19の恋④

付き合って2年が過ぎ、私は少し生活環境が変わっていた。
遠く離れた県で一人暮らしをはじめ、学校では人間関係が良好になり、勉強の成績もぐんぐん上がった。
サークル、バイト、飲み会、勉強、と忙しく過ごす時間の中で少しだけ彼の存在が弱くなっていた。

それでも私たちは毎日連絡をとり、電話をして愛を確かめあっていたはずだった。

そんな生活が続き、久々に彼に会えることになった。私は嬉しくて嬉しくてたまらず彼に会った瞬間抱きついた。
けれど、いつもなら同じだけの熱量で抱きしめ返してくれる彼の腕の力は弱かった。
たしなめられるように頭を撫でられ、ご飯を食べに行き、夜は私の家に帰ってすることをする。抱きしめながら眠りにつく彼の様子は変わらないはずなの私は自然と涙が溢れた。
その小さな変化の理由を聞くことができないまま、彼は自分の家に帰っていった。

これが何度も繰り返され、私たちは2人で過ごす3度目のお正月を迎えた。

もう、我慢の限界だった。日々日々冷たくなる彼は、このことにはろくすっぽ電話で話すらしてくれなくなった。

私が何かしてしまったのか、学生生活を満喫しすぎていて癇に障るのか、他に好きな人ができたのか・・・とめどなく溢れる涙を拭うことも忘れて私は彼に詰め寄ってしまった。
彼の口から出た言葉は私の想像の上を行く答えだった。

・junはこれから大学院へ進んで社会人になるね。きっと東京で就職することだと思う。いや、絶対行くべきだと思うんだよ東京に。でも俺はそこに行けないんだ。
・junにまだ全部は話せてないことがある中で、伝えないといけないことがある。俺が裏の仕事をしていたことは話したと思う。その人たちと関係を切ったのは本当なんだ。でも、噂や色んなところから情報が色々入ってくるんだよ。結論から言えば俺は、東京に行けないんだ。まだ、俺のことを殺したいほど憎く思っている人間がいるから。そんな俺とjunが一緒にいたら危ない目に合うんだよ。
・junのことは誰よりも好きだし愛してる。でも、どんどんどんどん大人の女性として成長していくjunを見ていて、俺がjunの未来や可能性を奪ってはいけないと思ったんだ。でも、手放したくもなくて、冷たい態度になっちゃったんだ。ごめんな。

もう私は泣いていなかった。彼の言葉が弓矢のように一言一言私の心臓を刺した。何年も一緒にいたから、1度決めたことを変えない頑固な人だというのはわかっている・・・だからこそ、強がるしかなかった。

「そっか。じゃあ仕方ないよね。お互い別々の道を行くしかないんだね。今までありがとう。」

そう言って、すっと車を降りた。家によく帰れたと思う。それくらい、車を降りてから家に着くまでの私は大泣きをしていて前もろくに見れたもんじゃなかった。

家に帰り、彼との思い出が一つ一つ思い出される。
半狂乱になってしまうんじゃないかと思うほど、失恋の痛手は深かった。学校にもバイトにも行けず、1週間は泣き暮れた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?