勇気の人 杉原千畝を知っていますか
終わらないイスラエルのガザ地区への攻撃に私はずっと胸を痛めているが、こんなニュースを今日読んだ。
黒人女性の教授がハーバード大学の学長になっていたとは知らなかった、素晴らしいではないか、と思ったのもつかの間、反ユダヤ主義的な思想に対して、あいまいな発言をしたのと、自身の論文の盗用疑惑を受けて辞任したとのこと。今イスラエルが行っている事の擁護は難しいのは分かる。私もガザ地区の市民を巻き添えに殺害している事は全く擁護しない。だが…ユダヤ人、ユダヤ民族の歴史、特にホロコースト(本当はショアと呼ぶのが今は相応しいのだが、日本人にはホロコーストのほうが分かりやすいので便宜上ホロコーストという名称を使う)などを思い出すと、正直イスラエルを批判したくなくなるのである。なぜユダヤ人は差別や迫害を受けてしまうのか?キリスト教において、神の子であるイエスを殺害したのはユダヤ人なので、「キリストを殺した民族」として忌み嫌われてしまったという事がある。この辺りは先日の記事にも書いた。一神教同士は相いれないのである。下記のサイトにこの部分の説明がある。
その他にもいくつか理由があるのだが、上記サイトを読めばユダヤ人がなぜ迫害されたか、ホロコーストがなぜ起こってしまったのかがよく分かるので是非読んできてほしい。
前置きが長くなった。本稿では、ナチスドイツのユダヤ人迫害に勇気を持って立ち向かい、ユダヤ人6000人以上を救った、日本のシンドラーと呼ばれる杉原千畝の事を改めて紹介したい。
千畝が高く高く称賛されているのは、当時の大日本帝国の方針、法律理解(ビザ発行には出国する国の許可がいること)に逆らってまでも、必死に生き延びようとするユダヤ人たちにビザを発行したことだ。第二次世界大戦のさなかの、全体主義に染まった大日本帝国の方針である。逆らえばどんな目に遭うか分からない。しかも当時は日独伊三国同盟でナチスドイツは同盟国で、その政策に異を唱えユダヤ人を保護する、という決断がどれほどに難しいかは想像に難くない。実際に千畝も相当に悩んだ。しかし、最後は勇気を持って決断した。以下、本人の手記を読んでみよう。
自分に照らし合わせてみる。外務省の外交官として外国に赴いている。悩ましい問題に直面し、本国に問い合わせると「不可」と返事が返ってきた。果たして、自身の道徳観や倫理観に従って行動できるだろうか。しかもこの時の千畝はまだホロコーストの実態までは知らない。そこまでむごたらしい所業が行われているとまでは知らなかった。にもかかわらず、彼は正しい決断をした。人が権威に逆らって行動するのがいかに難しいを示した心理実験がある。戦後、ホロコーストに関わったナチスの人間は裁判にかけられたが、その中にアドルフ・アイヒマンがいる。人々はあんな残酷なホロコーストを実施していたアイヒマンはどんな残虐な人間なのだろうと思っていたが、実際に裁判などの様子を見てみると、凡庸な小市民に過ぎなかった。これを受けて、イェール大学のスタンレー・ミルグラムが「ミルグラム実験」と呼ばれる心理実験を行った。
少し込み入った実験なので、詳細はリンク先を読んでほしいのだが、誠に恐ろしい事に、実験結果は普通の平凡な市民でも、一定の条件下では冷酷で非人道的な行為を行うことを証明するものであった。
権威ある人間の命令には多くの人間が逆らえず、良心を麻痺させて時には非人道的な行動もしてしまう。
これは私自身も含めて皆さんにも知っておいてほしい事である。日頃善良に生きていても、権威ある人間、例えば首相だとか、もしくは自分の会社の社長でもいい、そういう人間に逆らうのは本当に大変なのだと。保身感情は当然ある、損得勘定もあるだろう。だからこそ……杉原千畝のなした事は素晴らしいのである。皆さんも自分に当てはめて考えてみてほしい。全てを捨てることになっても、自分が正しいと思えること、信じられることのために行動出来るか、と。
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