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【投稿者必読!ジャンプ小説新人賞】2019年度受賞者おぎぬまX先生インタビュー

ジャンプ小説新人賞2019銀賞受賞・おぎぬまX先生のインタビューを掲載します。
受賞作『地下芸人』が10月21日に集英社文庫より刊行されることも決まったおぎぬま先生はいかにして小説家となったのか!? 投稿を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。


――受賞の知らせを聞いた時はどんな気持ちでしたか
当然ですが、めちゃくちゃ嬉しかったです。ただ一方で、不思議なことにどこか確信していたところがありました。「地下芸人」を書き上げるまでに出来ることをすべてやった、全力を出し切ったという思いがあり、そういう実感をもって「きっと獲るんだろうなぁ」と思ったりしました。

――今作で初めて小説を書いたとのことですが、しんどかったことや楽しかったことを教えてください。
それはもう本っっ当にめちゃくちゃ大変でした(笑)。表現方法として小説はとっつきやすいとは考えていました。紙とペンさえあれば描けると言われるマンガも、映画などに比べて身近にあると感じていましたが、さらに小説は字が書ければ作れる、より身近なものだと思って取り組み始めましたが、全くそんなことは無かったです。頭の中にあるものを、言葉のみで正確に描写していく、伝えていくというのが、いかに難しいか、考えさせられることが多かったです。
逆に楽しかったことはというと、書けば書くほど自分の作品が伸びていく、言葉が積み重なっていくことで自分の作品が出来あがっていくという実感がありました。それがすごく嬉しくて、すこし書き進めては何度も初めから読み直して、細かいところまで気になるたびに何度も直して……というのを繰り返して、ずっとブラッシュアップしていきました。書くことはもちろん、読み返すこともすごく楽しかったです。なんなら書いている時間よりも、推敲する時間のほうが長かったくらいかもしれません。

――文章がすごく読みやすいですが、心がけたことはありますか。
文章が読みやすいと評価をいただきましたが、これは何度も自分で読み直して、何度も何度も直していたからではないかと思います。その作業をやりすぎて眠れなかったこともあります。振り返ってみると、風呂に入っている時以外はずっと小説の作業をしていたんじゃないかと思います。基本的にパソコンで書き進めていましたが、スマートフォンのメモ帳にコピーして、どこにいても修正したりしていました。メモ帳での作業の欠点は、夢中になっているとあっという間に文章量が増えていくので、とあるシーンを書き足したい時にスクロールすれどもすれども辿り着けなくなる、というような状態になることですね(笑)。

――影響を受けた作家はいますか。
宮内悠介先生です。『地下芸人』も当初は30ページの読み切りを書いてみようと思っていたのですが、その際に『盤上の夜』を拝読して、40数ページで、こんなに面白さを詰め込めるのかと、衝撃を受けました。
また、私がこれまでさほど小説に馴染みがなかったということもあると思いますが、小説を書いてから、更に小説を面白く読めるようになったと感じています。なので、『地下芸人』を書き上げて、最近はむさぼるように小説を読んでいます!

――完成までに他の人に原稿を読んでもらうことはありましたか。
僕の周りには有り難いことに、ハッキリと感想を言ってくれる人が多く、たくさんの方に読んでもらいました。小説そのものはもちろんですが、プロットも、執筆途中でもどんどん人に相談していきました。 通常、作品を書き上げたあとに誰かに読んでもらうという人は少なくないと思いますが、僕は途中でもどんどん見せてアドバイスをもらっていました。
そして色んな人と話しながら構成を考えていき、その場でダメ出しとかをもらって……「つまんない」とか普通に言われちゃうんですけど、やっぱり手厳しい感想をもらった後は「やってやる!」と熱くなるものがありました。作品を作り上げていくなかで、あれほど人と向き合ったことは無かったように思います。

――小説を書くうえで役立った経験はありますか。
芸人時代から、漫画家を目指すまで、それこそ平成の終わりまで、ずっとブログを書いていたんです。全部で360程度の記事を書いていました。 毎回物語調で、前回のあらすじとかをつけながら、自分の人生の記録をつけていたのが、役に立ったかなと思います。

――小説家デビューを目指す人へアドバイスをください。
新人賞に投稿する時の作品として、トレンドというか、最近の流行を取り入れるというのがあるのかなと思うのですが、デビュー作を目指すのであれば、そういったものにあまり囚われず、自分にしか書けないものを目指すということが一番良いのかなと思いました。  あとは、絶対に余裕を持って書いたほうがいい、ということですね! 正直、賞レースなどは〆切のギリギリに投稿する方が多いと思うのですが、ギリギリで書き上げると、気分も昂ぶっているし自分ではなんとなくそれっぽく感じてしまうことが多いと思います。ただ、気持ちが落ち着いて、何日か後に見返すと、絶対に穴がたくさん見つかるんです。そういうものを見つけては直して、精度を高めていく作業が作品のクオリティを上げると思います。だからこそ推敲できる時間をたっぷり持つ必要があると思います。


おぎぬま先生の『地下芸人』は10月21日に集英社文庫より刊行! ただいま予約受付中です。



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