#駆け出しエンジニア にこそ知ってほしい「Customer系エンジニア」という選択
どうも、エンジニアのgamiです。仕事ではプレイドという会社でCustomer Engineerとして働いています。
最近はCustomer Engineerを始めとする「Customer系エンジニア」職種の認知を広げるために、勉強会を主催したりメディア露出を増やしたりしています。
僕は文系学部を卒業後に新卒で入った富士通SEの仕事を2年目で辞めて、いわゆるSaaSスタートアップ企業にエンジニアとして転職しました。転職活動をしていた頃は「Webエンジニアになりたいなあ」と漠然と思っていて、Customer系エンジニアという働き方については全然知りませんでした。
そこから約5年が経ち、Customer系エンジニアは自分にとっての天職だなあと思うほどになりました。できることなら、駆け出しエンジニアだった頃の自分に「こういう働き方もあるよ」というのを教えてあげたいと思っています。そんな思いも込めて「Customer系エンジニア座談会」という勉強会を毎月開催しています。
ただ、そもそもこの勉強会の存在を知られていないので、駆け出しエンジニアや若手エンジニアの方にリーチできていません。そこで今回は勉強会の宣伝も兼ねて、Customer系エンジニアという選択肢について簡単に紹介します。
「技術に強いエンジニア像」しか知らなかった駆け出し時代
Customer系エンジニアの多くは、技術も顧客対応もできるジェネラリストとして活躍しています。言い換えれば、新しい技術を学んでバリバリと新しいソフトウェアを開発していくような「技術に強いエンジニア像」とは別の道を歩むことでもあります。
エンジニアを目指し始めたかつての僕も、この「技術に強いエンジニア像」を追っていました。
6年前、ただの文系大学生だった僕がITエンジニアを目指したのは、割と不純な理由でした。当時公務員試験に失敗して自信を無くした僕は、「わかりやすいスキルが欲しいから」とITに飛びつきました。合同企業説明会であるSIer企業の担当者が言った「文系でもシステムエンジニアになれる」という誘い文句を真に受けて、新卒では大手SIerのSE職を志望しました。
新卒で入社した富士通では、プログラミング研修やシステム開発の実務を経験させてもらい、最低限の開発スキルを身に付けることができました。配属当初の僕は古の言語COBOLでレガシーシステムのバッチ処理を書いていて、いわゆる「モダンな技術」に仕事で触れる機会は皆無でした。インターネット上で「キラキラしたエンジニア」が話しているモダンなプログラミング言語やフレームワークの話を目にしても、全然理解ができませんでした。そのことが、大きなコンプレックスになっていました。
富士通に入社して2年目の僕は、よりエンジニアとして成長できる環境を求めて転職活動を始めました。その頃の自分は「ITエンジニア」という仕事の解像度が非常に低く、「モダンな技術の勉強をして開発の実務経験を積めば勝てる」みたいなわかりやすいキャリアパスしかイメージできていませんでした。
スキルの掛け合わせで価値を出す多様なエンジニア像
実際に転職をしてTechスタートアップでエンジニアに囲まれて仕事をしたり、Tech界隈のエンジニアから話を聞いたりしてみると、エンジニアとして事業的価値を生む手段は当初の想像よりずーっと多様でした。
開発をメイン業務にするエンジニアの中でも、次のように色々な強みを持った人がいます。
かつての僕は「技術力こそ価値」と漠然と思っていましたが、単に技術を知っていたり最新技術をむやみに振りかざしたりするだけでは、事業は前に進みません。逆に言えば、事業を前に進めるような価値を発揮できるならどんなスキルを武器に使ってもいいといえます。技術を尖らせることは数あるエンジニア像の1つでしかありません。もちろん最低限の技術や開発に関するスキルは何をするにも必要です。しかし技術力とそれ以外の強みをかけ合わせて価値を出す余地が、プロダクト開発の現場にはたくさんありました。
さらに視野を広げると、プロダクト提供を中心とする事業では、開発以外にも様々な業務を必要とします。事業のビジネスモデルにも依りますが、例えば下記です。
もちろんこれらを専門的に担う非エンジニア職種の人たちもいます。一方で、これら業務の中でエンジニアスキルを活かせる余地というのも驚くほどたくさんあります。この辺りについては、2019年のDevelopers Boostでも話しました。
僕自身、プログラミングやものづくりはもちろん好きです。ただし、休みの日もずっとプログラミングしていたいと思えるほどには、技術それ自体に対する強い熱意はありませんでした。他方、難しい内容を相手に合わせてわかりやすく伝えることが得意で、それを仕事に活かしたいと思っていました。そんなわけで、僕は「プロダクト開発」という業務を飛び出して、Customer Engineerとしての道を進むことにしました。
Customer系エンジニアとは何か?
近年、ユーザーのサポートなど顧客対応周りの業務にエンジニアが積極的に関わるケースが増えています。サポート業務と聞くとクレーム対応などを想像する人もいるかもしれませんが、継続的にサービスを利用して価値を感じてもらうためにできることはたくさんあります。逆に言えば、どんなに良いプロダクトを作っても、それを使って価値を生み出すユーザーが増えなければ事業は成功しません。
特に自社サービスを開発・提供している企業では、顧客対応周りの業務に専ら関わるエンジニアに特別な職種名を付けることも多くなっています。この職種名が1つに統一されていればわかりやすいのですが、実際には次のようにたくさんの名前があります。
ここではこれらの職種をまとめて「Customer系エンジニア」という曖昧な総称で呼んでいます。
実際の業務も、会社や事業によって微妙に異なります。主には次の通りです。
特に企業向けにサービス提供する事業では、顧客企業のエンジニアと直接コミュニケーションを取ることも増えます。社外のエンジニアに対する情報発信や議論が多く求められるプロダクトほど、Customer系エンジニアが必要な局面が増します。
個人的には、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の必要性が叫ばれる昨今の日本社会において、特にSaaS企業の中にいるCustomer系エンジニアが担うべき社会的役割はどんどん膨れ上がっていると考えています。この辺りは、Developers Summit 2021 Summerの登壇でも話しました。
どんな人がCustomer系エンジニアという道を選んでいるか?
ここまで述べてきたように、「技術力を付けて技術に強い開発エンジニアになる」というキャリア選択があまりにも目立っているために、特に駆け出しエンジニアにはその他の選択肢がほとんど知られていないという現状があります。
プログラミング未経験の学生や他職種の人がエンジニアを目指すとき、まずプログラミングスクールに通う人が増えています。多くのプログラミングスクールが想定しているキャリアは「開発業務を担うエンジニア」であり、その他のエンジニアのキャリアパスについて受講生が知る機会はあまりありません。もちろん、エンジニアの全体数から見れば開発業務をメインとするエンジニアの割合が最も多いので、それは仕方のないことです。しかし、本人にプログラミング以外の得意領域がある場合、それを最も活かせる職種は実は開発をメイン業務としないエンジニアかもしれません。
僕はこれまで20人以上のCustomer系エンジニアと話してきました。Customer系エンジニアになった経緯も十人十色です。僕のようにSIer寄りの会社から転職してくる人が多い印象はありますが、たとえばプレイドでは新卒採用からいきなりCustomer Engineerになったメンバーもいます。先日Customer系エンジニア座談会に登壇いただいた宮川さんは、役者を辞めてプログラミングスクールに通った後にReproにカスタマーサクセスエンジニアとして転職した方でした。
もちろんCustomer系エンジニアにも向き不向きがあるので、駆け出しエンジニア全員がそれを目指すべきとは全く思いません。しかし、「本当はCustomer系エンジニアに向いているのに知らないから選べない」というエンジニアの方もたくさんいるはずです。そんな人たちに、ぜひCustomer系エンジニアの存在を知ってほしいと強く思っています。
Customer系エンジニアの話を直接聞ける場があります!
僕は「楽しく働く人を増やす」というミッションを掲げて、様々な個人活動をしています。その活動の一環として、エンジニアのキャリア選択の幅を広げるための情報発信を続けてきました。
ここまでで興味をもってくれた人は、Customer系エンジニアについてきっと次のような疑問が湧いたと思います。
そんな疑問を抱いた人は、ぜひCustomer系エンジニア座談会に一度参加してみてください。現状はオンラインで毎月開催しているので、かなり参加しやすいと思います。どんな方でも大歓迎で、登壇者の話をただ聞くだけでも全然OKです!
次回は2022/05/19(木)夜開催です。connpassイベントページから参加申込お待ちしてます✨
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