ECに関わって人生を反省した②

メーカーで新卒から34年勤務。百貨店や有名販売店への卸営業を20年。北海道から九州の支店を転勤してきました。本社に来てライセンスブランドのマーケティング、営業にたずさわる中で身についた総合力?を買われて「新規事業」という組織図に乗らない社内でただ1人の役割も兼任しています。(本業は営業)2018年から自社ブランドのECサイトのビジネスを立ち上げ、ECに関わることで感じたことを書いていきます。

卸営業の闇??

私の所属する会社の営業は、まず百貨店や有名販売店への卸。その実績で社内で順位もつけています。卸の実績は「店に商品が発送」されれば実績になるわけで「実際に売れたかどうか」ではないわけです。昭和の時代には卸実績をあげるために、助成金、押し込み、翌月の返品など目先の数字にとらわれていた時代もありました。これに応えてくださるお取引先もあり、仕入れたものは売ろう!と必死になって売ってくださいました。卸営業にとって「お客様」とは「卸先」のことでした。卸先の歓心を買って自社の商品をいかに多く仕入れていただくか…が営業の仕事だと思い込んでいました。

社長が会社を変えた!!

現社長が入社して最初にしたのは「押し込み禁止!」「月初の返品禁止!」という虚像の排除でした。評価は店頭消化で行う!ということになりました。いままでは「過剰に仕入れていただくこと」に腐心していたものが「売れないと入らない」ということになりましたので、ものすごく健全になりました。なによりも「売れないと入らない」わけなので、「どう売るか」、「どうしたら買っていただけるか」を営業も一緒になって考えるようになったわけです。

その段階でも「お客様」は見れていなかった。

どう売るか、どうしたら買っていただけるかを考える中で一番大切なのは「お客様に届いているのか?」であることは今は1発で回答します。でも、当時の私は、卸先さん、販売員さんを「説得する」ことがメインになって「お客様」のことを知ったかぶりして見てませんでした。お客様の様子は販売スタッフからのレポートでわかったような気になっていました。

ECでお客様と直接触れ合って衝撃を受けた。

ECではお客様と直接やりとりをします。店頭の販売とほぼ同じです。私の場合は立ち上げ当初は1人で対応して、いまも夜間や土日の対応をしております。お客様とメールやチャットといったテキストでのやりとりにはなりますが、直接お客様とやりとりをして衝撃を受けました。いままでレポートで見たり読んだりしていましたが、実にわかっていなかった!!と。また、ささいな「ありがとう!」という言葉にいかに癒されるか…。本当にお客様のためになにかをしなくては!!という気持ちがふつふつと湧き上がってきました。

プロダクトアウトの表裏

私の会社はおおまかにいえば「プロダクトアウト」。大ヒットするときもありますし、空振りすることもあります。いままではプロダクトに対する評判は販売スタッフを通じて間接的に各部署に共有されていました。プロダクトアウトは悪く言えば「メーカー都合の押し付け」に陥りやすく、プロダクトだけでなくマーケティングについても「メーカー都合」を押し付けてしまいがち。私はどっぷりとそれに浸かっていました。お客様に喜んでいただくというよりは、お客様にわかってもらう…論破する!みたいな感じです。それでファンが喜ぶわけはないです。

反省して…

メーカー勤務の終盤にきてようやく「お客様を大切にする」ことの意味を理解しつつあります。プロダクトをどうお客様にお伝えするのか、どうしたら喜んでいただけるのか、をお客様の声に常に触れることで考えられるようになりました。お客様がどう行動するのかを理解したいと思うようになりました。この思いを、後輩たちにも伝えていきたい。それが結果として「世界一の高級化粧品メーカー」になる道なんだと伝えたい。

卸の営業をしていてもこの結論にたどり着く方はおられます。でも多くの同輩は卸営業の呪縛(評価の呪縛)から逃れられていません。ECをして直接お客様と触れることができてその呪縛から解き放たれました。個人の実績なんて…ただの自己満足。お客様の喜びを積み重ねていった先にこそブランドの発展があるんだよねって本当に見えてきたのです。

ECだけでビジネスをされてる方は、広告効果やSNSでのバズりなどに右往左往せずにお客様をじっと見つめていてほしいです。





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