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車を乗り換えたワケ

車を乗り換えたワケ

最近、車をウィッシュからルーミーに乗り換えた。
ウィッシュは紆余曲折あって都合3台を乗り継いだ。初代と2代目、2代目のマイナーチェンジ後。ちょっと珍しいのではなかろうか。クラウンじゃあるまいし。
3台はいずれも1.8リッターエンジンだったが、それでも僕にとっては十分、特に2代目はパワフルでよく走った。乗り心地はゴツゴツしていてお世辞にも良いとは言えなかったし、エンジン音も高速では結構なものだったけど、イザ(年に1度あるかないかだけど)という時に7人が乗れること、後部座席をたたんで大きな荷物を積めることは重要だった。とにかく気に入っていたのだ。
まだまだ乗れた。車検を更新して乗るつもりだった。でも定期点検でディーラーに行った時「次は少し小さい車が欲しい」と妻が言っていたのを思い出した。

ウィッシュは長い。狭い場所での駐車は苦手だし、軽の駐車スペースにはとても停められない。
Aピラーが太く倒れていて特に右折の際の視界が悪い。三角窓など飾りだ。
踏めばそこそこにスピードがでてしまう。踏み間違い防止機能や衝突防止装置なども付いていない。
後席もヒンジドアだから、左右の間隔の狭い駐車場では乗り降りしづらい。
燃費が悪い。カタログ値などあてにならない。街乗り中心だとリッター6キロぐらい。それに、
父や母を乗せる事ももう無くなった。

両親がこの世から去って、4人以上が乗る機会はもうめったにないだろう。子供の成長に従って遊びに出掛ける機会が減り、その代わり塾の送り迎えが増えた。
妻はペーパードライバーだ。ウィッシュのハンドルはあまり握っていない。初代に乗り始めたすぐに駐車場で柱に軽くぶつけて、それ以来運転に苦手意識を持ってしまったらしいのだ。どこへでも自転車で元気に走り回っていて、運転できない事を苦にしていないと思っていた。それが「小さい車が欲しい」という。
やっぱり車は便利だし、乗りたい。
娘の送り迎えもしてあげたいし。小さい車だったらなんとかなると思う。
ああ、そうか。突然気がついた。
今乗らないと二度と乗れない。お互いもうそんな歳になっているのだという事に。

だから、定期点検のその日、店にあるカタログをいくつか拝借して帰った。そして妻に「次はどんな車にしようか」と相談した。小さな車のカタログを見せながら。

後日、定期点検で見つかった不具合の部品交換の為に再び店を訪れると、いつもの営業マンが「乗り換えをご検討ですか?こちらがおすすめですよ」と声を掛けてきた。
素晴らしい。営業はこうでなくては。何事もタイミングだ。
「これは自転車が乗るかい?」
「乗りますとも」
妻は小さくて、自転車が載せられる車をご所望だ。
自転車で出掛けた娘を、自転車ごと回収できるように。(了)

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