですが、
ある程度定型の文章なので
何とか書き上げています。
ですがアメブロやnoteなど「自由な文章」を書くのがすごく苦手なのです。

書く=発信するということなので、
本当に発信したい事なのかも疑わしいのですが(苦笑) どうしたら歳相応?
で上手い文章を書けるようになるのでしょうか?
因みに小学生から作文が苦手で、
小論文ですら眩暈がします。
(ブチョー様)

A:
これは難しいですね。
不得意なもの得意なものに変えていくことは、
誰しも最も難易度が高いことです。
文章は書いていて楽しいと思えない限り、絶対に長続きしません。
だから文章講座やそれに類する本も、私はあまり勧めていません。

強いて言えば、森鴎外から浅田次郎まで、
名文家の小説を読むことです。
ブチョー様の場合、もしかすると文章を書くことよりも、
自分の発想をどうまとめていくかが苦手なのかもしれません。
その場合は、考えを箇条書きに書き出して発想をまとめていき、
文章にする時は気取らずに「分かりやすさ」を目指すことです。
まあ、アテクシと言っている時点で、誰なのかは分かりましたが(笑)。

*****

インタラクティブを心がけている、
伊東潤のメルマガでは
皆様のお悩みを、
歴史上のエピソードになぞらえてお答えしていきます。

今後、こちらのコーナーもより活性させていきたいと思いますので、
是非お気軽に以下のリンクよりお送りください。
https://goo.gl/forms/QC0Pu5E4B76NjAyg2

━━━━━━━━━━━━━━━
5.お知らせ奉行通信
新刊情報 / 読書会 / その他
━━━━━━━━━━━━━━━

【新刊情報】
☆文庫版『池田屋乱刃』(講談社) 好評発売中
「あの暑い夜に何があったのか」
世に名高い新選組の池田屋事件。
しかしそれは、これまで新選組サイドから語られてきたものばかりで、
志士の側から描いたものはありませんでした。
それを伊東潤が、最新の研究成果を元に描き出します。
しかも同一事件綿視点から描くという
多視点群像劇+連作短編という構成的にも面白い作品になっています。
https://amzn.to/2rdZWkJ

☆『ライト・マイ・ファイア』
(『アンフィニッシュト』改題) 
(毎日新聞出版)6月20日発売予定
「サンデー毎日」誌に、
一年余にわたって連載していた『アンフィニッシュト』が、『ライト・マイ・ファイア』と改題され、装いも新たに
単行本(ソフトカバー)として発売されます。

伊東潤の全知全能を傾けた
社会派ミステリー超大作です。
詳細は伊東潤のHP「恐々謹言」をご覧下さい。
https://itojun.corkagency.com
すでに以下よりご予約も可能です。
https://amzn.to/2IocxYX

【読書会情報】
いよいよ今週末に迫っている読書会は
満席御礼となっていますが、
次回、第十回読書会は
8月11日(土)の15:30開始となります。

今年10月発売予定の新刊『男たちの船出』を事前にPDFでお送りし
(申し込み開始となる7月初旬の予定)、
その感想を読書会で論じ合い、
それを作品に反映させていきたいと思っています。
『ライト・マイ・ファイア』と同じ読者参加型のイベントです。
お申し込みの開始まで、しばらくお待ち下さい。

【ラジオ出演情報】
NHKラジオのレギュラー放送は、いつも通りあります。
この番組は「マイあさラジオ」といって、
NHK第一放送で毎日やっているものです。
私の担当は土曜日で隔週です。
だいたい朝の7:30から始まります。
今は第二と第四土曜になります。
http://www4.nhk.or.jp/r-asa/

【講演情報】
久しぶりに参加資格なしのオープンセミナーを開催します。

7/11(水) 
「歴史と古典に学ぶ最新テクノロジーの生かし方」
https://www.ni-consul.co.jp/seminar/18_0711.html

8/25(土) 
「新視点・幕末伝 諸藩の明暗と津和野藩」
https://goo.gl/mbWQCT

【メルマガバックナンバー】
伊東潤の魅力がたっぷり詰まったメルマガ「歴史奉行通信」。
途中からご登録いただいた方や「読み逃した!」という方に向けて、バックナンバーが読める仕組みを作りました。
以下の伊東潤のnoteのサイトよりバックナンバーの購読が可能になります(*一部有料)。
一回ずつアップしていきますので、お楽しみに。
https://note.mu/jun_ito_info/m/ma2f23f41e9b5

−−−−−−−− 最新情報はこちら −−−−−−−−−

Twitter:https://twitter.com/jun_ito_info
Facebook:https://www.facebook.com/itojun.info/
note : https://note.mu/jun_ito_info

■メールマガジンを友人に教える場合
下記URLをお伝え下さい
http://itojun.corkagency.com/mailmag/

ここから先は

0字

歴史小説家 伊東潤が毎月第一・第三水曜日に配信しているメールマガジン【人間発電所日誌】。 歴史に関する情報や作品制作秘話、伊東潤が読者のお…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?