【ショート】あなたの声が聞こえる

あなたの声が聞こえる

#2024創作大賞 #ホラー ＃オカルト

　彼は一人で暗い部屋にいた。窓から差し込む月明かりだけが、彼の孤独を照らしていた。彼は耳を澄ませ、何かを聞こうとした。でも、何も聞こえなかった。

　「誰かいるのか？」彼は小さな声で尋ねた。しかし、返事はなかった。ただ、静寂が部屋を包んでいるだけだった。

　彼は携帯電話を手に取り、友達に電話をかけた。「聞こえるか？ 俺の声が聞こえるか？」と彼は必死に尋ねた。友達は驚いた声で答えた。「いや、何も聞こえないよ。君、大丈夫？」

　彼は携帯電話を置いて、再び部屋に目を向けた。何かが彼を呼んでいるような気がした。でも、それはただの錯覚だろう。彼は自分を納得させようとしたが、不安は消えなかった。

　そして、突然、彼は声を聞いた。それは優しい女性の声だった。「私はここにいるわ。あなたの声が聞こえる。」

　彼は驚きと恐怖で身を震わせた。部屋には誰もいないはずなのに、声が聞こえる。彼は携帯電話を再び手に取り、友達に報告した。「君、本当に何も聞こえないのか？」

　友達は困惑した声で答えた。「いや、本当に何も聞こえないよ。君、冗談じゃないよね？」

　彼は部屋を出て、外に出た。でも、声はどこからも聞こえなかった。彼は狂っているのだろうか？それとも、何か超自然的な現象が起きているのだろうか？

　彼は再び部屋に戻り、声に向かって尋ねた。「誰かいるのか？ どうして私の声が聞こえるんだ？」しかし、返事はなかった。ただ、静寂が彼を包んでいるだけだった。

　そして、彼は自分の声が聞こえることを受け入れた。それは彼の中に住む何かが、外に出てきたのだ。そして、それは彼を狂気の淵に引きずり込んでいくことになるのだろう。

　終わり