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アルツハイマー型認知症の血縁者がいると自分もアルツハイマー型認知症になるのか

今日のポイント

  1. 常染色体優性で若年発症の「家族性アルツハイマー病」は全体の0.5%程度である

  2. 家族性アルツハイマー病でなくても、アルツハイマー型認知症の血縁者がいれば自分も発症するリスクは高い

  3. 中年期から生活習慣を工夫することで発症リスクを下げることが大事

参考文献
[J Formos Med Assoc. 2016 Feb;115(2):67-75.]
[Neurology. 2019 Apr 9; 92(15): e1745–e1753.]
[Biol Psychiatry. 2015 Jan 1;77(1):43-51.]

本文

おはようございます。今日は「アルツハイマー型認知症の血縁者がいると自分もアルツハイマー型認知症になるのか」というテーマでお話しします。アルツハイマー型認知症のご両親や祖父母がおられる方に読んでいただけると、抱えておられるリスクや、今後どうすべきか、がお分かりいただけるかもしれません。

まず、少し特殊な「家族性アルツハイマー病」についてお話しします。家族性アルツハイマー病とは、簡単に言うと遺伝子変異によってアルツハイマー型認知症を発症してしまう、というものです。この遺伝子変異を持つ人の子供はおおよそ50%の確率でアルツハイマー型認知症を発症してしまいます。また、通常のアルツハイマー型認知症よりも若くして発症されることが多いです。ただし、家族性アルツハイマー病は珍しい疾患であり、アルツハイマー型認知症の中でも0.5%程度しかない、と報告されています。

次に、通常のアルツハイマー型認知症についてお話しします。こちらはアメリカのユタ州の人口データベースを解析した研究の結果です。結果は、両親や兄弟姉妹にアルツハイマー型認知症の人が1人でもいる人はアルツハイマー型認知症を発症するリスクが1.7倍あった (1人もいない人に比べて)、というものでした。また、最近では多くの遺伝子がアルツハイマー型認知症のリスクと関連していることも判明してきています。アルツハイマー型認知症に限らず、多くの病気がそうですが、病気になりやいかどうかは生まれつきある程度決まっているということです。

さて、アルツハイマー型認知症の血縁者がいると自分もアルツハイマー型認知症になりやすい、ということがお分かりいただけたと思います。ですが、悲観的になる必要はありません。できることはあるので大丈夫です。まずは、生活習慣の見直しです。私の他の note 記事や、インターネット上にも様々な情報がありますので、是非若年あるいは中年期から、生活習慣を見直して将来のアルツハイマー型認知症発症リスクを下げるようにしましょう。また、アルツハイマー型認知症に対する治療薬開発も進んでいます。最近はアルツハイマー型認知症の発症に影響する「アミロイドβ」という物質に対する抗体治療も開発されており、今後もさらに有効な治療薬の開発が継続されるでしょう。我々の手元に届くまでまだ時間はかかるかもしれませんが、それまでに自分ができる予防をまず開始、継続することが大事だと思います。

今日の話は以上となります。皆さんの健康に役立つ内容であればいいなと思います。

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