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世界は広い

自身の人生の中で、大きな衝撃を受けた出来事がある。
「外」を見る大切を知った事だ。

2002年、私は陸上競技日本ジュニア選手権で優勝し、ジャマイカで開催された世界ジュニア選手権に日本代表で出場した。
初めての日本一。初めての日本代表。初めての海外遠征。
一気に人生が変わった感覚があった。

2002年世界ジュニア選手権大会 (ジャマイカ)

当時19歳の私は、「自覚症状」はなかったものの調子に乗っていたのかもしれない。
今思うと、環境の変化なども含めて、初めての経験をする何も分からない若造だった私は勝手に調子に乗ってしまうな、とも感じる。

それが競技の結果にも表れるように、世界ジュニア選手権では自己ベストとほぼ変わらない記録で走り準決勝へ進出したが、帰国後は全く走れず体も動かない、記録も出ない、出口の見えない暗い暗いトンネルの中に入り込んだ。

しかし、ある出来事で私の考え方が一瞬にして大きく変わった。

当時、大学の友人と数人で食事をしていた時のこと。
友人が、ある方に私のことを「彼、陸上の日本代表だよ!」と紹介してくれた。
今までの反応であれば、多くの方が「凄いね!」という反応だったが、その方は一言。

「へぇ〜。え?陸上って何するんだっけ?」

「ハッ」と目が覚めた感覚と同時に、一気に物凄い恥ずかしさと、自分の小ささを猛烈に感じた。

「自分は『陸上という世界』の中での話をしていたんだ。その中でもジュニアの話。陸上の一歩『外』に出た、社会の人は誰も知らない。『陸上』すら知らない。なんて自分は小さいんだ。恥ずかしい…」

それから、自分では気付いていなかった変な「プライド」のようなものが、1ミリもなくなった。

私は、熊本県天草市の人口3000人ほどの町で生まれ、小学生の頃は25人1クラスで6年間クラス替えの経験なし。
高校で熊本市の高校に寮生活で通わせてもらい「外」を見た。
大学では海外で、日本の当たり前が当たり前ではないことも肌で感じた。
6年前、東京に赴任して同じ日本でも異なる文化も知った。
今は独立して、また新たなことを感じる日々。
「井戸の外」を見ることで、多くのことを学び、その大切も知った。
この経験は、財産だ。

一つの世界では物事の捉え方、考え方もその世界観となり、何より「プライド」が生まれることもある。(勿論それが悪いこととは思っていないし、否定するわけでもない)
外を見ると、色んな景色が待っている。
知らない景色を見て、自身も成長できる。
世界は広い─。

これが全てではないが、そのような選択肢もあるんだよ、という「大人や周囲のサポート、環境」が大切だと私は感じる。


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