【横浜カジノ勉強会 後編】越智祥太医師 ギャンブル依存症の心配 2019年8月28日
本記事は、2019年8月28日 18時30分からカジノ問題を考える集会世話人会の主催で港北公会堂で開催された「横浜にカジノはいらない勉強会」における越智祥太医師(ことぶき共同診療所 精神科医)の講演の一部を箇条書きで共有する。勉強会に参加した筆者が特に重要と感じた点の抜粋が中心。
*井上さくら市議による「横浜市の動き報告」は前編を参照してください
*全体を知りたい方は、きむちゃん氏が当日撮影したツイキャス映像を視聴してください
ギャンブル依存症について
・横浜の寿町は日本三大ドヤ街(日雇い労働者の街)の一つ
・もとは桜木町の野毛にあったドヤ街をハローワークごと寿町に移転した経緯があるので、寿町は三大ドヤ街の中でも狭い
・寿町には信号機がない。信号機待ちの間によからぬことを考えるからという説もある
・リーマンショックの頃から依存症の質が変わってきた。リーマンショックで非正規労働者がまずは切られ、ギャンブルで一攫千金を得ようとギャンブル依存症が増えて言った。特にパチンコ。
・ギャンブル依存症で問題になっているのは、対マシーン。日本ではパチンコ、スロットなどが8〜9割を占めると言われている。アメリカのカジノではAIによって収奪率の高いスロットがつくりだされている。
・逆に、競馬、競輪、競艇、オートレースでギャンブル依存症になった人は見たことがない
・ギャンブルで追い詰められると、振り込め詐欺の出し子、偽装結婚、名前を売る、偽装の養子縁組などに手を出さざるを得なくなる
・アルコール依存症や薬物依存症は体に不調をきたすので本人にも自覚があるが、ギャンブル依存症は本人に自覚がないので治療する気持ちになりにくい
カジノIRをめぐる問題
<レジュメ1枚目>
・富裕層を狙うためにカジノは入場料を6000円に設定したと言うが、東京ディズニーランド7400円よりも安い。貧困に喘ぐ人でも入ろうと思えば入れる
・6000円という安い入場料から判断して、実際は9割以上は日本人客を想定しているはず。アメリカIR事業者や地域報告書にもそう書いてある。シンガポールは8800円をさらに13200円に引き上げている
・ギャンブル依存症対策として相談機関をつくるというが、カジノ企業任せでマッチポンプ。ギャンブルで儲ける側のカジノ企業が本気でカウンセリングをするはずがない。
・パチンコでもリカバリーサポートネットワークという相談窓口があるが、店舗は深夜まで営業してるのに相談窓口は16時に閉まる。本気で相談に取り組んでるとは思えない。これと同じことがカジノでも起こる
・カジノの収益は1.5割が国、1.5割が立地自治体の横浜市に入る。残りの実に7割を胴元のカジノ企業が受け取る。
・カジノ企業の収益構造は、株は経営者一族が持っているため、一族経営による独裁経営でカジノ資本が儲ける構造になっている
<レジュメ2枚目>
カジノIRをめぐる年表
<レジュメ3枚目>
・カジノIRをめぐる年表でも重要な局面でアメリカのカジノ企業が出てくる
・2019年6月、林市長はIR事業者報告を公表したが、それはトランプ来日中の初日と同日。わざわざ合わせたとしか思えない
・今回も8月22日記者会見の直後にG7がある。安倍総理のトランプ大統領への手土産になったのではないか
・トランプ大統領の支援者であるカジノ企業のラスベガス・サンズは、横浜市が12事業者のうちで公表してない3事業者の1つでもあると分かってきた
・この状況を踏まえると、横浜市は現在公表すらしてない事業者であるラスベガス・サンズにカジノを任せようとしているとしか思えない
・ギャンブル依存症啓発週間を5月14日〜20日に定め、今年が初年度だったが、大手メディアは黙殺。理由は、参議院選挙前だったから。自民・萩生田光一氏は「参議院選挙の前にこの問題(カジノ)にふれたくないという政治的配慮があった」と悪びれもせず記者に語っている(詳細はしんぶん赤旗記事を参照)
林市長への弾劾文
8月22日に市長室の前で越智医師たちが読み上げた弾劾の文章
Q&A
質問:
横浜市議出身の菅長官がカジノ誘致を林市長に働きかけていると言われているが、どう思うか? 実際、賛成意見を述べている自民党の横浜市義は菅義偉事務所の出身者が多い。
回答(井上さくら市議):
菅長官が動いている確証は無いが、状況証拠から判断して官邸が横浜カジノ誘致の裏で動いている。
例えば、8月22日の林市長の記者会見当日、ラスベガス・サンズは大阪撤退するという文書を出した。予め用意していないとできないこと。サンズはもともと二股をかけていたが、本音は大阪よりも市場規模の大きい首都圏に来たかった。
また、2017年2月に安倍総理がトランプ 大統領を訪問した際、トランプの支援者であるラスベガス・サンズにカジノIRのライセンスを与えるよう示唆したとプロパブリカが報道している。
さらに、通常は横浜市の政策判断はプロセスを残すが、突如として白紙方針が変更された8月22日の記者会見の前の判断プロセスが一切わからない。いつ、誰が、どのような材料を持って判断したのか、議事録すらもない。市長と4人の副市長や局長による定例会議が横浜市の決定機関だが、記者会見前の時期には開催すらされていない。天から声が降ってきたとしか思えない。
質問:
今進められているカジノ予算案を9月からの議会で止めることはできない?
回答(井上さくら市議):
市議会の過半数を自民、公明が占めている中で止めることは難しい。
関連して、立憲民主党関係者にはお願いがある。カジノ 予算を審議する政策・総務・財政委員会に所属する立憲の市議1名が長期病欠で、このままでは立憲の1枠は空席。委員会は11人中7人を自公が占め、立憲の1名は副委員長のため、このまま立憲が委員の1枠を空席のままにすると、たった2名(共産・荒木 由美子、無所属・井上さくら)の委員で圧倒的多数の自公とやり合わなければならない。委員の補充を立憲に依頼したが、今のところ動きがない。
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更新履歴
2019/8/29 12:40 新規作成