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18. パラチで観光

パラチは人口1万5千人の小さな観光地ですが、ここはポルトガル植民地としての姿を最もよく保っている場所として、ユニセフから重要史跡として指定を受けています。これに続いて、ブラジル政府も文化財として村全体の保護を決定しました。その中心地区域400メートル四方では、車の進入は禁止されています。観光資源と言えば、まず大自然。リオデジャネイロから西へ300キロ、「Costa Verde(緑の海岸線)」と言われる地域です、緑豊かな自然と海岸には不自由しません。

パラチには観光案内が1つあって、テーブルが1つ、英語を話す女性が1人座っています。店内には、パンフレットや写真が貼ってあるものの、いかにもうらぶれた感じはぬぐえません。

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プログラムの目玉としては Ecotour、つまりエコロジー・ツアーで、自然環境を巡るツアーです。小さな船でビーチを巡るツアー、あちこちの川で泳ぐツアー、川やジャングルの中を巡り歩くツアーなど、似たようなのが何種類もある。

聞いてみると、ガイドさんは英語で説明してくれると言います。僕たちはまず、川とジャングル巡りに出かけることにしました。(こうやってツアーの説明を聞いている間に、アメリカ人のオバサンたち数人が、この観光案内所に入ってきましたが、どのツアーでも、車は冷房でないことがわかって、予約もせず帰っていきました。)

出発まで少し時間がありますので、近くを散策しましょう。

中心街の通りは石畳になっています。が、不揃いの石を敷きつめたようなもので、埃っぽく、歩きづらい。まぁそれでもいいでしょう。

それにしても、例によって暑い。喉が渇くのでペットボトルは必需品。広場や建物の玄関先に村人たちがブラブラとたむろしています。一体何をしているのだろう、と気になるくらい、のーんびりと日陰で涼んでいたり、そぞろ歩きをしていたり。

ここには産業は3つしかありません。農業、漁業、観光。17世紀には、サトウキビの積出港として栄えていました。その後、ずっと北のほうで金が発掘されたために、金の積出港となり、金が途絶えてからは、一時コーヒーの積出港として活況を呈したことがあったものの、もはやその勢いはありません。発展ということばは歴史のかなたに忘却してしまったもののようです。パラチの人々は、そういうところで自足して生きています。一方の世界で僕たちは、大量の車が縦横に走り、電波に乗って情報が飛び交う喧騒の中で自分をすり減らしながら、ストレス発散のためにテレビから流れ出る騒音に身を浸している。でこぼこの道をゆっくりと辿りながら、この落差の大きさを感じていました。

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さて、そろそろツアー出発の時間です、観光案内まで戻りましょう。

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