非常勤講師の問題は1人だと解決しないし1人だけで直面してる問題でもないのでNHK #ニュースウォッチ9 に出演してみた話
現在の非常勤講師の大変さをちょいと知ってもらうきっかけになればと思い、知人のすすめもありまして、ひょんなことから、この度NHKニュースウォッチ9に出ることになりました。
常勤の先生方や職員さんたち、学生の皆さんと対立するつもりは全くありません。だからこそ、文科省宛の署名にサインしています。対立するつもりなら、全くちがうアプローチをとっていたと思います。
署名↓
#非常勤講師に賃金補償を
僕は幸い、非常勤先の先生方や職員さんたち、学生さんのご協力のなかで、それなりになんとかやれております。
しかし、そのような(おそらく比較的「マシ」な状況でも)実質3倍の労働に対して、給料があがりません。
授業準備や学生さんからのお問い合わせ対応、大学の資料の確認・反映、LMSの動きによる翻弄によって睡眠時間を削り込みながらやるしかないのです。
とはいえ、授業は楽しいのでついがんばっちゃうんですが、だからこそ、せめてベターな労働環境になりますように、という話でした。
さて、SNSで「大変だ」書いていると
①「がんばりすぎだよ」
②「直接『上』に言ってみたら」
③「ほかの仕事探したら」
④耐え忍べ
などと色んなことをおっしゃっていただきます。
①②③④への答えは全部同じで、
「僕1人だと解決しないですし1人だけで直面してる問題でもないので声をあげてます。」
です。
①②③④ は全部「個人による対処」なので、僕がどうこうなることにしかなりません。
僕1人がどうこうなるだけですと、似たような状況にいたり、もっとしんどい立場にいる非常勤講師の人の問題解決や軽減につながらないです。
それだとイマイチすぎますので、声をあげました。微々たるものですが。
(この意味でも、「それって自己責任だよね」という言葉はなぜか汎用性が高そうに見えるためかウケがいいのですが、現状肯定によって社会問題を維持する中身のない空虚な言葉だなぁと改めて思います)
それから、
⑤技術を学べ
というタイプのご批判?(アドバイスは歓迎ですありがたいです)もあるのですが、その技術を新たに学び習熟するためにもさまざまなコストがかかるという点を抜きに「そう言われましても…」というところもなくはないです。
今のところ直接は言われていませんが、
⑥「常勤も職員もオーバーワークなんだ!」
という声も出てくるかと思います。
常勤の方とも職員さんともやりとりしてるので、それなりに存じております。
繰り返しですが、常勤の先生方や職員さんたちと対立するつもりは全くありません。
でも、非常勤講師は不安定な立場のまま給料が上がることもなくオーバーワークなのです。
(ここは意外と誤解されがちなのですが非常勤講師には自由に使える予算もありません。)
常勤/非常勤問わず、準備に3倍かかってると書かれておられる方が大勢おられます。
その「3倍」に非常勤講師という立場や経済状況等による脆弱性が組み合わさるかたちです。
非常勤講師に限らないかもしれませんが、この状況で数ヶ月乗り切れたとしても「そのあと」まで「全員」が今の体制で走り抜けられるかは、本当に危うい気がしております。
うまく乗り越えられるのは、アンダーコロナと呼ばれる状況以前から、経済的・社会的資源を豊富に持っていた先生だけかもしれません。
⑦それが教育なんだ見返りを求めるな
と、おっしゃりたくなる方が万が一おられましたら「教育も労働ですし、持続可能性ってご存知でしょうか?」とだけお返事しておきたいところです。
⑧そんな言い方ではダメだ
とおっしゃりたい方には「それはそうかもしれませんが、ところでトーンポリシングってご存知ですか?」とお返事したいところでございます。
⑨今まで何をしていたんだ
という声に対しては、こちらの記事をどうぞ。
(1)
真っ赤なイヤフォンマイクと非常勤講師の署名:オンライン講義と休講の動向に振り回されてる現状を10年後に笑うための忘備録
https://note.com/julinote/n/n140fde571b52
(2)
うなだれる午後3時:赤いイヤフォンマイクとYouTubeの自動字幕
https://note.com/julinote/n/n19d781d00f62
(3)多様な属性をもつ全ての非常勤講師の賃金補償を強く求めてる話:ちょっといいマイクで自尊心あげてたら動画編集ソフトが落ちた明け方に
https://note.com/julinote/n/ncba6dd4b9994
(4)肉味噌まぜそばの写真は無関係で実際にはオンライン講義の話。
https://note.com/julinote/n/n80c58230b5ee
さて、非常勤講師の状況はさまざまです。
授業開始日に対してオンライン講義マニュアルが手元に届くのが遅いため、自分でやりかたを編み出した先生からすれば、「追加のマニュアルもインフォーマルな声かけだけという状況はもういいので、給料をあげてほしい」と思っている方もおられるでしょう。
より的確なマニュアルを求めている方もいるでしょう。
そのどちらもが必要だと考えている方もおられるでしょう。
あるいは、「きちんとした授業ができないまま見切り発車」という状況をかんがみて、ほかの手はないのかとお思いの方もおられるでしょう。
大学以外で非常勤講師をされている先生たちのなかには「勤務実態がない」ということで、6月まで給料の支払いがない方もおられます。
こうしたさまざまな脆弱性のただなかでは、僕の発した声など、個別の1ケースにすぎません。
だからこそ、
「僕1人だと解決しないですし1人だけで直面してる問題でもないので声をあげてます」
と、何度でもいう必要があると思っています。
ということで、先ほどの署名に寄せたこの言葉も、何度でも。
「多様な属性をもつ全ての非常勤講師の賃金補償を強く求めます」。
それぞれの苦境に立たされている非常勤講師と、オーバーワークな常勤の先生方・職員の皆様、キャンパスライフを奪われてしまった学生さんと連帯しながら、うまいことやっていければと思う今日この頃です。
これがベストな手かどうかはわかりませんが、
大学以外の場でも働いている非常勤講師の先生方をあわせて、あらゆる非常勤講師への給付型の支援と、学生さんのオンライン講義対応・バイトの激減・保護者等からの支援の低減のための継続的な給付型の支援と、大学および教育機関への助成金が「なるはや」で行われますように。
ではでは
【続報かつ吉報】
某大学から「オンライン講義実施における特別手当」が出されるとの連絡がありました…!
みんなで声あげるの大事っ…!!
ひろがれひろがれー!!
と、同時に!こうした「手当」がまだ受けられていない人々のほうが多いと思われます!講義が続く中だからこそ、気を抜かず、声を上げねばと改めて思いました。
あと!
めちゃびっくりしているのですが、留学生のみ成績で支援の対象者を切り分ける驚きの政策が…。。これについてももっと声を!
現金給付「留学生は上位3割のみ」にみる差別と不平等・不公正の再生産
ではでは
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